第148話 闇の翼竜と絶望的状況
――
その上空に浮かぶ強大な存在に、俺達全員が絶句していた。
ジーラナウの奴、まさか竜を召喚するとは……。
やはり上位
これまで『
ラノベやアニメでも最強格とされている存在だけに……このメンバーで戦える相手なのか?
俺は脅威を感じつつ、《鑑定眼》でドラゴンの
【
レベル58
HP(体力):1050/1050
MP(魔力):680/680
ATK(攻撃力):1150
VIT(防御力):1080
AGI(敏捷力):350
DEX(命中力):280
INT(知力):205
スキル
《侵食Lv.10》……スキルあるいは魔法などの効果を浸透させ増幅させる。
《自己再生Lv.10》……損傷した体の部位を再生することが可能。
《ボディアタックLv.10》……体当たり攻撃。ヒットする度にダメージ率+100補正。
《竜の爪Lv.9》……爪による物理的攻撃。スキルレベル上昇と共に自身の
《貫通Lv.8》……相手の防御力を無視して80%のダメージを与えることができる。
《咆哮Lv.7》……奇声を発することで70%の確率で相手を錯乱状態にする。
習得魔法
《上級 炎属性魔法Lv.8》
《上級 風属性魔法Lv.4》
《上級 暗黒魔法Lv.3》
……うおっ、やっぱ強ぇ。
印象どおり
スキルや魔法も攻撃に特化したものばかりだ。
けどレベル58か……以前、戦った最上級
まぁ、あの時は【氷帝の国】の皆さんと共闘して勝てたようなものだけど。
あの
しかし最強モンスターに位置するだけあり、侮れない
そういや以前ギルドで、ドラゴンを相手にするのに最低レベル50以上の冒険者が5人以上は必要だと聞いたことがある。
果たして俺達だけで戦えるだろうか?
だが気になることもある。
「……確かに強そうだ。しかし先生よぉ、これだけ巨大なモンスターだ。召喚するのに相当な
ちなみにユニークスキルで消費した
したがって時間経過で回復させるしかない筈だ。
俺の問いに、ジーラナウは包み隠さず首肯する。
「ええ、その通りよ。
「なんだと? どういう意味だ?」
「さっきから言っている通り、人質交渉は続いているって意味よ。レベル70の私なら、
「ジーラナウ、貴様ァ!」
「パーティと言ったって、たかがレベル30程度の集まりじゃ、格上相手に分かれて戦っても無意味だわ。それとも岩堀君が
この熟女ダークエルフめ……痛いところばかりついてきやがる。
確かに香帆さんがいないから、ガンさんの
大したレベル差がない
強固な結界が張られた状態のままじゃ、仲間が来るまでの時間稼ぎすら期待できないだろう。
したがって「降伏しない」という選択をするのであれば、少なくても高レベルの二人を同時に相手して確実に勝つ必要がある。
でなければ杏奈を……学校のみんなを守ることが不可能だ。
ならば――。
「先生、少しだけ仲間内で相談する時間もらっていいっすか?」
「……生徒のよしみでいいわ。ただし1分よ」
俺は頷き、ジーラナウから視線を離さず後方へと下がる。
気を失っているインディを守るため待機しているヤッスに近づいた。
ガンさんと美夜琵も同じように後退り合流してくる。
「ユッキ、相談する時間を作ったのはいいけどどうするつもりだ? ギリC達を助けるため、降伏するのもやむを得ないかもしれないが……きっと僕達は渡瀬のスキルで洗脳され手駒にされるのがオチだぞ?」
ヤッスは怪訝の表情を浮かべ訊いてきた。
降伏して仲間になる=渡瀬に洗脳され傀儡にされる。
これまで起こった出来事からしてそういう運命を辿ることは明白だ。
あんな糞野郎の傀儡になるなんて断固拒否だぜ。
「それはないな。けどヤッス、一時的でいいから
「なんだって? 攻撃威力を上げるのではなく
「それでいい、頼む――それから『
「低級とはいえ、ドラゴン相手に一人だと!? 気は確かか、ユッキ!?」
「いくら真乙殿とはいえ、無謀ではないか?」
案の上、ガンさんと美夜琵から心配の声が聞かれる。
俺は微笑を浮かべ堂々と頷く。
「大丈夫だ。俺なりに勝算があって言っている。問題はジーラナウだ。あんな奴でもカンストしているからな……俺が欠けることで、みんなに相当な負担を強いられてしまう」
「俺達のことなら問題ない。学校のみんなを助けるためにも戦うしかないだろ?」
「ガン殿の言う通りだ。幸い、
「美夜琵殿、そこは僕に策がありますぞ。ユッキが不在な分の
ヤッスも自信ありげに言ってくる。
何か考えがあるようだ。
こうして俺達は意思を固め合った。
対するジーラナウは「そろそろね」と口火を切る。
「1分よ。幸城君、降伏するの?」
「ねーよ。あんたが渡瀬と別れてくれるなら9割殺しで済ませてやる。生徒として最後の情けだ」
「……それこそ無理ね。彼がいないと私は異世界に戻れない。こんな現実世界に留まるくらいなら死んだ方がマシよ。完全に交渉決裂でいいわね――死になさい」
突如、ジーラナウの全身から禍々しい魔力が放出する。
恐ろしいほどの殺意、
その異様な迫力に反応するかのように、
竜の《咆哮》スキルには相手を発狂させ錯乱状態にする効力があった。
俺はすかさず前に出て《
仲間達に影響が及ぼさないよう魔法陣の盾を拡張させてスキルを無効化した。
「舐めるなよ、
俺はそう叫び《
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