第73話 夏休み、 さくらとタヌキ娘は七之助一家と一緒にキャンプ場に行く ! ①

【サファイアside】

 前回は、都会だったので護衛は付かなかった。

 皆、人混みが嫌いだからね。

 夏休みと云うことで、七之助一家は隣県のキャンプ場に行くことに成った。

 今回の護衛は、さくらとタヌキ娘に決まったけど不安だ。


 2人とも人間に変身して、付いて行くんだけど何故か、タヌキ娘は八重や十八番と同じ年齢くらいの児童に化けている。

 絶対に自分も楽しむつもりだ !


 それと、ボクも変身すると耳が残ってしまうから言わないつもりだけど……


 さくらは尻尾が隠せて無いし、

 タヌキ娘にいたっては、わざと尻尾を目立つようにしている。

 まあ、コスプレイヤーだと勝手に勘違いするだろうけどね。


 ……キャンプ場は川辺の近くだから、すごく不安だ。

 夏に成ってから水難事故が多発している。

 念の為にお忍びで、ミズチであるしずくダイフクモチ人狼に付いて行ってもらおう。


 ボク ? ボクは本屋の看板猫の仕事があるから遠慮した。

 芥川賞と直木賞の作品が売れていて、ものすごく忙しいんだよ。

 猫の手も借りたい程だけど、ボクはいやし担当さ。

 それと、不埒ふらちなことをするやから監視かんしと妨害をしないとね。

 仲魔の猫又に手伝ってもらう予定だ。

 ただの猫には、荷が重いからね


 ♟♞♝♜♚♛


【さくらside】


 前回の交通博物館、人混みが苦手なボクはお留守をしていたんだけど、今回のキャンプ場は一緒に行くことにした。

 でも大丈夫かなぁ~、インドア派のお兄ちゃんにキャンプなんて。

 八重ちゃんはミーちゃんグレムリンを抱きながら鼻歌を歌いご機嫌だ。

 普段は、ボク達妖怪たちが一緒だから寂しくは無いんだと思いたいけど、やっぱりお父さんとお母さんが一緒に居ると嬉しいよね。

 十八番エースくんは、栞ちゃんからスマホを借りて小説を読んでいる。

 お兄ちゃんの小説を読んでいるかと思っていたら、別の人の書いた小説を読んでいた。

 うん、お兄ちゃんには黙っておいた方が良さそうだね。

 ナイーブ豆腐メンタルなんだ、お兄ちゃんは。


 キャンプ場に着くと、お兄ちゃんは事務所に手続きに行き、ボク達は待つことに。

 あらかじめ、言い含めたお陰で、八重ちゃんも十八番くんも水辺に行こうとしない。


 普通の人間には見えないのだろうけど、川からは沢山の手が出ていて、と手首を上下に振っている。


『川辺には危険が、いっぱいだから、無闇むやみに近づかないように !』


 おじいちゃんぬらりひょんから言われていた通りだね。


 キキィー !


 大きなキッチンカーが僕たちの乗ってきた車の脇に止まった。


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