第72話 仲魔と式神 ②

【サファイアside】


「『むやみに妖怪を拾ってくるな !』

 と、あれほど注意していたのに !」


 ボクが七之助に怒ると、八重と十八番エースが間に入って、


「お父ちゃんは悪くないんだもん !

 それに拾ったんじゃなくて、クジで当たったんだよ !」


 八重の説明だと、今一理解が追い付かないんだよなぁ~、児童だから仕方ないんだけどね。

 十八番が八重に捕捉する感じで話してくれた。


「交通博物館で、お父さんからオコズカイを貰ったのですが、姉さんが怪しげな男が売っていたに興味を持ってしまいまして、止める間も無く、クジを引いてしまったんです 」


 怪しげな男 ?


「だって、1等は『ドラゴンの卵』だと言ったんだよ !

 2等で『フェニックスの卵』

 ハズレでも『コカトリスに成る知れない卵』だったんだもん !

 絶対に欲しく成るよね !」


 ウチに居る妖怪たちが、八重の言葉にうなずいている。


「そんな怪しい奴から買ったらダメでしょう !

 返品は出来なかったの、七之助 !」


 ボクが七之助をにらみながら言うと、


「それが言葉の上手い男で、『ああ言えばこう言う』と言う感じで言いくるめられてしまったよ 」


 まあ、七之助は口下手だから仕方ないか。


「どんな奴だったの、七之助 ? 」


 外見が解れば、後からとっちめることも出来るからね。


「縦長のラッキョウ型の顔でネズミのようなヒゲと前歯があって、ローブ状のの布一枚を体にまとった姿をしていたよ。

 最初、一人称が『オレやオレ様』だったけど、子供たちがだまされたと思ってにらむと一人称が『アタシ』に成ったよ」


 七之助の証言だけでは埒が明かないと思っていたら、ぬらりひょんの様子がおかしい。

 脂汗を出しながら具合が悪そうだ。


「すまないが、風邪をひいたみたいだから休ませてもらおうか、ゴホッ ゴホッ !」


 ぬらりひょんが風邪をひくなんて、今年の風邪は たちが悪そうだね。

 子供たちにうつされても困るから、


「わかったよ。 お大事にね、ぬらりひょん 」


 ぬらりひょんは、よろめきながら離れの自分の部屋に向かって行った。


「それで、返す前に卵がかえってしまったから返品が出来なかったんだよ。

 卵から孵るなり、八重になついてしまったから尚更なおさら 引き離すことが出来なかったんだ、ごめんね、サファイア 」


 ハア、インプリンティングと云う奴だね。

 卵から孵って、初めて見た動くモノを親と認識するんだ。

 仕方ないとは云え、インチキ商売していた怪しい男には、いつかお仕置きしないとね !




 ※作者より


 短めで、スミマセン。

 リアルの仕事が忙しい為に次回の更新は未定です。

 出来れば、木曜日には再開をしたいと思っています。


 よろしくお願いします🙇

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