第46話 幸運を呼ぶホワイト・ウィッチィー ①

 あれから数ヶ月後、……


【魔魅side】


 来てしまった、恐れていたものが……

 栞と助さん七之助の披露宴の招待状が。


 わたしと俊夫としおの披露宴の時には祝ってもらった手前、欠席するワケにはいかない。

 悔しいことにボッチは、わたしだけで サリーは新婚だしアッコもメグ、モモもお付き合いしている彼氏が居る。


 アッコの彼氏の大作だいさくもメグの彼氏の和真かずま、モモの彼氏の眞魚まおも俊夫の友人だから、わたしと俊夫の情報は駄々漏れだから始末に終えない。


 未紗みさ師匠が言っていた言葉を思いだす。

「わたし達、白い魔女ホワイト・ウィッチィーは幸運を呼ぶと言われているのよ。

 わたし達と結ばれた男の人は幸せに成れるの。

 もう一度くらい元旦那にチャンスをあげても良いんじゃないの ?

 甘やかすばかりが優しさじゃ無いのよ。

 時には厳しくしつけるのも妻の役目なの 」


 なんて言っているが、 美紗師匠自身が年齢=彼氏いない歴なので説得力が無い。

 四股していた男はカウントしないそうだから、わたしは間違っていないと思う。

 そういう、わたし自身も俊夫とは、だった為に いまだに清い身のままなのは内緒にしている。

 だって、結婚生活が短かったとは云え、俊夫との関係が無かったのが知れたら、わたしが魅力が無いように思われてしまうからだ。


 今日の火の車お好み焼き屋の営業も終わり二階の自分の部屋で 晩酌をしている。

 一階が店舗、二階が自宅に成っている物件を居抜きで買って良かったと、つくづく思いながらキンキンに冷えた缶ビールと店に居る時に作って置いたツマミを食べながらニュースを聞き流しながら晩酌するのは最高ね。

 通勤時間が、ゼロなのも最高だわ !

 疲れきった身体での帰り道は本当にしんどかったわ。

 それに、前の職場のハゲ部長やゴマすり課長からのセクハラやパワハラから逃げることが出来たのも良かったわね。


 ♬♫♪♩♬♫♪♩


 スマホに電話が入ったようなので確認すると、お母さんからだった。

 本当は無視したかったけど、お店を買う時に お母さんからも援助してもらっているから電話に出ることにした。


〖もしもし、マミ。 忙しいのは解るけど、たまには連絡くらい寄越しなさいよ !

 お父さん、さみしそうにしているわよ。

 モー ! 本当に薄情なんだから、マミは !



 お母さんの愚痴は止まりそうに無いので、若干イラついていた わたしは、


「お母さん、わたし仕事で疲れきっているのよ!

 用が無いのなら切るわよ、電話 ! 」


 言ってから少し後悔したけれど、言ってしまったものは仕方ないわ。


〖……この娘は、まったく、もう!

 気の短い処は、いったい誰に似たのかしら。


 アンタお母さんだよ ! 言ったら逆ギレするから言わないけどね。


〖俊夫くん、アルバイトだけど働き始めたそうよ !

 もう一度くらい、彼にチャンスをあげても良いんじゃないの ?

 マミと俊夫くんは、まだ……


「じゃあ、疲れているし、明日も早いから電話を切るからね、お母さん 」


 あわてて電話を切ったものの、最後にお母さんが言ったことが気になった。


 直接見に行くのも、俊夫にまだ気があるように思われるのもしゃくさわるし…………

 そうだ!


「 ポジ、ネガ、わたしとお母さんの会話は聞いていたでしょう。

 ふたりは、明日、俊夫の様子を見てきて !

 別に俊夫のことなんて、どうでも良いけど、一応は元・夫婦だったから、少しだけ気に成るのよね 」


 こういう時、使い魔が居ると便利でいいわね。

 わたしの飲み残しのビールを呑んでいた 二匹は、


「おう、俺達に任せてくれや ! 」


「マミは泥船に乗ったつもりで待っていてね 」


 すでに酔っ払っている二匹に不安を感じるけど、火の車お好み焼き屋を休むワケには行かないから仕方ない。

 まったく、誰に似たのかしら、ポジとネガは !


 …………後、もう一本缶ビールを呑んだら寝ることにしましょう。

 ツマミは、まだ有ったかしら……






 ※作者より


 6月1日から奇数日に更新をしています。

 お陰様で、アルファポリスのライト文芸大賞の最終日の順位は33位で迎えることができました。


 応援、愛読ありがとうございました。

 もう少しだけ続く予定なので、引き続き よろしくお願いいたします🙇



















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