第5話

 色々あったが。

なんと、1日目でこれである。

濃密な時間だ。そして。

ふいに、耐えがたい眠気が10歳のコトハを襲う。

机に倒れ込むように。

眠った。


夢の中。

ありとあらゆる、模様を持つ動物たちが現れて。

そして、錦鯉は?と探していると。

それはコトハを素通りして宙を泳いでいった。


「どうしようっ」


〈1日だけだ〉


〈選びなさい〉


「だれ、こわい」


〈錦鯉がのどをいためたら大変だからね。まあ、魔法で声を流したから、魚は無事だよ。コトハ〉


「だれ、こわい、だれ」


〈そんな真っ暗闇の夢にしないで。ふたりの男の子の事をかんがえなよ。ふたりのことはきらい?〉


すると。目の前に絵画に描かれた、大人の妖精が現れた。周りには蝶がいくつか飛び、花びらの祝福に片手をあげて、一枚に、ふれる。そんな一瞬。


そんな絵だ。


〈これはクロハが描いたものだよ〉


やがて景色が変わり、世界は空と大地へ。しかしその場所は不恰好な、しかし、幻想的な畑だった。

七色の水晶が突き出した場所に、小さな畑があって、水色のトマトや、黄色いきゅうり。紫さやえんどう。


〈こっちはギンカの畑だね〉


〈可哀想に〉


「……どうして?」


〈この世界ではね、翼のある人間以外のものを描くのは禁止されている。クロハは一生、素晴らしい作品を世に出せない〉


妖精の翅がそうさ、と。


〈ギンカはね、魔法が溢れ出して心の色が漏れてしまう。だから野菜や果物の味も色も奇抜だし、わずかな土地で一人前の修行をしてる〉


さて。


〈どちらかの物語を綴ってくれるかな?〉

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