第87話 口は災いの元

【サファイアside】


 八重、十八番エース、右京、愛花梨あかり、真雪は一緒に勉強をしている。


 新学期の為の予習を菅原道真公に教わりながら真面目に道真公の話しを聞いている姿に感心している。

 ちなみに、真雪の弟の雪夫は酷暑の為に家から出してもらえずにいる。

 ハーフ雪男でも雪女の血が濃い為に夏は苦手にしているそうだ。

 真雪も同じハズなんだけど、これ以上、ライバルに差をつけられたく無いのか、根性で炎天下の中を歩いてきた。

 大江戸グループの大江戸電気の最新携帯クーラーを身にまとっているとは云え、すごい根性だね。

 母親の雪女である雪子に似ていると云うより人間の父親に似たのかも知れないね、見たこと無いけど追求はしない。


 ボクは賢い猫だからね。

『好奇心、猫をも殺す』『やぶを突付いてドラゴンを出す』だっけ?


 そして、十八番以外の男の子たちは、自分の家で夏休みの宿題を片している。

 まだ、一週間あるんだから大丈夫だよね、たぶん、きっと。



「さあ、みんな、そろそろ休憩でもしようか。

 フルーツポンチを作ってきたから、食べてちょうだいね 」


 七之助が、メロンを器代わりにしたフルーツポンチを持ってきた。

 メロンの他には、パイナップルやサクランボがいろどり良く入っている。

 子供たちには大好評だ!


「夏は、どうしてもビタミン不足になりがちだからね 」


「流石、七之助は料理が上手いなぁ、小説はヘタだけど 」


 ガクッ と暗く成る七之助。

 ありゃ、少し言い過ぎたかなぁ~。

 少しイジケ始めた七之助の機嫌を取らないと、後が面倒くさいんだよね。

 仲良し家族だから、ボクの御飯のグレードが落とされてしまうからね。



「夏休みの栞ちゃんは、よく図書館から本を借りて読んでいたんだけど、苦手な算数のドリルを後回しにしていたせいで、夏休みの残り2日で泣きながら宿題をしていたんだ。

 七之助は、夏休みの宿題を最終日に急いで片付けていた口でしょう 」


 あっ、つい何時ものクセで嫌味を言っちゃった。


「う~ん、小学生の頃は真面目に夏休みの宿題をしていたよ。

 だいたいは、お盆前には宿題を終わらせていたかなぁ~。

 中学や高校は、友達と役割り分担をしていたよ。

 俺は数学担当で、夏休みのお盆過ぎ辺りに皆で集まって宿題を片付けるんだけど、誰かが漫画やゲームを始めると、皆がそれに吊られて遊んでしまい、結局は最終日までもつれ込むパターンが多かったなぁ~ 」


 おっ、けっこう要領が良かったんだな。


「栞ちゃんは友達が少ない、ちぢめて『ちゃんはがない』だったからね。

 魔魅まみくらいしか見たこと無いからコミュ症だったんだね。

 七之助もモテなさそうだから、『割れ鍋に綴じ蓋』でぴったりな夫婦で良かったね 」


 アレ、また口がスベってしまった。


「「サファイア~ ! 」」


 ヤバッ、いつの間にか、栞ちゃんまで聞いていた。


「サファイアは、当分の間はオヤツのチ◌ールを抜きにします !」


「 そんなぁ~、酷いよぉ、栞ちゃん !」


 周りを見ると、さくらやタヌキ娘、タマ、ダイフクモチがオヤツを食べていた。


「 ええーっ、ボクだけオヤツ抜きなの !?」


 栞ちゃんは、黙って台所に行ってしまう。

 一度言い出すと、テコでも譲らない栞ちゃんは無理そうだから七之助を見るも、クビを横にふるだけで、助けてくれそうに無い。


 口は災いの元


 また一つ人間のことわざを知ったけど、少しも嬉しく無いよ !



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る