第10話 愛は地球を救う と言うらしいけど愛だけでは食べていけないよね ! ③
サファイアの奴、栞さんを猫の子みたいな扱い方をしやがって……
「だいたい栞さんだって迷惑に決まっている。
年の差だってあるんだぞ !
第一、栞さんにちょっかいをかけたら、香さんの旦那の
孫の栞さんを凄く可愛がっているのは、サファイアだって知っているだろう 」
遼さんは、普段は好好爺の見本みたいな人なんだけど、孫のことに成ると人が変わるんだよな。
「大丈夫だよ !
オッチャンは香ちゃんに気に入られているからね。
だいたい遼には女性関係のことで、人のことを とやかく言う資格なんて無いんだからね。
若い頃は、『茨城の種馬』なんて呼ばれるくらい女性にだらしなかったんだから ! 」
それは知らなかったな。
今の姿からは想像出来ないけど、長生きしているサファイアの言うことだから本当のことなんだろう。
「栞さんの両親、
秀幸さんや冴子さんは警察のエリートで、現在は警察庁に勤めていると聞いたことがある。
だから、栞さんは 祖父母の本屋さんの裏にある家に同居しているんだ。
個人情報を知っているのは、俺がストーカーだからでは無く 勤めているお店から、よく出前が行くから店の女将が情報を教えてくれるんだ。
どうやら、独身生活が長い俺のことを心配してくれているようだ。
店での拘束時間が長いから女性との『縁』が少ないことを気にしているようだ。
女性との『縁』が出来ないのは、休みの日でも出不精な俺は部屋に閉じ籠り、さくらと遊んだり、本を読んだりしている上に最近は小説を書くように成った為に、ますます出不精に成ったせいなんだけど。
「大丈夫だと思うよ。 むしろ、オッチャンなら
栞ちゃんの前の彼氏と違って、浮気をしなさそうだからね。
今、栞ちゃんに迫っているマコトからは、沢山の女の人のニオイがするから嫌なんだよ。
その点、オッチャンからは美味しそうな匂いがするからボク達、猫だけじゃなく犬達からも人気があるからね 」
ああ、普段の仕事で焼いているウナギの匂いや天ぷらの匂いかな ?
「お兄ちゃんの料理が美味しいのは、サファイアだって知っているでしょう !
前に食べさせてもらったウナギは美味しかったんだから !
ボクは魚よりお肉が好きなんだけど、ウナギだけは別だね !」
ああ、そういえば去年の夏に、さくらが夏バテしているみたいだったから、試しに鰻重を食べさせてみたら食欲が戻ったんだよな。
昔は、店の庭に居た にゃん太郎やウッシー達にウナギの頭を焼いてから煮炊きした奴をあげたっけ。
今度、にゃんゴローやウッシッシにも久しぶりに作ってあげようかな。
「なにそれぇー ! ボクは長生きしているけど、ウナギなんて食べたことが無いのに、さくらばかりズルいよ !
オッチャン、ボクにも Please give me a unagi.」
げっ ! サファイアの奴、俺なんか英語が苦手だったのに、妙に発音が良いぞ !
♟♞♝♜♛♚
※作者より
アルファポリスのライト文芸大賞に参加しています。
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