第10話
ものがたりをかいた。
怪我をしている、傷を負った、あざのある。
そんなひとがいて、ある日不思議な世界へ迷い込んでしまう。それは学校の校門を通ったときにとつぜん目の前のけしきがかわった。
違う世界に行けたのだ。
そこで、
そこで。
なみだがでてきた。
部屋に母親が入ってきて、書いているものを見せなさい、それは、パパの仕事の紙でしょう?と言うので。
ちがう、ものがたりをかいてたの。コピー用紙に。
見せなさい。
みせたくない!
どうして?
わたしが、だれかとなかよくなったり、なやんでいることでくるしむはなしだから。
母親ははっ、と息を呑む。
読ませてちょうだい。悩んでいるなら一緒に考えましょう。
そんなやりとりがつづいて。
「ゆめの中の人たちに、とくべつな思いをかきたいの。ひとりにして」
そんな言葉で、母を撃退したコトハ。
もう夢の中のふたりを思い出せない。
どちらか選んで物語を書いたら、
どうなったんだろう。
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