第81話 夏祭り ③
【サファイアside】
そろそろ、夏祭りに出かける時間に成ったので、ついでにユカリンの紹介をしようと思い七之助の部屋に行くと、
「ワニが……白いワニがぁ~ ……
七之助が変だった。
「あのぅ~、大丈夫でしょうか、ご主人様は ?」
心配そうにしているユカリンに説明した。
「あ~、何時もの事だから気にしないでも大丈夫だよ。
おおかた、小説のネタに困った底辺作者がトチ狂っているだけだからさ ! 」
だけど、尚更 心配したユカリンが、
「ご主人様は小説家なのですか ?
確か、資料に寄ると和食の調理師だと書いて有ったのですが、資料が間違っていたようですね」
下調べをしてくるあたり、やっぱり油断出来ないね、地獄の住人は。
「それで有っているよ。
七之助の本業は和食料理屋の調理師で間違いないよ。
小説は七之助の趣味だから安心してよ。
何年間も書いているのに、芽が出ない煮豆のような才能なのに、
ボクの説明に顔を引きつらせているユカリン。
「ほら、七之助 !
紹介したい人が居るから、夢の世界から現実に帰ってきなよ !」
ボクの問いかけに、ようやく現実世界に帰ってきた七之助にユカリンのことを説明した。
事情を聞いた七之助は、
「夏休みの間、よろしくね、
ニッコリ !
ズキューーン ! ……何かが
『ウッ !』
ユカリンが胸を押さえていた。
七之助のアホォーーーーー !
忘れていたよ、ウッカリしていたボクが悪いの !
寄りにもよって閻魔大王の曾孫をタラさないでよね!
「七之助おじ様、よろしくお願いしますね」
「七之助は既婚者だからね !
栞ちゃんと云うお嫁さんが居るんだから、浮気はダメなんだからね ! 」
念の為に、ユカリンに釘を刺すと、
「もちろん、浮気なんてしませんわ。
わたしは閻魔大王の曾孫ですもの、大罪を犯すつもりはありませんわよ 」
ホッ とした、正直
「でも、亡くなった後の魂ならアタックしても、よろしいですわね。
わたしの初恋ですもの、簡単にはあきらめませんわ 」
あ~あ、七之助も罪な男だね。
ボクは知らないよ。
─── サファイアは気がつかなかったようだ、その様子を
♟♞♝♜♛♚
過疎化した町の夏祭り
本来なら、さみしい祭りに成るかと誰もが思っていたのだが、沢山の観光客が夏祭りを見に来たお陰で、数十年ぶりに盛り上がり、夏祭りは大成功に終わった。
ただ、子供たちや妖怪たちに祭りの出店でネダラれた七之助の財布は、ものすごく軽く成ったとか……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます