大猿
大猿、体長3mと思われる大猿。
正直、勝てる気がしない。なので逃げ一択なのです。
しかし、悪いニュースといいニュースの二つがある。
良いニュースは雨上がりで大猿の鼻が効かないこと。そして、大猿は猪を食っていること。
悪いニュースは、ジャンヌがいないこと。そして、大猿の子分と思われる普通サイズの猿1匹が俺に気づいていると言うこと。
「よし、逃げるか。」
ジンは全速力で逃げ出した。子分猿一匹も全力で追ってきた。
やばい、やばすぎる。大猿が追って来なかったことだけが救いだ。
猿だけあって、森の走り方を知ってる俺よりも木々を抜けるのが速い。
子分猿は無茶苦茶速い。すぐに追いつかれた。
「どうするか?逃げられないぞ。戦うか。」
3歳の時、魔狼に襲われたことを思い出す。
しかし、あの時と違い準備がしっかりしている。
逃げる準備が。
走る、走りながら一瞬だけ子分猿の死角となる位置に逃げ込む。チビ故の戦いかただ。
その隙に矢を射る。子分猿の手に刺さるが、それだけだ。
子分猿は大ぶりに腕を俺に振りかぶる。
その攻撃を、俺は余裕で避ける。
「よかった。迷いキノコが効いて。」
迷いキノコとは幻覚作用のあるキノコで、ジャンヌに教えてもらった。
この煮汁を矢尻につけている。
このキノコの効果が猿に効いてよかった。
「今の内に逃げよう。欲張ると死にそうだし。」
全速力で逃げた。ジャンヌもとへ。
でかい木のウロでジャンヌはまだ寝てた。
「ジャンヌには黙ってよ。知らぬが仏だな。今日は飯抜きだな。どんな言い訳をしよう。」
次の日、ジャンヌが元気になった。
11歳になったジャンヌにとってはこの旅は高負担なのだろう。俺みたいな子供もいるし。
彼女の視点で色々気を遣っているのだろう。
「ジャンヌお姉ちゃん。今日はまず、獲物を捕まえましょう。昨日取れませんでしたし。」
「ジンはしょうがないわねぇ。分かったわよ。ジンの好きなウサギを取りましょ。」
「それは良いですね。今日はうさぎの気分です。」
ジャンヌは昨日大猿がいた方向とは逆に誘導して、ウサギを探す。
前日が雨上がりの日だったが、今日は晴れなので、獲物の痕跡がよく見える。
「ウサギのキノコスープがいいですか?それとも、ウサギのレモン焼きですか?」
俺がレモンに似ていると思った果物は本当にレモンらしい。
それ以外にも日本の果物と名前と味の違いを確認したところ。
ジャンヌの話によれば大体同じだ。
まぁ、まともに教育されてない俺がジャンヌと話せているのだから、日本語と単語は同じだよな。
「そうね。ウサギのキノコスープでいいわ。病み上がりだし。栄養が多い食べ物食べなくちゃ。あんたも好きでしょ?」
「そうですね。数少ない料理の一つですし。僕も色んな食べ物食べたいですし。」
ジャンヌと雑談しながら、ウサギを探す。
スキルレベルのせいか職業を得ているからか、それとも経験の差なのか、一緒に狩をすると必ずジャンヌが先に獲物を見つける。
「いたわね。木のウロに隠れているわ。」
「よく見つけますよね。大きい方ですけど、昨日何も食べなかったから、ちょうどいいですね。」
「そうね。昨日の分も含めて、ジンが仕留めなさい。」
「分かりましたよ。」
担いでいた弓を背中から取り、弓筒から小ぶりな弓を取り出して、ウサギに射る。
ドスッ
ウサギに当たったと思われる音が聞こえ、気配察知と魔力感知でウサギの命を感じなくなったの感じて、ウサギに近づく。
そこからは、ただ解体していくだけ。
水魔法と風魔法を解体の時に、綺麗に解体するために使うが、俺のスキルレベルはどちらも、まだ1なので、ジャンヌほど上手く解体は出来ない。
「解体している間にジャンヌお姉ちゃんは周り野菜とか、キノコとか取ってきてくださいよ。」
「分かったわよ。」
子供と幼児二人でウサギ一羽は、丁度いい。
昼にウサギのキノコスープを食べる。
「今から、街に向かいながら、道中で食えるもの探しましょうか。」
「そうね。夜は猪がいいわ。あの油のたくさんついた肉は美味しいわよ。」
「そうですか?僕はあっさりした方がすぎですけど。」
「あんたは子供だから分かんないのよ。」
「そうですね。早く大人になりたいです。」
「私もなりたいわよ。」
ジャンヌは親のことを思い出したのか、少し悲しそうな顔をした。
ジンは二人の子供のまま、街に入れるのか?
そして、武器を買えるのか。
自分達より強い大人達に奪われる日々が待っているのではないかと、ジャンヌの風邪も重なって、かなり、不安になっていた。
————1週間後、二人はアンセムの街に到着した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます