孤高の狩人とヤンデレ王子系の女騎士の戦い!?

アンタにはなれない

　──羨ましい

　そう思ったのは多分嫉妬なんだろう。

　俺とは違い真っ直ぐに騎士と言う役職に属したそのメンタルに対して

「･･･羨ましい？」

「･･･あぁ、とてもアンタのその真っ直ぐさ、そして最強まであげた実績のメンタル。

俺には到底無理だな。」

　まぁ実際こんな道に走ってる時点で戻れないしな。

　現にもう人を殺してるんだ。

　戻れるわけが無い。

　間違っているのは分かっている、

　でももう引き返せないんだ。

　早く楽に死にたいさ、その為にはとっとと魔族の魂を揃えて来る時に備えないと行けない。

　だから足止めを食らう訳には行かないんだ。

「･･･そうだ、前にエリスが言っていたんだが君は村を壊滅させたって本当なのかい？」

　そう言えば前にエリス・ブロン聞かれたな、まぁ別に隠す必要は無いからホントの事を言うか

「･･･だったらなんだ」

「･･･!?」

　俺の返答に驚いたシオンは警戒しながら尋ねてくる。

「･･･あそこの村はほぼ死体しか無かった。

　あれも君がやったって言うのかい？」

「･･･あぁ、そうだな。」

「･･･何でそんなことを」

「･･･俺は言ったはずだ、復讐なんだと。」

「･･･まぁ到底理解は出来んだろうな」

「･･･あぁ、出来ないなそんな化け物みたいな事をする奴の考えなんて」

　･･･化け物、ね･･･

　久しいなそんな言葉を聞くのは。

　化け物に化け物と言った所で何も意味が無いのにな。

『･･･おいここに化け物が居るぞー！』

『やぁーい化け物あっち行けー！』

『･･･あら、またあんた生きてたの？とっくに野垂れ死んだのかと思ったわ』

『･･･姉とは違い随分と出来損ないだな。これが俺達の息子とか恥ずかしくて到底言えないな、はぁ、ちょっとは、姉である ユリを見習えばどうだ？』

うるさい！うるさい！

　今更出てくるな。

　お前らは居ないんだよ。

　消えろ！消えろ！

　脳内に語りかけてくる声に俺は内心で騒ぎ立て頭を抱える。

「･･･うるさい」

「･･･!?」

　──声に出てたか。

　か細くボヤいた俺は溜息をつき頭を掻く

「･･･お、おい？狩人（ハンター）？」

「･･･そう！そんな化け物とこうやって腕を拘束されているんだ！･･･いやぁ！どんまい！逆に有難いと思いな！」

　明るく笑顔に見せた俺はシオンにいつもの調子で煽るのだった。

「･･･な！何を訳の分からない事を言ってるんだい？誰が好き好んで犯罪者となんか！」

「･･･何だと！？」

「･･･やるかい！？」

　ぐぬぬのお互い睨み聞かせる、まぁ俺はカラスの仮面つけてるから相手からしたら表情読めないと思うが･･･

「･･･ふふ･･･なんだか、馬鹿らしくなってきたね」

　少し苦笑した表情に俺はまたドキッとした。

　何故？こいつは敵なんだぞ･･･

　シオンの表情を見ると何処か懐かしさを感じた。

「･･･そ、そうだな。」

　ゴホンと咳払いをして立ち上がる。

「･･･とっとと行くぞ！もう足は多少マシにはなったろ」

「･･･あぁ、敵ながら応急処置をしてくれてありがとう。」

　なんでこいつはこうも素直に言うんかな。

　俺の正体がカナエ・クリスタルなんて知ったらどうなるんだろう。

　幻滅するよなこんな犯罪者の人間。

「･･･うるせ･･･行くぞ」

　あと少しなんだ。

　あと少しで終わる。

　ここで足止めを食らう訳には行かない。

　あともう少しでそっちに行くよ･･･

　──姉さん

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　はい！何やかんや過去をはぐらかしましたね狩人君！

　でもちょっと彼の中身は皆さん知れたのじゃないでしょうか。

　それでは次回は戦闘シーンです。

　頑張って書きます(´；ω；｀)