第126話 銀狐の頼みごと
こうして俺はステータス更新を終わらせた。
目標レベルも超えて順調に強くなっている。
しかし今回のドックスといい、上級
――最強の
そういや、ヤッスもレベル18からレベル21に上がっていた。
こいつも姉ちゃんから課せられた目標を果たしている。変態だが才能だけは抜群な男だ。
おまけにソロでやってきた俺の頃と違い戦闘環境に恵まれているからか、やたらレベルアップが早い。
その分、今回のような危険な探索ばかりだけどな。
どれ、こっそり《鑑定眼》でみてやるか。
【安永 司】
職業:魔法士
レベル21
HP(体力):167/167
MP(魔力):335/335
ATK(攻撃力):61
VIT(防御力):60
AGI(敏捷力):74
DEX(命中力):130
INT(知力):555
CHA(魅力):96
SBP:0
スキル
《最速唱Lv.3》……《速唱》の進化スキル、中級魔法の詠唱を短縮できる。INT+20補正。
《魔力増強Lv.2》……魔法効力を+20ずつ向上させる。
《三重魔法Lv.1》……《二重魔法》の進化スキル、3種類の魔法を同時に発動できる。レベル上昇と共に成功率が上がる。失敗した場合2種類のみ魔法が発動され、MPは3種類分消費される。
《煩悩の壁Lv.3》……煩悩を強めることにより敵からのあらゆる精神攻撃を軽減あるいは封殺する。
(その他スキル)
《看破Lv.10》《鑑定眼Lv.10》《棍棒術Lv.5》《不屈の精神Lv.10》
《アイテムボックス》
魔法習得
《中級炎属性魔法Lv.7》
《中級水属性魔法Lv.7》
《中級風属性魔法Lv.7》
《中級土属性魔法Lv.7》
《中級付与魔法Lv.10》
《白魔法Lv.5》
《黒魔法Lv.5》
称号:
人のことは言えた義理じゃないが、相変わらずの極振りだ。
あくまで
にしても技能スキルがやばいな。
《最速唱》は勿論、《魔力増強》と《三重魔法Lv.1》はまさしく
ん、《煩悩の壁》だと? 煩悩を高めることで、あらゆる精神攻撃を封殺って……そうか、だからか! これまでボス戦で様々な精神攻撃を回避し続けられたのは!?
ただし煩悩系の精神攻撃にはやたら弱いときているが……。
しかし『
魔法も最速で撃てるなら前衛でも行けそうな気がするぞ。
一方でガンさんもレベル36からレベル38とアップしている。
彼の性格もあり、詳細なステータスは見ることはできない。
レベルダウンしている癖に何故か《隠蔽》スキルはカンストしているからな。
全盛期はレベル67の筈なので、少しずつ取り戻している感じかな。
そしてガンさんにとって今後の課題は、
これから強い敵が現れるのなら、否応に必要となる場面があると思う。
毎度、香帆に頼れるとは限らないし、《穿通》スキルを持つ以上は俺でさえも抑え切るかはわからない。
そういや、香帆とアゼイリアはレベルが上がっているのか?
美桜の話だと「レベル50以降から第二の『停滞期』と言われ、レベルアップが難しくなる」と聞いたことがある。
したがってレベル60台に達するということは超難関であり、大抵は勇者など英雄クラスに限られるようだ。
「――マオト殿。実は其方に折り入って相談があるのだが」
考え事をしている中、不意にディアリンドに声を掛けられた。
岩に背凭れし上を眺めていた俺は視線を向けると、何故かすぐ目の前で褐色の大きな二つのメロンの実がゆさゆさと揺れている。
「どわっ、なんだ!? たわわぁぁぁ!!!?」
「おっとすまん。近すぎたようだ」
ディアリンドは屈んでいた姿勢を起き上がらせ、沈むように湯に浸かった。
なんだ? 今のはおっぱいの谷間だったのか……ビキニとはいえ、なんで間近に見せつけてくるんだ?
「ちょっとディアリンド、私の弟に変な真似しないでよね!」
「わたくしから謝りますわ、美桜さん……彼女、加減というものを知らないので決してやましい気持ちではありませんの」
「そう言いながらフレイアも、さっきから真乙に近すぎるわよ! 【氷帝の国】の女子は痴女が多いようね!」
「あら、おたくのファロスリエンさんの方が真乙様にやたらとお近づきになられているではありませんか? 同じパーティというだけで、わたくしと何が違うのでしょうか?」
「違うよぉ。あたしは別にマオッチの臭いを嗅ぎたいとか、隙あればぎゅっしたいとかじゃないからねぇ。そのぅ、あれよあれ、仲間としてのスキンシップだよん」
美桜の前だからか、やたら必死で言い訳をしてくる、香帆。
確かに普段やたら近いと思ったら、俺のことそんな目で見ていたのか?
嬉しいけど、なんか恥ずかしい。
それに香帆さん、俺は杏奈のことが好きなのを知っている筈なのに……。
「香帆はいいのよ。あんたほど暴走したりしないから……真乙には好きな子がいるんだから、変な真似しただ駄目だからね!」
美桜は杏奈のことは認めてくれている。
だから俺の背中を押してくれているんだ。
まぁ時折妙な焼き餅を焼いてしまうけどね……そこは姉ちゃんだから仕方ない。
フレイアは「フン! 節度くらいわきまえますわ!」と鼻を鳴らしそっぽを向く。
密かに俺の方に身を寄せながら。うわぁ、華奢な肩が俺の腕に当たっている。
節度とやらはどこに行ったんだよぉ!?
けど、すべすべした肌が超柔らかい……いかん、いかん、気をしっかり持たねば。
「すまん、ワタシが悪かった。話を進めてよろしいかな、真乙殿」
「はい、ディアリンドさん。俺に相談ってなんですか?」
「実はワタシの妹が、其方と同じ黄昏高で同学年なのだ。名は『
ん? 霧島? いや俺は聞いたことないな……。
「おお、剣道部の霧島殿ですな」
「ヤッス知ってんの?」
「勿論だ。バスト92のEカップ、中々の成長ぶりだと以前から評価していた」
「いや、おっぱいじゃなくて、人だよ人」
「え? ああ……いや別のクラス意外は特にな」
こいつ結局おっぱいでしか見てないじゃん。
引き籠りだったガンさんは当然知らないだろうな。
「私は知っているわよ。中学の全国大会で優勝した子よね」
「そういえばアゼイリア殿は黄昏高の教師でしたな。であれば話が早い。実はあやつもワタシとは別『
「それって、その子をパーティに入れてほしいってこと?」
リーダーの美桜が率直に訊いてくる。
「いや、既に別のパーティを組んでいる……小規模の弱小だがな。おかげでレベルアップもままならず、未だ『中界層』の階層ボスにすら到達しておらん。本当なら我が【氷帝の国】に入れてやりたいのだが何分本人が激しく拒み、しばらく口も利いてくれんのだ」
激しく拒むって何故だろう? 悪評が多いからかな?
けどリアルの剣道じゃ有名な子なのに冒険者としてはうだつが上がらないとか、なんだか複雑な話だ。
「要するに【聖刻の盾】に臨時加入してレベリングをさせたいのね?」
「うむ、ミオ殿……そのとおりなのだが、あくまで姉としての願望だ。妹の意志ではない……だからマオト殿のお人柄を見込んでお願いしたいのだ」
なんだかまた面倒なフラグが立ったな。
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