第2話 誕生日前夜

「何も無かったじゃないか!!」


5月19日の放課後、俺は部活の帰り道1人悩んでいた。


なんでこうなった!?これは俺のミスなのか、そもそも俺が悪いのか、てか俺西野さんのこと好きなのか?よく分からん!!いやまて、俺そもそもあの人と話したことすらないじゃん。そんなのあるわけ…いや俺もしかしてあの人のこと。なんだこの感情!こんなの始めてすぎる、もはやイライラする。あぁ!バカがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!


なぜこうなったのか、時は昼休みまで遡る。


「明日ってさ、西野さんの誕生日やん?てかあの人思ったより喋るんやな。まじ意外だわ。」


4限終了のチャイムと共にれんがすぐに横にやってきた。ほんと毎日一緒にいるのにこいつとの会話は尽きないし飽きない。いつも通り俺の知らない話題でも平気で話しかけてくる。最初こそ困ったが今ではそれが当たり前になりこいつと同様、俺もいつも通り何も考えず昼食をカバンから取り出しながら適当に返事をする。



「あぁ、そやな。」


俺の手がカバンの中で止まった。



…ん?こいつ今なんて言った?



彼に返事をしてから時間にして10秒あっただろうか。俺の頭の中は彼の発言を思い返し気づいた時にはパンクしていた。どこからツッコミを入れようかそもそも聞き間違えたのかとすらも思ってしまった。


そして状況を整理するため俺の頭がフル回転し始めた。


4月の4日に始めて彼女と出会い、今日に至る5月19日まで俺はれんとずっと一緒に行動していた。休日を除き、トイレ、授業のグループワーク、休み時間、係の仕事までこいつは俺の横にいた。俺とこいつが一緒にいない唯一の時間は部活の時間。つまり放課後だけだ。だが、西野さんはそもそも華道部なので月に1度しか部活がなくそれ以外はすぐに帰っているか友達と話している。そして俺達も平日は毎日部活をしているので放課後に話す暇などないはず。では一体いつ話したのだろうか。


悩んでいても仕方がない直接聞こう。


「れんいつそんなに仲良くなったんだよ。」


俺は焦りを笑いで誤魔化しながら彼に聞いた。


「え?ライカでやりとりしてるだけやで?あのクラス替えで初めて会った日の夜から。」


俺はこいつを舐めていた。こいつがコミュ強で女の子大好き人間なのは知っていたがここまでとは思っていなかった。


そもそも何故こんなに彼女のことで悩んでいるのか不思議で仕方なかった。そして俺はその疑問を持ったまま部活を終え帰り道を1人で歩き今に到る。















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