第2話 やはり、定番の剣と魔法の世界だったようで。
あれから4ヶ月が経ち、彼女との別れを済ませ、僕は今、初めて世界を認識した。目の前には母親と思しき空色の髪と眼を持ち、はち切れんばかりのメロンを携えた女性のメロンを味わっている赤子。恐らく、こいつは僕の双子の妹にあたるユーリ。この女性がルミエルさんだろうか。これだけ美形なら僕の容姿には期待できそうだ。
「あら、うちの子は起きてるみたいね。」
声が聞こえた方に首を向けると金髪翠眼の美人。この人は乳母さんなのかな?消去法で名前はサリーさんだ。
「あら、ルミエルおかえりなさい。」
そう言葉を発したのは先ほどの空色の髪の女性。どうやら逆だったようだ。
「ええ、ただいま。トマスは?」
「裏庭で装備の手入れをしているわ。」
「そう、うちの子もご飯の時間ね。」
そう言うとルミエルは僕を抱き上げた。どうやらこっちの女性が僕の母親らしい。先ほど双子の妹だと思ったユーリと僕は異母兄弟らしい。
「お、ルミエル帰ってきたのか!俺の子達は食事中か。」
声の主は僕の父であるトマスであろう。赤い髪、赤い眼をした、イケメンと言って差し支えのない男だ。彼は持っていた装備を棚にかけるとこちらに近づいてきた。
「いつ見ても可愛いな。大きく育てよ。」
そう小声で呟くと奥へと消えていった。あ、眠気が…
半年が経過した。僕たち兄妹はハイハイを習得し、短距離の移動を可能としていた。父は週に2日ほど出かけ、それ以外の日は剣を振っている。母とサリーさんは僕たちを育てながら裁縫や本を読んでいる。あ、そうそう、この世界には魔法が存在していることが判明した。いや、前もって聞いてはいたのだがこの前初めて目にしたのだ。あれはユーリがハイハイをしている時に床の木材が刺さってしまった時、母はトゲを抜いた後、傷口に手をかざし、回復魔法を放った。それ以来、僕は心の中で呪文を唱えているのだが、一向に発動する気配はない。何か違うのだろうか?それと驚いたことにこの家では夜、親が寝るのだ。そう、ユーリの夜泣きを無視して寝るのだ。そうして、何かを察したのかユーリも夜泣きをしなくなった。文化の違いってやつだろうか。あ、来た。便意が。止められない。呼ばなきゃ。
「あぁあんぎゃぁあ!!」
ふう、スッキリしたぜ。
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