第125話 露天風呂とVIP男子
「そう、そんなことがあったのね。真乙達も大変だったわ」
「ま、まぁね、姉ちゃん……今頃、徳永さんが壁に【氷帝の国】の皆さん全員を逆さ吊りにして括りつけているところだよ」
「ごめんなさい、真乙様に【聖刻の盾】の皆様……また三バカ眷属がご迷惑をお掛けしましたわ」
「だ、大丈夫だよ、フレイアさん……ハハハ」
「やぁだぁ、マオッチったらぁ。なぁに緊張してんのぅ?」
「そ、そりゃ緊張して当たり前だろ、香帆さん……こんな急展開。ガチ、ラノベばりの温泉回じゃん」
「フフフ、そうね。けど男女問わず生徒達と親睦を深めるのっていいわね。王聡くんもそう思うでしょ?」
「う、うん……サッちゃんとは幼稚園いらいか? ユッキじゃないが緊張する……ヤッスはどうして黙っている? さっきまでテンション爆発していただろ?」
「いや、ガンさん。僕は今猛烈に感動し、そして自分に褒め称えているんだ! 今日こそ『ソムリエ』として誇りを持って良かったと思えた日があるだろうか!? またこれまでのテイスティングに1ミリの誤差もなかったことに自信を持つことができた!
「この片眼鏡の魔法士ッ、やっぱムカつくのです! 見直したメルが大バカだったのです!!!」
そう、あれからさらに急展開が怒った。
俺達の騒ぎを聞きつけた、ディアリンドがバスタオル一枚で男湯に乱入してきたのだ。
徳永さんから詳細を聞き、ギロデウス、ジェイク、ストライザの眷属と20名の部下達は罰として壁にロープを括りつけて全員を並べて吊るされている。
今頃、徳永さんのサンドバック刑に遭っているようだ。
そんな拷問を見せられながら、俺達【聖刻の盾】男メンバーがゆっくり湯に浸かれるわけもなく、状況を察したディアリンドから「我が主に相談してみるから待たれよ」と言われた。
間もなくして、ディアリンドが戻ってきた。
何故か水着を着用している。
流石、バスト100越えのHカップ。完璧といえる見事なスタイルだ。
当然、ヤッスは「うひょーっ!」とテンションを上げる。
「我が主、フレイア様のご提案で一緒に湯に浸からぬかと申されておる」
「え!? 俺達が女湯に!? いや、それは流石に不味いよ!」
「まぁ聞いてくだされ。露天風呂は仕切りを外せば混浴にもなれるらしい。今、ゴザックに命じ撤去させている。其方らは今のうちに水着に着替えてくるといい」
女子達も全員水着姿で露天風呂に入るとか。
それならセーフか……ん? セーフか? いやセーフだよね?
という流れがあり、俺とヤッスとガンさんは悪の誘いを真向から断った褒美として、女子達と露天風呂に浸かることになったわけだ。
大きな岩々が積み上げられ大きな楕円形を描いた湯船。
その広さ故に湯煙で奥の方が見えづらい。
漂う硫黄の香りが、和風の情緒感溢れる風情をより際立たせている。
そんな一つの浴槽に顔馴染である姉の美桜と香帆とアゼイリアが浸かり、またフレイアとメルとディアリンドもいた。
まさに美の楽園、ハーレムと言われてもおかしくないかもしれない状況。
「それにしても、真乙様とこうして温泉に浸かれるとは思いもよりませんでしたわ。そういう意味では、あの三バカに感謝しなければいけないかもしれません」
「え? フレイアさん……それって?」
「フフフ、今のは聞き流してくださいませ」
瞳を細め柔らかい微笑を浮かべて見せる。
ギロデウス先輩じゃないけど、水着姿とはいえフレイアはめちゃくちゃ綺麗だ。
雪のような白肌が、より露天風呂の景色とマッチしており、とても神秘的で胸に疼くものを感じてしまう。
やばい……俺には杏奈がいるってのに。
けど、この中に彼女がいたら……おそらく俺の気が狂ってしまうかもしれない。
「……真乙ったら困ったものね。ヤッスくん、友達として弟が間違った方向に行かないよう正してあげてね」
「お任せください、マスター。親友として、この安永が導いてみせましょう」
ヤッスも念願だった姉ちゃんの水着姿を見て、さらに忠誠を示す番犬と化している。
弟の俺が言うのもアレだが、ビキニから確認できる完璧なスタイルの黄金比。
幼い頃は毎日一緒に風呂に入っていた身として、姉の成長ぶりに感慨深い気持ちを抱きつつ、昔を思い出すと恥ずかしくなる。
ヤッスも本来なら最も狂喜乱舞している筈が、妙に大人しくしているのは美桜と他の女子達がドン引きしないよう自重している部分もあるようだ。
三バカ兄さんの反面教師ぶりが教訓を得た部分も少なからずあるのだろう。
「マオッチ、アンナッチを泣かせるようなことしちゃ駄目だからね」
「泣かせるって……俺、何もしてないけど心に留めているつもりだよ」
何気に香帆の言葉が胸を突き刺してくる。
そんな彼女もスレンダーな体形で、控え目な曲線が逆に慎ましく綺麗だと思う。
またエルフ族の姿だけあり、まさしく妖精のように神秘的だ。
香帆も初見相手だとぶっきら棒だが、そのルックスから頻繁に同級生から年上まで声を掛けられることが多い。実際、俺も見たことがある。
けど軽そうに見えて実は超ガードが固く、あまりしつこいと凄まれ因縁を吹っ掛けられてしまう。
なので、こうして受け入れられている俺達はレア男子でありまさにVIP待遇だ。
「マオトくんなら大丈夫よ。ここまで私達を引っ張ってきたんだから……先生、信じているからね」
アゼイリアの純粋な評価は裏切れない。裏切るつもりもないけどね。
さらに反則級のJカップはビキニ越しでも見事としか言えない。
ヤッスが最も尊敬しているだけあり、グラビアアイドル越えのたわわの果実だ。
黄昏高校のマドンナ先生だと、多くの生徒から慕われ憧れられている彼女とこうして同じ湯に浸かることができる男子生徒は絶対に俺達しかいない。
不味い……色々と考えたら、ついのぼせてしまいそうだ。
ここは別のことを考えるとしよう。
ガチで今回の探索は色々なことがありすぎたよな。
夜のダンジョンの恐ろしさ思い知ったし、現に死にそうな目にも遭ったからな。
内容が濃いったらありゃしない。
けど冒険者として大幅にレベルアップできたのも確かだ。
現に俺は「レベル31」となっており、気づけば目標だったレベル30の壁を越えていた。
獲得したSBPもステ振り状態だったこともあり、SBP:500と蓄積されている。
特に今回は苦戦した分、より多く獲得できたようだ。
そんじゃ今のうちに振り分けておくか。
どれ、こういう感じにしてみたぞ。
【幸城 真乙】
職業:
レベル:31
HP(体力):285 /285
MP(魔力):170/170
ATK(攻撃力):570
VIT(防御力):1400
AGI(敏捷力):210
DEX(命中力):230
INT(知力): 200
CHA(魅力):180
SBP:0(-500)
スキル
〇新技能スキル
《ダブルシールドアタックLv.1》……《シールドアタック》の進化スキル。二枚の盾で敵に突進を仕掛ける。
《呪術耐性Lv.2》……レベルが上がる度に呪術が掛かりにくくなる。
《克服Lv.2》……敵が
(その他スキル)
《金剛ノ壁Lv.5》《貫通Lv.5》《鑑定眼Lv.10》《不屈の闘志Lv.10》《毒耐性Lv.9》《剣術Lv.10》《盾術Lv.10》《隠蔽Lv.8》《不屈の精神Lv.8》《狡猾Lv.8》《統率Lv.10》《隠密Lv.6》《索敵Lv.7》
《アイテムボックス》
魔法習得
《
《
《
《
《
《
ユニークスキル
《
特殊スキル
《パワーゲージLv.7》
称号:
特に最も低かった
なんでも
これら新しい技能スキルを三つ習得し、どれも今回の激戦を条件に覚えたようなスキルばかりだ。
また魔法も《
《
しかも
技能レベルも上がればそれだけ強くなり持続時間も増していく、今後の戦闘に活躍できるだろう。
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