第80話 夏祭り ②
【サファイアside】
「実はのう、閻魔大王からの条件と云うのは……
ぬらりひょんが、言いづらそうに言葉に言い淀んでいる。
まさか、また、厄介ごとなの !?
ゾクッ として後ろを振り返ると八重や十八番と同じ年齢くらいの女の子が居た。
「ぬらりひょんのお爺様が遅いので来てしまいましたわ。
貴女がサファイアさんですね。
わたしは、閻魔大王の
どうぞ、ユカリンと呼んでくださいね」
ブワッ ! ボクの全身の毛が逆立った。
一見すると八重と同じで、ホワホワしていて虫でさえ殺さないような顔をしている少女にボクの本能で、『絶対にこの少女と敵対してはイケナイ』と告げている。
そう言えば、この少女は何と言った……
「閻魔大王の曾孫の縁と名乗りましたわ、サファイアさん」
この娘、ボクの考えている事を読んだ !
妖怪
ぬらりひょんに文句の一つくらい言ってやろうとぬらりひょんが居た方を見ると……
「あー ! 逃げるなんて、ズルいよ、ぬらりひょん ! 」
一反木綿に乗り逃走しようとしている、ぬらりひょんを見つけた。
逃げることだけは、超一流なんだから、
「一反木綿も何で、ぬらりひょん なんかに手を貸すんだよ !
ボクに恨みでも有るというのかよぉー !」
すると、普段は白い布切れの一反木綿が、みるみる真っ赤に染まりながら、
「てめえ、サファイア ! この間に俺にしたことを忘れたのかよ !
メープルシロップなんて塗りやがって !
お陰で、『
妖怪大使館に行けば、蟲男から狙われるわ !
蜂女には巣に連れて行かれそうになるわ !
散々な目に会わせて起きながら、自分の仕出かしたことを忘れるたぁ~いい度胸だ !」
可愛い猫の ちょっとした
結局、ぬらりひょんには逃げられてしまったけど、後で覚えておきなよ !
♟♞♝♜♚♛
ユカリンは、いつの間にか子供たちに交じり馴染んでいた。
八重も十八番も言い含めてあるけど、頼むからタラシたりしないでよ、
亡者たちが祭りに混ざるのは、とりあえず大丈夫でしょう。
毎年行われる盆踊りには少なからず亡者が混じり踊っているからだ。
昔からの慣習だからか、お面🎭️を被った人には干渉してはイケナイと云うルールが代々伝えられているからなんだよね。
亡者も一応は地獄の一等書記官から審査されて合格した亡者だけが、現世に来ることを認められているから悪さはしないからね。
一反木綿は単純だから後で好物の博多明太子でもご馳走したら機嫌も治るでしょう。
祭りの夜は人間に変身して八重たちを監視しながら、ヘルメス屋の焼き鳥でも食べようかな。
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