第40話 七之助、実家に帰る……嫁(予定)とお供(妖怪)を連れて。

【七之助side】


 栞ちゃんのご両親、秀幸ひでゆきさんや冴子さえこさんは警察庁のエリートで二人共に予定が合わない為に後日に会うことに成り、とりあえずは俺の父親に栞さんを会わせることに成った。


 今回は栞さん以外に、さくらとタヌキ娘、タマが付いてくることに成った。

 妖狐とは云え狐を連れ歩くのを躊躇ちゅうちょしていると、


 ポンッ ! 🍃


 着物を着た美少女に化けたタマは、


「これなら文句無いでしょう、ご主人様。

 サファイアの代わりにわたし達が、ご主人様たちを守るから絶対に一緒に行きますからね 」


 追いて行く気が満々だった。

 サファイアは、あやかし世界の大使館から仕事を依頼されて出かけている。


「知らなかったよ、妖怪の大使館が有るなんて !

 この歳に成っても知らないことは沢山あるんだなぁ~」


 栞さんも知らなかったようで、


「わたしも知りませんでした。

 普段は本屋の入り口で寝てばかり居たので、


『猫は気楽で羨ましいわね、サファイア。

 でも看板猫だから良いのかしらね 』


 なんて言っていたのだけれども、働き者だったんですね、サファイア 」



 と云う訳で俺が運転する車には助手席に栞さんが座り、後部座席には人間に化けたタマとタヌキ娘とさくらが仲良く座っている。


「ウチは座敷わらしが留守番をしてくれるそうだから大丈夫よ、ご主人様。

 ああ見えて、座敷わらしは強い妖怪だから安心して留守番を任せられるからね、こそ泥なんて撃退してくれるから安心よ 」


 車の窓から家を見ると座敷わらしが微笑みながら見送ってくれている。


 最近は物騒だから安心した。

 普通の人には座敷わらしは見え無いそうだから彼女座敷わらしも危害を受ける心配も無いだろうからな。


 運転中に栞さんから家族のことを説明していた。

 父親の名前は洸六ひろむ、亡くなった母の名前は京子、東京で働いている弟の名前は七王なお、俺の二つ下の弟だ。


「あの~、名前に漢数字を入れるのが七之助さんの家の伝統なんですか ? 」


 栞さんからの質問に、


「そうみたいですね、福岡田の家は。

 だから俺と栞さんの子供は『八』の付く名前に成ると思います。

 スミマセンが父親が元気なので、伝統を無視出来ないんですよね、本当にごめんなさい 」


 栞さんは心配そうにしながら、


「どういう名前を考えていますか、七之助さん ? 」


「う~ん、男の子なら八斗えいと十八番ええす八海はっかい勘八かんぱちかな。

 女の子なら 八重やえ咲八香さやか八星はちせ彩ハいろはと云うところですかね 」


 俺の答えに栞さんは真剣な顔をしながら、


「わたし、頑張って産むように頑張りたいと思います ! 」


 ムンッ、と力を込めている栞さん。

 女の子の名前を気に入ってくれたのかな ?


 車のバックミラーには、あきれた顔をしたタヌキ娘とタマが居た。

 さくらだけが、


「ボクだけは、お兄ちゃんの味方だよ !」


 と、アピールしていた。


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