第6話
ヒュウガが、すわってすぐに、アリカを見る。
「二人がどこに行ったか、占うことってできる?」
そうだねえ、とアリカはうでを組んだ。「くわしい場所まではわかんないかもだけど」と言って、アリカがカードを出そうとしたそのとき――――。
みんながまるくなってすわっていた中心に、光の柱ができた。
「えっ?」
マナがすっとんきょうな声を上げた。光の柱の中には、ユウヤとミカルがいたのだ。
光の柱はすぐに消えて、ユウヤとミカルは甲板にとん、とつま先を下ろした。
「ええええ……」
みんながみんな、それしか言えなくて、二人を見る。
おどろくことがありすぎて、もうおどろくことはないだろうと思っていたけれど、そうでもなかったなあ、とエイタは思った。
「ユウヤ、どこに行ってた?」
ナオトが聞くのと同じくらいに、コーフンした感じのユウヤがみんなに言った。
「すげえの見た! 動物が服着て、二足歩行してんだ!!」
「ええっ!?」
そんなバカな、とヒュウガは言った。エイタもそう思う。だけどミカルもマナたちに、
「あーん、スケッチブックないのがざんねんすぎ! ゾウがお化粧とかしてるのよ!」
と、いま見てきたことを身ぶり手ぶりで説明していた。
「……異世界……? もしかしてこのもやもやの向こうが、動物が二足歩行してる世界なのか……?」
ナオトが船の外に目を向けて言った。
それにしてもどうしてユウヤとミカルだけその世界に行けたのか、それは誰にもわからなかった。話を聞きながらエイタは、とてもとてもうらやましかった。
それでさ、とユウヤは話をつなぐ。
「なーんか困ってることがあるっぽいんだけど、言葉が通じねえんだ」
そりゃあそうだよねえ、と、ヒュウガが言った。
「二足歩行してても、動物だもんね」
「でさ、モモコ! だっけ? いっしょに来てくんねえかな」
急にご指名されて、モモコはめんくらった。
「ええっ、わたし?」
「動物好きなんだろ? なんか通じ合えるもんがあるかもしんねえじゃん! 招待状、出してくれ!」
モモコはしぶしぶといった感じで招待状を出した。これで動物の世界に行けるのか、まだ信じられないという気持ちも、あったんじゃないか、とエイタは思った。
ユウヤは自分の招待状を高くかかげた。
「つれてってくれ! さっき行った、動物の世界に!」
さけぶと、ユウヤとモモコの招待状が金色に光った。
「待て、ユウヤ!」
ナオトがさけぶ。
「なんだよ、ナオト?」
「僕たちもいっしょに行こう!」
「ええ?」
「初めての世界だ、何があるかわからないし、それに……」
ナオトはみんなを見回した。
「みんな、行ってみたいと思ってる! そうだろ?」
全員、キラキラした目で、うんとうなずく。マナとエイタなんか、ぶんぶんと首をタテにふりまくった。
「じゃあ、みんなで!」
ユウヤが言って、招待状をかかげなおす。
「動物の世界へ!」
光の柱がみんなをつつみこんで、いっしゅん、なにも見えなくなった。
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