第41話 七之助、また ヤラカシました !
【七之助side】
家に着くと見知らぬ女の子が出迎えてくれた。
犬耳と尻尾が付いているけど…………まさか !?
「もしかしたら、君は俺が拾った迷い犬のダイフクモチなのか ? 」
そう聞くと、彼女は嬉しそうに尻尾を振りながら、
「お帰りなさいませ、ご主人様 !
確かに
ご主人様の命令通りに父君をお守りしていたでござる 」
もしかして、この娘も妖怪なの ?
綺麗な銀髪に犬耳にフサフサな尻尾が付いている健康的な美少女だ。
詳しそうなサファイアが居ないので、タヌキ娘やタマを見ると、
「なんで、こんな所に人狼が居るのよ !!
サファイアが言っていた通りね。
ご主人様、節操無さすぎ !」
「七之助の犠牲者が、また一人。
本人は気に入っているようだけど、七之助の名付けのセンスは当たりハズレがある博打だと云うのがわかった 」
タマとタヌキ娘が俺をデスっていた。
さくらは、ダイフクモチが子犬だった頃に会っていたせいか驚いていない。
栞さんは静かに震えていた。
もしかして、犬が苦手なんだろうか ?
「モフモフがまた増えた !
七之助さんは最高の旦那様です、貴方に出逢えて本当に良かったです ! 」
そう言いながらダイフクモチの尻尾や耳を撫で回していた。
お付き合いをしてから判ったことだけど、栞さんは もふらーだったのだ。
とにもかくにも可愛いモフモフな動物が好きらしく、彼女の部屋は可愛いモフモフなぬいぐるみで溢れている。
サファイアは必要以上に撫で回されるのが苦手らしく、よく俺の部屋に逃げて来ていた。
さくらは
俺の部屋に居る時は、皆が元の猫や小狸、子狐の姿に戻るせいか、時々 栞さんが部屋を覗いている。
サファイアに頼まれたからではないが、気付かないフリをしている。
もう、初夏も過ぎて蒸し暑く成ると云うのに、甘えッ子のさくら だけで無く、タヌキ娘やタマまでが一緒のフトンに入ってくるから暑苦しくて仕方ない。
サファイアは冷めているのか、少し離れたタンスの上から高みの見物をしている。
🐱🦝🐺🐶
ダイフクモチに案内されながら家に入ると、父さんが待っていた。
「七之助、お帰り。
まさか、生きて七之助の嫁に会えるとは思わなかったよ。
さあ、母さんにも報告してくれ 」
俺が母さんの仏壇に行って祈っている間に父さんと栞さんは話をしているようだった。
一方、
母さん、俺の嫁に成っても良いと云う女性が居たよ。
本郷栞さんと云う女性で俺には勿体無いくらいの素晴らしい女性なんだ。
彼女に出会わなければ、たぶん一生独身だったと思う。
嫁(予定)を連れて来るのが遅れてごめんなさい。
気がつくと栞さんが隣で同じように祈ってくれていた。
彼女が祈りを終えると一緒に父さんが用意した お茶を飲みながら、あらためて彼女を紹介した。
栞さんと相談していた通りに、一緒に住むことを父さんに提案したけど、
「七之助、栞さん、気持ちは嬉しいが新婚家庭の邪魔をする気は無いし、七王が家族を連れて帰って来ると言っているから大丈夫だ。
ただ、七王の嫁さんと娘が動物アレルギーだから
動物アレルギーだけで無く、妖怪なんて普通の人は知らないだろうから大騒ぎに成るからな 」
ヘッ ? 父さんの様子からして妖怪の存在を知っていたのかな。
不思議そうな顔をしている俺に、
「何だ、知らなかったのか ?
七之助が小さな頃から、よく拾ってきた犬たちは、みんな人狼だったんだぞ。
途中で居なくなったのは、皆 人狼の里に帰ったからなんだ。
お別れを言えなかったことや正体を教えてやれなかったのも妖怪の掟(おきて)が有ったからなんだよ。
皆、お前たちに挨拶を出来ないことを悔いていたぞ 」
「
「ああ、そう言えば 全員 七之助が名付けをしたんだったな。
人狼の
父さんは、ああ言うけどワンコ達も さくら達も喜んでいたと思うんだけど俺の勘違いだったのか ?
「お兄ちゃん、ボクはお兄ちゃんの味方だよ ! 」
「拙者も、拙者もご主人様の味方でござる ! 」
先を争うように、さくらとダイフクモチが俺を励ましてくれた。
ウンウン、俺は幸せ者だよ、みんな。
🦝🐺
【タマside】
また、さくらが
「ここは、わたし達がしっかりしないとダメなようね、
モグモグ モグモグ モグモグ
タヌキ娘は出されていた茶菓子やバナナや果物を食べるのに夢中で話を聞いていなかった。
サファイア、どうやら貴女とわたしが最後の
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