第2話
「なになに!?」
「八人目? どっち? 女の子?」
「男の子だっ」
そんな声とともに、船の甲板らしきところに走りこんできたのは、エイタとそう変わらない年回りの子どもたちだった。
「な……なんだよ……」
しりもちをついたままのエイタを見下ろす子どもたち――いま数えた、全部で七人いた――の中に、彼はなつかしい顔を見た。
「あ!? マナ!? お前、マナじゃね!?」
「あれ? エイタ!? エイタも選ばれたんだ!?」
「え……なんだよ、選ばれたって……」
マナ、と呼ばれて嬉しそうに声をあげたのは、青森に住む、エイタのイトコだった。
知り合いがいたことはエイタにとってすこし心強いことだったが、それでも、自分の部屋からよくわからないところに飛ばされてきたことは安心していいことじゃない。
エイタは立ち上がると、マナも含めた七人を見回して言った。
「ここ、どこだ? マナ、お前、『選ばれた』ってさっき言ったけど、それっていったい――――」
マナがエイタの手を引いた。
「行こう。ここに来たってことは、エイタも【仲間】なんだよ」
「ええええ、行こうって、どこに? 仲間ってなんだ?」
「質問は説明を聞いてから、だって!」
なおよくわからないことをマナから言われて、エイタは引きずられるように甲板の下の部屋に連れていかれた。
手からはなさなかった招待状は、ズボンのポケットに、ぐっとつめこんで。
部屋の中は意外に広くて、エイタはきょろきょろとあたりを見回しながらマナのそばにいた。
そうして、ようやく落ち着いて七人を見る――エイタと同じ、男子が三人。女子がマナも含めて四人いた。
なるほど自分まで含めると、男子四人、女子四人、バランスはいい。
そんなことを考えている場合ではないのに、エイタはひとりで納得していた。
「ね、君は、何県に住んでるの?」
人なつっこい笑顔の少年が、エイタに話しかける。
エイタは驚きながらも、一応、答えた。
「え……神奈川、だけど……」
「神奈川! うわー、都会だー! ボクまだ行ったことなくって、ね、都会にも雪は降るの?」
「そりゃ、冬になったら雪くらい降るだろ。お前雪見たことねえの?」
「沖縄は雪が降らないんさー。いいなあ、雪。見てみたいなあ」
「沖縄……」
エイタはぼんやりとつぶやいた。
そうだ。青森のイトコ、マナがここにいるということは、全員が同じ県内から来ているわけではない可能性がある。
「お前、沖縄から来たの」
「そう! ボク、ヒュウガっていうんだ、よろしくね」
ニコニコとヒュウガが握手の手を出してきたので、エイタもなんだかうれしくなって、手を出した。
「俺、エイタ。よろしくな、ヒュウガ」
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