第2話「自分の心の声を聞いて、自分がやりたいことを選ぶんや」

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名前:クララ・チェン

年齢:22歳

性別:女性

職業:国際二重スパイ

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●お悩みの内容


私はクララ・チェンと呼ばれる二重スパイだ。生まれは中国人であるが、実は中国の秘密機関である紅星とCIAのために密接に働いてきたのだ。


私の立場は極めて複雑で、とてもリスクが高いのだが、それでもこの仕事を捨てることができなかった。ある時は中国との友好関係を築くべきだと言われ、ある時は対立を深めるべきと。特に文化革命後は中国の国家主義が高まり、中国としての正体観が揺らがれることが多くなった。しかしながら中国の利益のために生きてきたのだと思っているのだから。


今私を最も苦しめているのは、CIAから最新の中国高官に対する暗殺計画の実行を要請されたことだ。同時に紅星からも彼らの最新作戦実行の協力を求められているのである。これらは明らかに相反する要請で、どちらに従ってもリスクが高い。


暗殺計画に協力すれば米中関係は最悪になるであろうし、紅星の作戦で失敗すれば私の身命は保たれないだろう。しかし私は中国とアメリカの関係改善のために生きてきたのだと思い、この時点で完全にどちらかにつくのは裏切りにも等しいと感じているのだ。


誠実さと利益の間で揺れ続け、二律背反的な立場の中で苦悩を抱える私。その中でもこの時点での選択とその結果に対する不安が克服されずにいるのだ。複雑な立場に追い込まれながらも、この仕事から離れることができないのだ。私の名前はクララ・チェンなのだ。


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●トラばあちゃんより


 へー、スパイさん。ほんまにそんな人おんねんな。うちスパイゆうたらジェームスボンドさんしか知らへんわ。


 まずクララちゃんに言いたのは、リスクが高すぎる仕事に手を染めてるんやないか? ってことやな。まったくもう、なんでこんな危険なことに首を突っ込んでんねん! ってのが正直なところや。ほんまはもっと自分の命を大事にしやなあかんねんで。あんたがうちの孫やったら100回しばきたおしてでもスパイ辞めさすわ。なにしろうちが108年も生きてきた中で学んだことは、命が一番大事ってことやからな。命があってこその物種、なんぼ金があっても命がなかったらなんも意味がないで!


 それと最近のアメリカさんと中国さんって、対立が深刻やんか。クララちゃんが二重スパイしてる立場で、どっちについたらええか、迷う気持ちはわかるけど、そんなことで苦しむなんてあんま意味ないねん。クララちゃんがどっちにつこうが、両方から裏切り者扱いされることになるんやからな。


 せやから、クララちゃん、うちがクララちゃんに言いたいことは、自分の心の声を聞いて、自分がやりたいことをするってことや。何を選んでも、どっちにつこうとも、自分がやりたいことを選ぶことが大事なんや。自分の信念を持って、自分が選んだ道を、最後まで貫いていくことや。それが、トラおばあちゃんが108年も生きてきた中で、学んだことやねん。


 せやから、クララちゃん、リスクを冷静に考えて、自分の心の声を聞いて、自分がやりたいことを選ぶんやで! トラおばあちゃんは、あんたが幸せになれることを、遠い大阪から祈ってるからな!

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