第78話 夏休み ①
【サファイアside】
キャンプから帰ってきた雫とさくらが、妙に仲良しに成っていることに気がついた。
一緒に同行した
仲良きことはいいことだ、と言うけれど、問題は二人とも『七之助‐至上主義』だから心配なんだよ !
七之助の為なら、何を仕出かすか解らないから困るんだ。
……しばらくは様子見だな、ハァ~。
子供たちは仲良く夏休みの宿題をしている。
真面目な栞ちゃんの血を引いたお陰か、真剣に宿題をしているのは感心するよ。
念の為に七之助に学生時代の頃の話を聞いたら、部活、部活で宿題はギリギリで片付けていたと聞いた。
「部活は何をしていたんだい、七之助 ?」
と聞いたら『空手道部』に所属していたと答えた。
想わず『アンタは梅さんか !』と、突っ込みを入れてしまったボクは悪く無いと思う。
まあ、七之助はお寿司屋さんで無く、和食と鰻を生業としているんだけどね。
「サファイアは、よくそんな古いアニメのことを知っているね 」
と七之助に聞かれたけど、栞ちゃんの母親である冴子ちゃんと一緒にアニメを見ていたから知っているんだ。
考えて見ると、香ちゃん、冴子ちゃん、栞ちゃんと女系家族の家に
その十八番はお好み焼き屋の右京とアイスクリーム屋の
一方、八重は
カラス天狗の孫娘の
そんなんじゃ、難攻不落の八重は落とせないぞ !
まあ、ボク達、福岡田家の妖怪たちから認められないと、お付き合いは出来ないんだけどね。
♟♞♝♜♚♛
裏庭に行くと、一反木綿が物干し竿にぶら下がり、ヒラヒラと風に揺られて昼寝をしていた。
この不良妖怪は一応、公務員のクセにこの家でサボっていることが多いんだ。
「
一反木綿に嫌みを込めて言ってやった。
「シエスタだよ、シエスタ !
言っておくが、Web小説の底辺作者の物語のヒロインじゃないからな !
妖怪公務員もワークシェアリングをしているから、当然の権利なんだからな !
決してサボっているワケじゃ無いから、そこんとこ、よろしく !」
一反木綿の反論に言い返すことが出来ない自分に腹が立った。
なんだよ、ソレ !
ボクなんか、家のことはともかく、ぬらりひょんから雑用を押し付けられていると云うのに、不公平だよ !
ポッン !
人間に化けたボクは一反木綿の所に行って、
「一反木綿、だいぶ布の生地が固そうだから、柔軟剤を塗ってあげるよ 」
「おお、サンキューベリーマッチだぜ !」
柔軟剤の代わりに、たっぷりとメープルシロップを一反木綿に塗ってやった。
スローライフを満喫している一反木綿に、これくらいのイタズラをしても罰は当たらないよね。
「おー、甘い良い匂いがするな。
香り付きの柔軟剤か、これで俺っちもモテモテに成るってもんだ ! 」
ウン、モテモテに成ると良いね、虫たちに。
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