第5話
「それで、これからどうする?」
すわったばかりのナオトがそう言った。
「ロボットの言ったことが本当なら、ここは異世界だ」
「なんか、ちょっとワクワクはするなあ」
ユウヤが言って、あたりを見回す。エイタもそうしてみるけれど、一面もやもやと真っ白なのは変わらなかった。
スマホを持っているというモモコやヒュウガが電源を入れてみる。圏外だった。
「もとの世界とは連絡がとれないってことだね」
アリカが水晶をみがきながら言った。ポケットからカードのようなものを出すと、ならべ始める。マナが興味深そうにそれを見つめた。
「タロットカード、っていうんだよ。これから先のことを占うのにいいんだ」
カードをならべ終わったアリカがそう言って、一枚めくる。つぎつぎにめくっていって、アリカは「ふーん」とおもしろそうにつぶやいた。
「あたしたちが出会ったことは財産だって出てるよ」
「ザイサン?」
エイタはよくわからなくて首をひねった。ヒュウガがそっと耳うちする。
「宝物ってこと」
「ここから先はとにかく進んでみろってさ。むずかしいこともあるだろうけれど、仲間が解決してくれる――そう出てる」
「進んでみろ、か……」
「そういえば、招待状がナビゲートしてくれるって、ロボットが言ってたね」
ヒュウガがポケットから封筒を出した。あのわちゃわちゃした中でそれをちゃんと聞いていたなんて、すげえなコイツ、とエイタは思った。そして、自分も、ポケットに突っこんだままだった封筒を出してみた。
「ナビゲートったって、どうするんだろうなあ」
ひっくり返したり、すかしてみたりして、エイタはつぶやいたが、変化は起こらない。
他のみんなも、自分の招待状を出してみていた。
そのときだった。
「わあああああ」
最初にさけんだのはユウヤだった。エイタがユウヤのほうを見ると、ユウヤの招待状が金色に光っていた。
「きゃっ」
小さなひめいも聞こえる。それはミカルだった。ミカルの招待状も、金色に光っている。
気がつくと、光っているのは二人の招待状だけで、エイタもふくめて他のみんなの招待状は光っていなかった。
「だいじょうぶか、」
ナオトが言いかけたそのときだった。
ユウヤとミカルのすがたが、消えた。
「ユウヤ!」
「ミカルっ!?」
みんながそれぞれにさけんだが、二人はもういなくなっていた。
「どこに行ったの!?」
「わかんない、もとの世界に帰ったとか?」
「そんなあ、二人だけ?」
船の上は大さわぎになった。エイタは自分のも光らないかと、招待状を曲げてみたりぴらぴらとふってみたりしたが、何も起こらなかった。
みんながひとしきり大さわぎして、最初にこれはどうすることもできないと思ったナオトが、大きな声で「まずもういちどすわろう」と言った。モモコが少しびっくりしたような顔をしたが、「そうね」と言って、すわった。エイタも、招待状を手にしたまま、すわった。
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