モブ、異世界に転生す〜寿命まで生きたい〜

@wawhodressing

第1話 実は僕って主人公なんじゃないかなって。

 雨が降っている。傘を差すか迷うレベルの雨が強風と共に僕を襲う。マスクが濡れるのは嫌だが、傘を差す気にもならないので、嫌悪感と共に歩いている。僕は現在19歳の大学2年生だ。サークルやアルバイトはしてない。彼女とは半年前に別れた。他人から見れば実につまらない生活に見えるだろう。僕もそう思う。信号が点滅している。走れば間に合うが、大人しく待つことにしよう。雨でスマホの画面が濡れている。これだから雨は。やはり、傘を…。僕の記憶はここで途絶えている。


 声が聞こえる。大きな声。声は聞こえるがまるで知らない言語のように聞こえる。目が開かない。僕は倒れたのか?もしかして、事故に巻き込まれた?仮に事故に巻き込まれたのだとしたら…いや、それにしては静かだ。雨音と声だけが聞こえる。しかし、もっと生きたかったな。

「違いますよ?」

脳に優しい声が聞こえた。

「ええ、直接語りかけてますから。」

幻聴じゃないようだ。どういう原理だ?いや、そもそも誰だ?まあ、それはいいとしてどういう状況だ?僕の身に何が起こっているんだ?

「質問が多いですね。早く本題に入りたいのですが。」

あ、すいません。とりあえず状況の説明をお願いしたいのですが…

「いいでしょう。あなたは死にました。車に撥ねられて即死です。あなたは私のミスで記憶を保持したまま転生してしまいました。私はあなたの目が見えるようになる4ヶ月後まであなたの補助と話し相手を務めます。」

何と転生を。それもたぶん異世界。流石に未練はあるけど一旦受け入れておこう。しかし、なぜ話し相手?

「いらないのなら別にいいですよ?4か月暗闇の中で理解できない言語を聴きながら誰とも意思の疎通が取れずに過ごしたいのなら消えますが…」

すいません。居てください。4ヶ月間よろしくお願いします。

「わかればいいのです。では、早速常識から学んでもらいましょう。」

こうして僕の異世界生活が幕を開けた。

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