アルデバランの娘

篠宮京

アルデバランの娘

仰ぎ見た深淵のむこう 星たちは今日もさやかなささやき放つ


あの空の 遠い宇宙の煌めきに 君の瞳の瞬きを思う


キラキラと輝く星のひとかけを握りしめたら 夢叶うだろうか


いつの日か君と見上げた大宇宙

          ティプトリーもアンも 星の果てで知る


星々の光求めて旅すれば いつか見つかる僕だけの星


朝刊に踊る活字はティプトリーまだ見ぬ宇宙そらを描き尽くしたか


冬空に大きく輝く星々たちアルデバランの娘は微笑む


手を伸ばし掴みとりたい綺羅の星 彼方へ向かう窓越しに見る


さようならとうそぶく僕に勇気をくれた

          背中に見えるはオリオンの涙


手をつなぎ人々の海こえてゆく今宵が最後 アンタレスの祭り


目を閉じて「またね」と呟く別れの日 明けの明星に顔上げヒューストンの朝


星々のきらめく様は深海のたゆたう波のきらめきにも似て


傷ついた心ひとつを握りしめブラックホールに飛び込める日を 待つ


あの夜の輝きとときめき忘れないで 銀河の子らはアルデバランを目指す


いつかきっとと約束したねムーンフライト つくりものの月を見上げて口づけ交わす


忘れられた星々の彼方にあるという楽園求め恒星船スターシップは銀河を渡る


流星群と共に宇宙を超えて流れ落ち 銀河の子らの短き生命いのち


アルデバランの光見上げてこぶし握るこの次こそは成功させんと


忘れられた星々と共に子らは歌う 宇宙の旋律うたよ 響けよ高らかに


エンジンの静かなる音宇宙そら進む 新天地いづこハイパードライブの限界へ

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アルデバランの娘 篠宮京 @shino0128

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