第4話 作戦決行
「同じクラスの橘ゆいとです!
今日誕生日なんやろ?おめでとう!」
「うん!そうなの!ありがとう!!」
俺の作戦は完璧だ。何をするかを決めてしまえば後は実行するのみでありそこに戸惑いはない。自己紹介しつつお祝いのメッセージを入れることで相手は送ってきた人が誰か認識できお祝いをする為だけに追加してくれたというプラスなイメージも自分に付けることができる。そして自然に会話の流れに持っていけば自分の気持ちを知ることができる。
これこそ完璧な作戦である。
はずだった。
「いきなりおめでとうってきたからびっくりしたよね?ごめんね」
「軽井くんもさっき言ってきてくれたから大丈夫だった!」
「れんとは前から連絡とってたんやろー?」
「うん!軽井くんとは1か月半前くらいから取ってるよーやっぱ面白いよね軽井くんて。」
「馬鹿なだけよ。あいつは笑笑」
「みんなカッコイイって言ってるし話してみると面白いしすごいよね。れんくん。」
彼女の話を聞いてもでてくるのはれんの話題ばかりで知れたのは自分の気持ちではなく彼女のれんに対する気持ちだった。
俺はれんと違い身長は普通くらいで顔はイケメンではない。彼女はいたことはあるがなぜ出来るのか分からないと周りからは言われてきた程だ。
彼女と話していくうちにれんと西野さんは両思いなのだと俺の中で答えが出た。
何か感情が湧き上がってくる。とても気分が悪い。あぁこれが嫉妬か。
そして気づいた。
「俺はこの子のことが好きなんだ」
彼女と話したのは今日が初めてだ。
だけど彼女のことはずっと目で追っていた。
一人の子がいたらそばに寄ってあげるところ
みんなに対して平等で優しいところ
授業中目をこすって頑張って起きてるところ
周りが誰かの悪口を言っても乗っからないでそれを注意するところ
常に笑顔でいるところ
そんな彼女をいや初めて会ったあの日から一目惚れしていたのだと気づいた。
気づいた時には遅いと言うがホントなんだな
さっきまではっきりと見えていた彼女からのメッセージが次第に見えにくくなっていく。
どうやってこの会話終わらせよう
俺から始めちゃったし、寝るねとか言って終わらせればいっか
「もぅ寝るね。喋ってくれてありがとう。」
「おめでとうって言ってくれて嬉しかった!私の方こそありがとう!。」
「うん。じゃぁおやすみ」
「あ、1ついいかな?」
「ん?どしたの?」
「橘くんのことなんて呼んだらいい?」
なんでそんなこと聞くんだろうと思いながら、れんと付き合うための仲介人てわけねとひねくれた答えを勝手に出した。顔だけじゃなく中身まで腐ってんなと思い自分に対し呆れてしまう。
「橘かゆいとでいいよ」
普通でなんの面白みもない返事をした。
「じゃぁゆいとで!学校じゃ恥ずかしいから呼べないかもだけど、こっちではゆいとって呼ぶからアヤメって呼んで!改めてよろしく!」
「おけ、よろしくアヤメ」
「ごめんね寝る前やったのに。仲良くなりたかったからどうしても聞きたくて!」
「いいよ!気にしないで!」
「ありがとう!おやすみ!」
「おやすみ!」
俺は一連の会話を何度も読み直した。
そして結論に辿り着いた。
彼女は天使なんだ。僕の中の天使だ。この廃れた心を癒してくれる唯一の救い。彼女を愛し守り続けよう。
数分前の悲しみは一気になくなり胸の高まりは収まることなく俺は次の日学校へ向かった。
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