第3話「他人の評価に左右される必要はないねん」
●お悩みの内容
名前:ジェーン・ウィルソン
性別:女性
年齢:28歳
出身国:アメリカ合衆国
職業:ITエンジニア
私の名前はジェーン・ウィルソンだ。本名はジョン・ウィルソンで、あとから性的同一性障害として性転換手術を受けてジェーンになったのだ。
性転換後は家族や知人から見放されることが多かったが、ジェーンとしての生き方で幸せを感じる時もある。しかしながら常に女性としての自己確信をまだ持つことができない。日常生活のあらゆる局面で戸惑いを感じることが多く、まだまだアイデンティティを確立できていないと感じている。
私を悩ましていることは、まもなく迎える結婚式だ。パートナーのメリッサは私をそのまま受け入れてくれ、この結婚を大切な機会として迎えようとしてくれている。しかし私自身は、なお自分が十分な「女性」ではないと感じてしまうのだ。
この結婚を機に自分のアイデンティティがより厳しく問われるのではないかと不安も募らせている。公の場での稀有な女性としての立場に追われ、戸惑いが一層大きくなるのではないか。一方でパートナーへの愛とともに、この結婚を心から望んでいる実感もある。正直二律背反な気持ちだ。
葛藤の中で、私はこの重要な日の迎え方について揺れ動いているのだ。LGBT のパートナーとしての自覚と女性としてのアイデンティティの間で揺れ動き、悩みを抱えながらも前を向いて歩み出さなければならない、と感じているのだが……。
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●トラばあちゃんより
ジェーンちゃん、オバアちゃんが教えてやるわ。確かに人生にはいろんなトラブルがあるわな。でも大事なのは、自分のアイデンティティーをしっかり見つけることや。ジェーンちゃんは性転換手術して、女性として自信持っとるんやろ? それはええことやで、誇りに思い。誇ってええねん。
自分を受け入れることが大事やで。その自信さえしっかりあったら、他人の評価に左右される必要はないねん。メリッサちゃんはジェーンちゃんがジェーンちゃんだから、好きなんやろ。それでええやん。
結婚式は大切やけど、ジェーンちゃんの悲しい思い出にならんようにしたいわな。自分の心の声をしいかり聞いて、自分が望む方向に進むんやで。自分を信じて、自分の人生を楽しみや。
オバアちゃんもこれまでいろいろ葛藤はあったけど、自分の人生を楽しむために、自分が望む道を選んできたんや。108歳になった今、自分自身を受け入れて、人生を楽しめとるわ。ジェーンちゃんも自分自身を受け入れると人生楽になんで。
最後に、オバアちゃんからのアドバイスや。赤塚不二夫がええこと言うとる。「これでいいのだ!」ほんまにそうや。これでええねん。あとうちが付け加えるとしたら「これでもいいのだ!」やな。どんな状況でもまずはまるごと受け入れるところからすべてが始まるんやで。
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