第67話 サファイアとルビー
【サファイアside】
ここのところ忙かったので、久しぶりに本屋さんに行くことにした。
看板猫のボクが居なかったから心配していたけど、ボクの本屋さんは繁盛しているみたいで、人だかりが出来ていた。
う~ん、今日は人気作品の発売日かな ?
アニメ化が決まった、アノ作品かな ?
ひとだかりを、するすると避けながら進むと、
「キャアー、可愛い。 黒猫のサファイアちゃんも良かったけど、白猫のルビーちゃんは神々しいわ ! 」
「ツン、とした態度が猫らしくて素敵 !」
ボクのレジ横の席には、義妹のルビーがいた。
小さな子供たちが近づいてくると、レジ奥にあるキャットタワーの上によじ登り、子供たちを見下ろしている。
ガッカリした子供たちだったけど、
「あー ! サファイアが家出から帰ってきたよ、お姉ちゃん 」
家出 !?
何で、そんな事に成っているの !
確かに最近は留守にしていたけど、家出なんてしていないよ、ボクは !
アルバイトの埼玉姉妹が、ボクを見つけて、
「お帰り、サファイア。
しばらく会わない間に
長女の愛が心配そうに近づいてきた。
すると、子供たちまでが心配してきて、いつものように近づくのを我慢しているようだった。
ああ、そうか。 ルビーは人見知りするし、騒がしいのを嫌うから、ボクの代わりに仕方なく店番をしていたんだな。
ボクの姿を見付けたルビーは、
「
一声、鳴いた後に店の奥に引っ込んでしまった。
よし、後で美味しいゴハンでもご馳走しよう。
七之助の子供たちの面倒を見ているんだから、ウナギやマグロくらいおごってくれるよね。
本屋さんのアイドルであるボクは、子供たちの前に行き、
コロン、ウニャウニャと寝転がり、
「
ボクがなくと、子供たちに通じたようで、一斉にワラワラとボクを撫で回してモフりはじめた。
嬉しそうに撫で回す子供たちとコミュニケーションを取ると、帰ってきたんだと実感した。
猫魈として、妖怪たちをサポートするより看板猫、本屋さんのアイドルをやっている方が、しっくりするんだよね。
気がすんだのか、子供たちが放れると、今度は猫好きの大人たちが撫ではじめた。
「わあ、ツヤツヤしてる~♪」
「サファイアみたいに愛想の良い猫は少ないから、帰って来て嬉しいよね 」
猫生いろいろ、人間いろいろ、猫だっていろいろ 咲き乱れるから面白いんだよね。
一通り、みんなからの歓迎が終わると、埼玉姉妹の
「ご苦労様、サファイア。
やっぱり、サファイアが看板猫だと、あらためて実感したわ 」
そうでしょう、そうでしょう。
やっぱりボクがいないと、この本屋さんは
一仕事終わった後のミルクは最高だね。
いつものボクの
♟♞♝♜♛♚
一眠りしたら、お客さんが だいぶはけていた。
ノビをした後、どんな本が人気なのか、チェックしないとね。
本棚の上はボク用に通り道に成っているから、本棚の上から平積みに成っている本をチェックした。
迷っているお客さんが居たら、ボクがおすすめしないとね。
……相変わらず、漫画とラノベが人気みたいだね。
もちろん、当然のことながら、七之助の本は無い。
卵は卵のまま、
時々、『予選突破した !』と喜んでいる姿を見るけど、七之助は所詮はそこまでなんだから、いい加減に
まったく、本当に諦めが悪いなぁ~、七之助は。
八重や
この諦めの悪い七之助に祝福を !
いっそのこと、ボクが七之助の観察日記をコンテストに応募した方が早い気がするよ。
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