第11話

15歳の誕生日。

その夜、あの日の続きの夢を見た。

クロハは同い年で、美人でドキドキしてしまった。

ギンカも優しい顔に年下の愛嬌で。

それでも、布団で一緒に寝ていたのは10歳のコトハ。

「朝までまだ時間があるぞ、コトハ。もう少し眠れ」形のいい唇に、ちょっと怖い目つきは切れ長で迫力があっただけ。

「コトハ、ひとりでさびしいだろうけど、俺たちが代わりに起きてるから、もう少し眠りな?ね?」

慎重に言葉を選んで、兄の合いの手を入れる、気遣い。

「クロハ、ギンカ」

ぼんやりとする。

ギンカが笑う。

「ふふっ、目はぱっちりなのに、ぼんやりしてるね。かわいいよ」

「夜更かしはしなくていい。ほら、横になれ」

クロハがコトハの頭に、力加減を調節しながらそーと枕へ倒す。

が。


「ふたりのお嫁さんになる」


「ん?」

「へ?」


「ふたりのいいところがなくならないように、みんながしあわせになるように、わたし。ふたりと結婚する」


ふたりの兄弟は「ねぼけてるんだな」と嬉しそうにして。

「じゃあ」


「ふたりぶんの幸せな物語、書いといてね」

ギンカが手の甲にキスをする。

クロハはもう顔にキスをしたから。

「幸せにする」今度は言葉で、いつもみたいに凄まずに照れながら呟く。

ベッドの上でくつろぐ、少年ふたりに。


やっと言えた。


答えが出た。


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