第4話
「……うーん」
エイタが目を覚ましたとき、そばにはヒュウガも一緒に転がっていた。
「ヒュウガ、おい、ヒュウガ」
「あれ、エイタ……?」
頭をかかえながらヒュウガはようやく起き上がる。
よく見れば、全員、甲板の上にいた。
エイタはみんなをゆり動かして、目を覚まさせる。
まわりはただただ白いもやもやに包まれていた。
「ううーん……」
「ロボットはっ!?」
八人があわてて操縦室へ走っていくと、ロボットは動きを止めていた。
ヒュウガがあちこちさわってみたが、ふたたび動く様子はなかった。
「こわれてるの?」
「ううん。電池切れとか、そういう感じ」
ロボットだから、バッテリー切れなのかもしれない。
「で、ここは、どこなんだ」
「その前に――――」
エイタは背の高い少年に向かって言った。
「俺、まだみんなの名前、知らない。聞かせてくれない? みんなはもう知ってるのかもしれないけど」
「そうだね」
ヒュウガもうなずいてくれた。
「さっき、ロボットは、ボクたちがとくべつなことのできる子どもだって言ってたよ。せっかくだから、自己紹介しあわない?」
なんにも知らないままで、一緒になんて、いられないもん。
ヒュウガは続けてそう言った。
「……じゃあ、そうしようか……」
背の高い少年が言って、八人はまるくなってすわった。
「じゃ、アタシから。アタシはマナ、五年生です。青森県から来ました。そこのエイタとはイトコどうし」
マナがそう言ってエイタを指した。
エイタははずかしそうに笑って、手を挙げる。
「オレはユウヤ。宮崎県の小学五年生。とくべつなことってのがよくわかんねえけど、好きなことは料理を作ること! 将来はコックになる!」
そんな元気な声をあげたのはまゆ毛の太い少年。
同い年なのに、料理作るのが好きとか、すっげえな。エイタは感心した。
なにしろ家庭科の授業では手伝いしかやったことがない。コンロに火をつけたら火柱が上がってしまったし、卵を割ったらカラごとぐしゃぐしゃにしてしまった。
時間があったら、料理、教えてもらおう。エイタはそう思った。
おかっぱのおっとりした様子の少女が立ち上がる。
「えと、私はミカル。奈良県に住んでます。絵を描くのがとっても好き」
ミカルはそう言ってやわらかくほほえんだ。
すわるミカルといれちがいに立ち上がったのは、気の強そうな少女。
「あたしは北海道から来たアリカ。占いが得意。よかったらみんなのことも占ってあげるよ」
アリカはポケットから小さな水晶玉を出してそう言った。
あちこちから、「おお~~」という声が上がる。
エイタはアリカがすわったのを見て、立ち上がった。
「俺はエイタ。神奈川に住んでる。マナとはイトコ! 終わりっ!」
次に立ち上がったのはヒュウガだった。
「ボク、沖縄から来たヒュウガです。勉強と本を読むことが好き。まだ、沖縄から出たことないから、みんなのいろんな話が聞けたらうれしいな」
ヒュウガの代わりに立ち上がったのは、ツインテールの少女。
「モモコです。わたし、動物が大好き。将来は獣医さんになりたいな。四国の、香川県に住んでます。よろしくね」
最後に立ち上がったのは、背の高い少年だった。
「僕はナオト。東京の小学五年生。とくいなことは走ること、かな。オリンピックに出るのが夢です」
ていねいに頭を下げたナオトがすわって、自己紹介は終わった。
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