第90話 俺は妖怪王になる !
【サファイアside】
「俺は妖怪王に成る !」
カラーハムスターのチュー吉がハム子やホシ美に宣言していた。
ハム子とホシ美は、キラキラと目を輝かしている。
八重や十八番と一緒に見ていたアニメの影響かな。
だけど、彼女には王は無理かな。
成るとしたら女王でしょう。
ハムスターの性別が判りにくいのは理解するけど、女の子にチュー吉はダメでしょう、七之助。
当の本人……本ハムも自分を男の子だと思っているみたいだけど指摘はしないよ、面白そうだから。
皆、気持ちが一緒なのか、ニヤニヤしながら観察している。
だけど、妖怪王なんて聞いたことが無いけど、居るのかなぁ~ ?
昼間から枝豆をツマミにして呑んだくれている、ぬらりひょんを見るとボクの視線に気がついた。
「現在、妖怪王も妖怪女王も空席なのだぞい。
神世の時代には、ヤマタノオロチが妖怪王だったと聞いているのじゃが、諏佐の王に退治されてからは、
なんだったら、サファイアが妖怪女王に成ってみるか ?
儂が推薦したら、たぶん女王に成れると思うぞい !」
冗談じゃない !
そんな面倒臭いことは、ごめんだよ!
ボクのお昼寝タイムが少なく成ってしまうよ。
「だったら、妖怪王に成りたがっているチュー吉を妖怪王にしてあげれば良いのに !」
ボク達のやり取りに気がついたチュー吉たちが側に来て、
「サファイアの姉さん、ぬらりひょんの大将、どうやったら俺は妖怪王に成れるんだ ?」
「 いやいや、ボクは普通の猫魈だから、妖怪王の成りかたなんて知らないよ 」
だって、妖怪王の存在を知ったのも今だからね。
「そうさのう、だったら儂が妖怪王に成る為の家庭教師をしてやろうか ? 」
ぬらりひょんの提案に素直に従うカラーハムスターたち。
アノぬらりひょんが親切心だけで教えてくれるとは思え無いんだけどなぁ~。
案の定、ぬらりひょんは……
「ん ? もうビールが無くなってしもうた。
儂、キンキンに冷えたビールを呑みたいのう~ 」
コラ、ぬらりひょん。 栞ちゃんに『ビールは1日2本まで』 と言われているクセに !
三匹のハムスターは台所に駆け出して、冷蔵庫を開けてから中に入っている缶ビールを取り出して運んで来てから、ぬらりひょんに渡していた。
そして、ボクの方を見ながら白々しく、
「儂、約束を破っていないぞ !
これは、ハムスター達からの貢ぎ物だから、儂 悪く無いぞな !
ツマミの枝豆も飽きてきたのう~。
確か、冷蔵庫にベーコンも有ったと思うのじゃが……」
それを聞いたハムスター達は、再び冷蔵庫に向かった。
このクソ爺、やっぱりろくでもない奴だ !
「ホッ ホッ ホッ、よきかな、よきかな。
明日辺りから妖怪王に成る為の特訓を考えてやってもよいぞ、ハムスター達よ 」
ボクだけでなく、チュー吉たち以外の妖怪たちは、ニヤニヤと ぬらりひょんを見ていた。
調子に乗っている、ぬらりひょんの後ろには、いつの間にか雫が立っている。
その表情は静かな怒りに満ちているのが判る。
そう、缶ビールもツマミの極上ベーコンも七之助の晩酌用だった。
七之助至上主義の雫に見付かったからには、ただでは済まないだろう。
ぬらりひょんのお仕置きは雫に任せた。
その様子を肴にして、マタタビ茶でも飲もうかな~。
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