第19話 火野秀平の戦い

 S市内にある深い森の中に、志摩光子しまみつこ達は移動していた。そこは、秀平と接触した場所からよく見える無人島だった。

 夜の森は、風に揺れる葉音がどこか不気味だった。しかし、自分がこれからしようとしていることを考えると、むしろ神が自らを罰してくれるような気さえして、光子には心地良く感じられた。

 光子とて、娘を救うためとはいえ、こども達を犠牲にすることに心苦しさは感じているからだ。

 

「やっと、儀式の時間ね」


 護衛役である三体の荒神に、儀式の準備を整えさせた。今、四人のこども達は、石畳の上に仰向けに寝かせており、その中心に輝美を横たわらせる。

 ここまで、想像以上に苦労させられた。捜索時間が長かったこともそうだが、驚いたのは、火野秀平の抵抗だ。

 一見は圧勝に見えた戦いかも知れないが、あの時の彼は平静を保てない状態だった。知り合いと敵対しなければならないという覚悟が固まらない状態だったこと、こども達のことに気を取られ過ぎたこと、輝美の援護が得られず動揺していたこともそうだ。さすがは、金翼きんよくの欠片の持ち主といったところか。

 セイクリッドファントムと戦った、孫悟空の神核をもつ神霊子である男性SPからは、ここに来てすぐに治療を申し出られたため、許可した。どうやら、防御に使った右手が、複雑骨折していたらしい。たった一撃で、だ。

 娘との関係性も気になるし、これ以上彼と事を構えたくはなかった。

 

「四神をこども達から抜き取って、地球に還す……そうしなければ、輝美と世界に未来は無いのだから……」


 光子は、改めて覚悟を決める。

 たとえ娘から恨まれようが、娘の恋人に殺されたとしても、この任務だけは完遂しなくてはならない。

 許しを請う資格など、ありはしない。結果的には、何の罪もないこども達を犠牲にすることを、良しとしているのだから。


「それでは……始めましょう」


 光子は、己の神霊である玄奘三蔵を召喚する。そして、自らは神具であるティンシャを手に取り、世の理の乱れを整えるための音を鳴らした。これは、対象者のヒーリング能力を、活性化させるためのものである。

 自然の中で五感に感じる光や色彩、音、香りまた風のそよぎなどの心地よい刺激は、そこに訪れる人の心を和ませ、体の緊張を解してくれる。自然から生まれ、自然の一部ともいえる人間にとって、自然は「癒し」や「生命」のエッセンスに満ちた、心と体の本当の故郷と言えるのかも知れない。

 儀式に選んだ森は、それを感じやすい場所だと判断し、選定した。

 生物が本来の力を出す為には、「力を抜く」時間が必要になる。力を抜くことは、心と体の緊張をゆるめてリラックスすることであり、リラックスした時間は、体に内在する自然の回復力を活性化する大切な時間となる。心がホッとし、体も心地よいと感じる時間であり、自分の心と体、そして自分自身を喜ばせる時間といってもいい。音は、そうした生物がもつヒーリングの力を働かせるために用意したものである。

 そして、今回の対象は、こども達の中に潜む神霊。青龍、朱雀、白虎、玄武といった、四神と称される神話生物が相手なのだ。


「出て行きなさい……罪なき子を、解放しなさい」


 鐘の音が鳴り響く。その度に、こども達の肉体が、それぞれの神話生物のイメージカラーである青、赤、白、黒の光を放つ。


 何度、繰り返しただろう?

 光子の顔に汗がびっしり張り付いた頃、ついに四人の身体に光が、天に向かって伸びていった。


「それじゃあ……ここからが、始まりってトコかしら?」


 光子は再び、鐘を鳴らす。

 こども達の身体から金色の光の粒子が吹き上がり、輝美の身体に集まり出した。


 ◇◆◇◆

 

「やっぱり早いね。瞬間移動って便利だわ」


 テレポートを使って≪シーズン≫の事務所に戻ると、玄関口で綱吉さんと姉ちゃんが待っていてくれた。二人とも、いつもと変わらない様子を見せている。

 こちらと事を構えるつもりはない――ということか。


「秀平」


 姉ちゃんが、俺の肩を掴み、強引に目線を合わようとしてきた。


「痛いな。なんだ?」

「志摩光子の居場所がわかった」

「どこ?」

猿蟹島さるかにじまだ。わかるだろ?」

「マジかよ……!」


 猿蟹島は、S市内にある無人島で、東京湾最大の自然島とされている。釣りや海水浴、バーベキュー等、一年を通してアウトドアを楽しめる観光名所だ。

 

「素通りしちゃったよ……」

「そこに、四神が現れた。凶悪な姿になってな」

「なんだって?」

「確かめるまでもない。そこに、チータ達もいるはずだ」


 姉ちゃんがスマホを見せてくる。画面には、猿蟹島の上空で暴れまわる、四神の姿が映し出されていた。

 ただし、姉ちゃんの言う通り、全体的に鋭利且つ凶悪さが目立つようになった、悪堕ちしたような姿で。


「秀平君。すぐにでもそこに向かおうとしている君に、知っておいてもらいたいことがある」


 綱吉さんが、いつになく真剣な面持ちで、俺を見据える。


「なんでしょうか?」

「君の神霊――金翼の正体についてだ」

「正体、ですか……?」

「もっと正確に言えば、ルーツというべきだね」

「はぁ……」


 今さら、気にしてもしょうがないと思う。けど、綱吉さんは意味のないことをする人じゃないから、何かあるのかも知れない。

 逸る気持ちを抑えながら、次の言葉を待つ。


「それは、この世界の根幹を司る――世界の監視者である、あらゆる生物を超越した力を持つ創造主の化身、その片割れである女神……それが金翼だ」

「女神って言われても……」


 俺は、そんな綺麗な女の人なんて見たことない。

 ていうか、創造主って言葉がまず意味不明だった。


「0から1が生まれ、1が集まり続けて無数となり、それが世界を成す……だけど、その何もない空間から、果たして何か生まれるだろうか? そして、それは自然と集まり続けるものだろうか? 誰かが操作しているんだ。それが創造主」

「えぇ……?」


 急に壮大な話になってきたな。正直、それだけならさっさとスルーしてチータ達を助けに行きたいんだけど。

 そんな俺の焦りを見抜いた姉ちゃんが、俺の後頭部をグーで殴った。


「よく聞いておけ。本当にあいつらを助けたいんならな」

「わ、わかったよ……」

 

 綱吉さんは苦笑しながら、話を続ける。


「創造は破壊から生まれ、創られたものはまた破壊されていく……世界はこの繰り返しで、今、出来上がった世界だって、そうしたサイクルの中から生まれたものなんだ。つまり、創造主は、創造と破壊の力を、監視者に託した……創造を司る≪金翼≫、破壊を司る≪銀竜ぎんりゅうにね」

「でも、俺の神霊っていうのは、その欠片なんですよね? 金の方の」

「そう。欠片というわけだから、その能力は本家本元と比べたら圧倒的に足りない。もっとも、それだけでもほとんどの神話生物の力を凌駕しているわけだが」


 それが、俺の力の本質であり、ルーツというわけか。

 でも、俺の辞書の中身が更新される程、ビックリするような情報ではなかった。仮に金翼が創造主とやらの力だったとしても、それで現状を変えることが出来なければ、何の意味も無い。


「それでも知識は武器だ。知っているだけでも、きっと君の力になるはずだ」

「は、はい……ありがとうございます」

「それを踏まえた上で、君にこれを渡しておきたい」


 綱吉さんは、ジャケットのポケットから首飾りのようなものを取り出し、俺の手に握らせた。受け取った物を確認すると、それは銀色に輝く、何かの動物の牙のように見えた。狼の牙か、象牙だろうか?

 

「これは、銀竜の牙と言われている。破壊を司る生物の牙とくれば、何かの役に立つと思わない?」


 破壊を司る、銀竜の牙。金翼の『創造』のスキルと、対を成すもの。

 綱吉さんの話を信じるならば、この牙には、『破壊』のスキルが宿っていることになるのか。


「……あの」

「ん?」

「なんで、ここまでしてくれるんですか?」


 世界の監視者だなんて、大仰な存在に関わるアイテムをポンと手渡してくるなんて、詐欺でもなければ、何を企んでいるかわかったもんじゃない。いくら綱吉さんが善人だからといって、ここまでしてもらっては、逆に疑ってしまう。上手く行き過ぎている――そんな気さえする。

 なんで、渡す相手に俺を選んだ?


「君の疑いは当然のものだよ」


 綱吉さんは、あっさり認めた。


「君に全面的に協力することは、僕の目的に合致するんだ。だから手を貸すのさ」

「……その目的、聞いても良いですか?」

「なんてことはない。監視者の蘇生だよ」

「蘇生?」

「銀竜はともかく、金翼は前世界の消失と共にその肉体が滅んでいる状態にあると言われている。それが本当かどうかを確かめたいんだ。歴史の証明をしたいんだよ」

「証明……」

「そのためにも、金翼の欠片をもつ君には、是非ともその能力に磨きをかけてほしいんだよ」

「だから、俺を戦わせてたんですね」


 経験に勝る材料はない――そういうことか。


「君にとっても悪くない条件のはずだよ。最悪の事態になっても、それを覆せる可能性が生まれるわけだからね。ただの神話生物には出来ない芸当だ。それこそ、神を名乗る、ただパワーがあるだけの人間と比べても、ね」

「……期待外れになるかも知れませんよ?」

「いや、君は必ず、僕の期待に応えてくれる」


 綱吉さんは、俺の両肩に手を置き、俺の目を見る。


「君と僕は、波長が合う。共感し合っている。そんな君だからこそ、僕は君に≪金翼≫を任せるべきだと思ったし、銀竜の牙も託せたんだ。最高の結果を迎えられるようにするために、最高の準備を手伝ってあげたかったのさ。今、出来ることをね」

「今の、最高……」

「どれだけ理屈を並べようと、世界を感じるのは君の心だ。世界は心……そうとわかってさえいれば、この先、君がどうするべきか、迷わず決められるはずだ」

「はい……」


 自然と、気持ちが昂っていくのがわかる。

 今、俺が求めているのは、輝美とチータ達の救出。

 それを成し遂げるための力は、たった今、託された。


「手を伸ばせばいいじゃないか! それを成し遂げられるだけの力は、君の中で確実に育っている! 後は、行動すれば良い! そうだろ?」

「……はい!」


 そうだ。やるべきことは、わかっている。

 先に待っている不安を恐れている場合じゃない。とにかく、今は行動しなければならない。今を生きているのだから、先の不安や過去の後悔を引きずるのではなく、先に待つ結果を最高のものに仕上げるために、今の時間を使うべきだ。


「すみません、ありがとうございます」

「さぁ、行っておいで!」

「はい!」


 俺は再び、横須賀市にテレポートをした。


 ◇◆◇◆


「良かったんですか、秀平にあれを託して?」

「良いに決まってるさ。彼には、こんなところで潰れてもらっては困るからね」

「かといって、完全に立ち直ることを願っているわけではないでしょう?」

「実の姉である君が、そんなことを言ってはいけないだろう?」

「あいつが決めて、そんで辿り着いた結果なんで。いちいち構ってられないですよ。逆もまた然りです」

「相変わらず、猫みたいなことを言うね」

「私は、あなたのすることに興味があるだけって言ったでしょう? そのために秀平が必要なら、受け入れますよ」

「……すまないね。彼は、君にとっては、唯一理解者と言える肉親のはずなのに」

「馬鹿言わないでください。何も考えてないから、否定する言葉が無いだけですよ。あいつの場合」

「過剰に知識を取り込んでいるだけの人間では、ああも素直にはなれないよ?」

「ガキってことです」

「良いじゃないか、ガキだって。無理に立派に振舞おうったって、いつかは絶対パンクするんだから。真面目な人間程「うつ」になりやすいっていうのは、そういうことだよ?」

「だから、あいつは金翼に選ばれた……?」

「資質があったことは充分だ。後は、彼女達が上手くやってくれることを祈るだけだ。この世界の、地球の存続を賭けた、大博打なんだからさ」

「……ま、そういうノリは嫌いじゃないですよ」

「見させてもらおうじゃない。金翼が選んだ男が、どんなことを成し遂げるのか」


 ◇◆◇◆


 テレポートで辿りついたのは、海沿いのショッピングモールの屋上だった。周囲は、突然現れた謎の生物による破壊活動で大混乱に陥っていた。今は、警官隊による避難活動が行われており、みんなが本土から見える猿蟹島から少しでも離れようとしているところだ。

 なので、俺が急に現れても、気にする人は一人もいなかった。


「いくぞ、セイクリッドファントム!」


 俺はセイクリッドファントムを召喚すると同時に、『創造』のスキルを『変身』に変える。セイクリッドファントムは、少年の姿から、5メートル大の、青い眼をした赤いドラゴンに姿を変えた。銀色に輝く頭部の二本の角、巨大な一対の翼、筋骨隆々とした四肢。今までの『変身』のスキルでは出来なかった、明らかなパワーアップだ。

 俺はドラゴンに変身したセイクリッドファントムの背に乗り、空を飛ぶ。海面に近い高さで低空飛行をしながら、猿蟹島を目指す。

 所要時間は、5分に満たない――そう思っていたのだが、


「ゴルゥゥゥァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

「おわぁ!?」


 突如、海面からドラゴンと化したセイクリッドファントムより大きい何かが現れた。


「あいつ、青龍か……?」


 それは、青い龍だった。だけど、目の前にいる神話生物は、俺が良く知る青龍よりも二回りも巨大化しており、何より爪や角、歯、鱗等、全体的に鋭利なフォルムをしており、目も血に染まったように赤くなっている。

 そして、一番の問題は――目の前の青龍は、こちらに殺気をぶつけてきているということだ!


「くっ!」


 咄嗟に、セイクリッドファントムを急上昇させる。さっきまでいた場所が、青龍の吐き出した水流によって塗り潰された。さらに恐ろしいことに、水流は海面を割り、本土のコンクリートで舗装された道路を、瞬時に切り裂いた。


「おいおい、お構いなしか――ってぇ! 今度は上からか!?」 


 空を見ると、今度は赤く燃える怪鳥――朱雀が待っていた。大型化しているのは青龍と同様で、しかし翼を除いた肉体は、漆黒に染まっている。こちらに発射した複数の火炎弾は、命中こそしなかったが、一瞬だけ海面に大穴を空けてしまった。


「パワーアップしたんは向こうも同じってか!」


 セイクリッドファントムが必死に青龍と朱雀の攻撃を避けている間、俺はチラリと本土を見る。そちらでは、巨大化した白虎と玄武が暴れまわっていた。ショッピングモールやマンションといった高層建築が、はしゃいだこどもが積み木の蹴り倒すように破壊されていく。

 巨体に見合ったパワーアップを果たしているのは、白虎と玄武も同様のようだ。

 白虎は全身に電気を纏った黄金の光を纏って、全身の毛を逆立たせている。駆け回るだけで衝撃波が発生し、次々と建物をなぎ倒す。

 玄武に至っては、変形して鎧武者のような戦闘ロボットになっていた。黒い装甲は、駆け付けた米軍や自衛隊の戦車が発射した砲弾を受けても、ビクともしない。逆に、装甲の隙間から放たれた無数のビームが、戦車を次々と溶かしてしまった。

 すぐに止めるべきだ。

 だけど、俺には俺の目的がある。自分勝手なのは承知の上で、唇を噛み締めながら、決断した。


「急げ!」


 俺はセイクリッドファントムを猿蟹島に着陸させる。それから、元の少年の姿に戻ったセイクリッドファントムを連れて、森林へと足を踏み入れた。幸い、青龍と朱雀は追ってこなかった。


 猿蟹島は無人島とはいえ、レジャー施設が整っているということもあり、看板や獣道を舗装した通路がある等、実はかなり人の手が入っている島と言える。だから、自分以外の神霊子の反応を追う上で、足場の悪さに邪魔をされることは無かった。スタミナに気を遣いながら、小走りで移動する。


「……近い」


 よく知る神力を感じ取り、さらに奥に進む。

 やがてレンガ積みのトンネルが見えてきた。確か、ここいらは砲台跡等、旧軍施設の跡地になっていたはずだ。俺が生まれる前、ここで特撮の撮影が行われたこともあるという話を聞いたことがある。

 そんな場所で、彼女達は仰向けになって倒れていた。


「チータ! スゥ! フーコ! シェン!」


 駆けつけようとしたけれど、その前に三つの影が目の前に降り立った。

 光子おばさんと一緒にいた、孫悟空モドキたちだ。


「「「…………」」」


 無口な連中だったが、邪魔する気満々のようだ。


「てめえら……死ねっ」


 どうしようもない怒りを発散する、実によろしくない理由だけど、それでも彼らによってチータ達は攫われた。

 借りは、返しておかなくっちゃあならない。


「キェー!」


 孫悟空モドキが跳躍し、頭上から俺の脳天目掛けて如意棒みたいな武器を振り下ろす。


「ブギィー!」


 猪八戒モドキはフォークを構えながら突進してきた。真正面から俺を突き刺すつもりのようだ。


「シュシュッ!」


 背後からは、沙悟浄モドキが両手のサイを構えて、こちらに接近してきた。

 正に、三位一体の攻撃。相手も今度は容赦なく俺を殺すつもりのようだ。

 

 だったら――本当に容赦はしなくていいな。


「さて」

「「!!?」」

 

 ――スキル『創造』を使用。『超能力』に変換。


 前後から来る豚野郎と河童野郎は、セイクリッドファントムの両手から放つ念動力によって、その場で動きを止めさせる。サイコキネシスってヤツだ。

 頭上から来た孫悟空モドキの方は、俺の方で始末することにした。

 その方法は、綱吉さんから受け取った、銀竜とやらの牙を使うこと。


「ギャッ!!」


 刹那、汚い花火が爆発した。

 手にした銀竜の牙は、俺の身の丈程もある大型の剣となった。孫悟空モドキは、振り落とした如意棒を切断され、驚愕する間もなく自らの身体も剣に吸い込ませてしまった。敵の鮮血を頭からかぶり、俺の全身が赤に染められていく。

 孫悟空モドキは、すぐに事切れた。そして、その身を光の粒子に変えて、神核諸共四散し、風の中に消えていった。


「フンッ!」

「ボギョッ!?」

「アギャッ!!」


 念じて、セイクリッドファントムに猪八戒モドキと沙悟浄モドキの体をぶつけさせる。そのまま宙に固定させて、手にした銀竜の牙で切り裂いた。

 レンガ造りの床に、赤い鮮血が降り注ぐ。

 二体の荒神はそのまま動かなくなり、孫悟空モドキと同じプロセスでこの世から消えて無くなった。


「みんな……!」


 銀竜の牙を元に戻し、チータ達の容態を確かめる。一人ずつ、呼吸と心拍数の有無、肩を叩いての反応を確かめる。


「……ウソだ……そんな、うっ…………」


 血の気が引いていく。体が冷たくなっていくのを感じる。


 ――チータ達は、死んでいた。


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