第5話 世界最強

「もう…らめぇ…カラ…ゆるひれ」(もう…駄目…カラ…許して)

「立てる?お兄ちゃん」

「無理…肩貸して…」

「しょうがないですね。

まだ時間に余裕があるからソファーで休憩しようね?」

「うん」


 ち、堕ちろ!メスに堕ちろ!なんで堕ちないんだよ!

 僕のメスになれよ!ふざけんなよ!

 僕の愛玩動物になっとけよ!

 まあ可愛かったしいいか。


「ラル、カラおはよう」

「ガリシン様!?おはようございます」

「ガリシン様!?おはようございます」

「てか…急に前に現れないでください!」

「ラルすまんな、カラもすまんな」

「大丈夫ですよ」

「で、どうして来たんですか?」

「ドラにラルの所に行ってくれって言われたからな」

「ドラにですか?」

「おー!スラこれが例の物か!」

「は?え?は?まさか…」

「そのまさかだよ!2人の映像を録画したカメラを貰いに来たんだよ」

「ちょっと待ってください!返して!」

「駄目だよ!勝手にガリシン様が持ってるカメラを取ろうとしたら」


 待ってカラ…なんで指を口に近付けるの?


「んー!」

「ガリシン様言いたい事があるんですけどいいですか?」

「全然いいよ!」

「カメラの映像売りたかったら売っていいですよ!0円で配るのもいいですし」

「んー!」


 は?ちょっと待って?何言ってるの?!

 喋りたいのにカラどういう指が!


「え!?いいの?」

「いいですよ」

「分かった!決まったらカラに伝えに来る!」

「んー!」


 なんで嬉しそうなんですか!ガリシン様!


「それじゃあバイバイ」

「バイバイ」

「んー!」

「じゃあ指はなすね」

「はぁはぁ。

カラ…何勝手に」

「勝手にって…何が悪いんですか?

お兄ちゃんメスになってたんだよ?」

「そ…それは…」

「じゃあいいよね?

あん。

んー!お兄ちゃんの涎美味しいね」

「うるさい!」

「はいはい」


(召喚解除するからな)

(ごちそうさま)

(スラもうるさいな)

(えへへ。

 元は○好意知らなかった自分のせいだからね)

(分かってるよ)


「スラ召喚解除」


「お兄ちゃん」

「どうした?」

「やらない?」

「やらない!学園に行くぞ」

「しゃーなしね」

「しゃーなしかよ」


<教室に入った2人>


「お兄ちゃんと当たるのは決勝戦だね!」

「勝つ事前提なのか?」

「勝つに決まってるよ!」

「お前ら2人が決勝で戦う事はない!俺が決勝に行く」

「お兄ちゃんに負けたくせによく言えるね!」

「ラルは魔法が使えないんだ!魔法が使える俺が勝つに決まってるだろ!」


 ルガ…どうしてお前はそんなに変わったんだ…

 昔はよく遊び。

 剣の稽古だって一緒にしたのに。

 一緒に約束したじゃないか…あの約束は忘れたのか?ルガ…


「ちゃん!お兄ちゃん!」

「あー、カラどうしたんだ?」

「何か考え事?それともルガからの言葉気にしてるの?」

「すまないな。

ちょっと考え事をしていただけだよ」

「それならいいや」


<そして決闘の時間が進んでいき、準決勝まで来た>


「ラル!この時がやっと来たな!」

「そうだな。

だけど負けるつもりは無いよ?」

「負けるつもりが無くても俺が勝つに決まってるだろ!」


俺は勝たなければいけないんだ!

お前を守る為ならなんだってする!


<ルガは怪しげな瓶の蓋を開け、それを飲んだ。

 それを飲んだルガは苦しんでいた>


「ああああああああああ!ああああああああああ!ああああああああああ!ああああああああああ!」

「おいルガ!何を飲んだ!」


 速く助けないと!何を飲んだか分からないけど、完全回復のポーションを飲ませれば何とかなるかもしれない!


「スラ召喚!」

(あれ?ルガどうしたスラ?)

(分からないんだ!変な物を飲んで苦しんでいる!

 完全回復ポーションを来れ!)

(嫌スラ!ルガはラルに酷い事言うスラ!)

(いいから渡せ!ルガは俺の大切な1人目の親友だ!)

(分かったスラ…)

(ありがとうなスラ)


「おいおいなにしようとしているんだ?

アラン家の面汚しのラル!」

「お前は…ガリシン国の魔肉のリーダ、エレン·ザイル」


<エレン·ザイル

 ガリシン国の魔肉のリーダ>


「お前らも出てこい!」

(配下全員居るみたいだね)

(そうスラね。

 ガリシン様から封印石貰いにいくスラ!)

(そうしたいけど…正体を晒すわけにはいけない!)


「ザイル!ルガは何を飲んだ!」

「ガリシン国の副騎士団長ルガルンじゃないか!

そんなに怒るなって!教えてやるからよ!

ルガが飲んでいたのは魔肉だ。

細かく切っておく事によって飲めるようになったんだよ!」

「ああああああああああ!あー!」

「あははははは!ルガが魔人になったぞ!」

「貴様ー!」

「あー!」

「ルガ!?」

<ザイルが居るところに突っ込んだルガルンだったが。

 ザイルを守るように魔人になったルガが間に入った。

 息子を切れないルガルンは、ラルが居るところまで戻った>


「ラル君は逃げるんだ!個々は騎士団に任せてくれ!」

「分かりました!」


「ラル来たみたいだね」


<会場から出て待機室がある廊下に、ガリシンがいた>


「ガリシン様!ドラの封印石をください!」

「分かってる。

頼んだぞ」

「任せてください!」

「ここから出ては怪しまれる。

透明化魔法を掛けて会場の上で解除してくれ」

「分かりました」


 透明化 ふゆう

(スラ召喚解除するね?)

(分かってるスラ!あとこれ持ってくスラ!)

(そうだったな、ありがとう)


<スラが渡したのは赤いマントと赤いお面だった>


「スラ召喚解除」


<騎士団が観客を避難させ。

 騎士団が魔肉と戦っている上でラルは封印石を強く握った。

 そして粉々になった封印石から赤色の魔力が出てきた>


 俺の火属性の精霊ドラ!

 俺の体に戻ってこい!

 俺の為に戻ってこい!


<赤色の魔力はラルの体に入っていった>


 透明化解除 ふゆう解除


<魔法を解除した事によって会場に落ちた>


「やっと来たか!真の世界で1番最強の男!」

「もうお前らを逃がしはしない。

全員殺させて貰うぞ」


 あー!久しぶりだよ!この喋り方!あー!ハズイ!


「ルガルンお前はどうしたい?」

「どうしたいって?」

「お前の息子を自分で殺すか我が殺すかだ。

どちらが殺すかは決めさせてやる」

「何でそんな事言うんですか!?

自分で息子を殺します!親の私が悪いので!」

「そうか…ならなぜ手が震えている?なぜ足が震えている?

戦場は甘くないぞ?今のお前はすぐ殺される。

お前は観客の避難をしていろ」

「ですが!」

「うるさい!我の言う事を聞け!」

「分かりました…」


 ルガルンさんごめんね…

 貴方は優しい人間だ。

 騎士団に入った理由も知っている。

 俺とルガが約束した理由もそうだからだよ。


「お前は全属性封印されている!封印解くとしても火属性だけだ!

俺ら魔肉が勝つに決まっている!

お前ら!絶好のチャンスが来たぞ!あいつを殺すんだー!」


<ザイルの呼び声により、騎士団と戦っていた魔肉全員が集まった>


「我に勝てるとでも?」

「お前ら!精霊はまだ召喚していない!攻めろ!」


<ザイルは攻めていない、そして魔人になったルガも攻めてきた>


 はあ…俺がそんなに弱いと思われているのか…

 逃がしてしまったお前ですらも分からないのか…


「ドラ召喚!」


<ドラが召喚された事によって、前線にいた魔肉メンバーは死んだ。

 生き残ったメンバーは「無理だ!勝てるわけがない!」「化物だ!」「俺は逃げる!」

 など言ってメンバーは逃げた>


「お前らなに逃げている!

使えないなお前らは!まあいい、ルガ攻めろ!」

(他の奴らも殺していいドラ?)

(俺が殺る!)

(あの時と同じで、魔力が怒りへと変わっているドラよ?)

(なら分かってるだろ?殺らせろ!)

(それは無理ドラ。

 決闘はまだ生放送されいるドラ。

 封印をとくとどうなるか見せないといけないドラ。

 だから俺が殺らないといけないドラ)

(分かったよ…)


<決闘の日は会場に居ない人でも観れるように、生配信をしている>


<魔肉メンバーそしてルガの回りに結界が張られた。

 そしてドラが炎を放った瞬間結界の中にいる人間の姿がなかった。

 そこにあったのはルガの死体だけだった>


(ありがどう…ルガの死体をのごじでぐれで…)

(生放送はもうやって無いドラ。

 よく涙を耐えたドラね、ラル)


「ルガ…約束しただろ…弱き者達を守れる人間になろうって…

なのに!なんで破ったんだよ…なんで魔人になった!

俺の…大切な親友…」

「ラル」

「ガリシン様」

「ルガの死体を預かるがいいか?」

「大丈夫です。

言いたい事は言えました」

「そうか」


<ガリシンはルガの死体を持っていった>


(ありがとうな…ドラ)

(俺はラルの精霊ドラ!主人の為に戦うドラ)

(1人になっていいか?)

(いいドラ!)

「ドラ召喚解除」


<ラルは選手待機室へと入った。

 そこには誰もいない静かな部屋>


「ああああああああああ!ああああああああああ!ああああああああああ!ああああああああああ!

俺は!なんで助けれなかったんだよ!

何が世界最強だ!俺は大切な親友を守れなかった!

ゴミだ!クズだ!俺は最低人間だ!

ああああああああああ!ああああああああああ!ああああああああああ!ああああああああああ!

ルガ…ルガああああああああああ!」


<誰もいない静かな部屋は、1人の叫びによって静かな部屋ではなくなった。

 親友を救えなかった世界1最強の悲しみの叫び。

 誰も聞かなかった悲しみの叫び>

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