第13話

10歳のコトハの中身は、どうやら15歳のコトハに近い。そう思っていると。コトハの姿は、12歳へ。

クロハとギンカが成長に驚く。つぎに、15歳へいこうとして、ギンカが。

「まって!今の姿は、12歳の君?」

呼び止めると成長が止まった。

コトハがうなずくと、ギンカはまるで、やっと探していたダイヤモンドでも見つけたように。

「七色の水晶よりも、朝露に濡れた薔薇よりも、ずっととなりで見てたいな」

「同い年がそんなにいいの?」

じゃあ、物語では先輩後輩ではなく、同級生にしよう。そこへ、クロハが「少し成長した姿も、愛らしい」と呟いた。ギンカが兄を睨む。クロハは歳の差もありか。

「気持ちを現代に持っていけば、15歳にもなれそう!」

真夜中に、コトハはふたりに用意してもらった大きいネグリジェのまま、すこしはしゃぐ。

クロハは「もう強引には迫らないから、見せてくれ。それとも、成長したらまた消えてしまうのか?」

 そう言われると。

「どうだろう」

「このままがいいよ!」ギンカが、少し力を込めて抱きしめる。兄が、唇を振るわせる。

 男の子に!抱きしめられた!動揺して、現代の自覚へと。

 ギンカの腕の中、髪と背など、あとは諸々が成長して。一気に恥ずかしくなり。ギンカも顔を真っ赤にしてなぜか固まっている。

 クロハは。目の前の光景に固まっていた。

「た、耐えられないんですケド……」

自分もきっと赤面している。クロハはコトハに手を伸ばそうとして、しかし、触れていいものかどうか迷うような、怒ったような、毛布をぎゅっとつかんだりして可愛い。

 可愛いのはギンカだと思ってたけど、何かあって動揺して動けなくなっちゃうのはクロハ。


(どうしようっ)


〈ああ、刺激が強いから。いったん元の世界に戻したのにな〉


あの日の、なんだっただろう、異世界の詳しい人!

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