第21話 ずっと続けばいいのに

葵達はデパートを満喫していた。


「みのりちゃんかわいい〜!」

「えへへ」

葵は魔法少女のコスプレをしたみのりをスマホで激写していた。

「あ、葵ちゃんがあんなテンションになるなんて...」

初めて見るハイテンションの葵に若干驚いた花がボソッと呟いた。

「花さん!花さんはこれ着てください!」

「え゛っ...だってこれ...」

「私はこっちを着ます!」

どうみても魔法少女...

ていうか女児アニメのやつじゃ...

「着て...くれないんですか...」

花の持っているものとは別の色の衣装を持った葵が悲しそうな顔で下を向いた。

「あー!はな!あおちゃん悲しませたー!」

「えっ!?」

「いけないんだー!あおちゃん!ふたりだけでもみのりいいよー!」

嘘...あの子私をハブにしようっての...!?

かといってあの服は...

でも着れば葵ちゃんの元気が...

あー、わかったよ。

「き、着る」

「え....なにかいいました...?」

「き...きさせて....いただきます」

私の振り絞ったような声を聞いたみのりがニヤリと笑った気がしたが気のせいだよね。


「「まじかる〜〜〜!!!」」

「マジカルー」

ハイテンションな2人と死んだ目をした花の声がデパートに響き渡った。



「トイレ〜」

ちょうどトイレを見つけたみのりがはしって入っていった。

2人だけの時間。

なんだかとても懐かしい気がする。

初めて会った時の葵ちゃんは...

なにもかも諦めてずっとごめんなさいって呟きながら泣いてたよね。

それが今では自分より小さな子を守るために体を張れるくらいまで成長した。

寂しいようでうれしい。

でもなんで私は葵ちゃんを助けようとしたんだろう。

あの時、なにか...

忘れてる気がするけどなにかと葵ちゃんを重ねて...

「....さん」

なんだっけ?

「花さん」

「えっ?」

「ぼーっとしてどうしたんですか?

あ、平和だなって思ってたんですね?

わたしもですっ!」

あ、私この子好きだ。

守られてる時の葵ちゃんも今の明るい葵ちゃんも好きだ。

助けたことに理由なんてなかったんだ。

好きだから助けたんだ。

な〜んだ、悩んで損した〜

「うん!そうだよ!」

「えへへ、みのりちゃんまだかな〜」

2人は壁にもたれかかって雑談しながらみのりを待った。


それから別行動をしていた大和・聡介ペアと交流してお昼ご飯を食べた。

不思議なことに従業員がいなくても食べ物は出てくることに再度驚きながらも久しぶりのご馳走を堪能した。

その後もいろいろと楽しんだ。

オシャレな服を見たり、ゲームセンターで大きなぬいぐるみをみのりにプレゼントしたり...

「あはは〜!くま!くま!」

「そんなに走ると落としちゃうよ〜」

大きなくまのぬいぐるみを持って走るみのりを追いかける葵。

とその光景を後ろで見ている3人。

「みのりー!葵のいうこと聞けよー!」

「あらあら、パパは心配性ですねぇ」

「そうですわね奥様」

「うるさいぞそこ2人」


「はぁはぁ...みのりちゃん足速すぎ...」

「あははー!」

でも...平和だなぁ。

楽しいなぁ。

ここにきてからケガしたり裏切られたりでろくな事がなかったけど...

今、すっごく充実してる!

この平穏がずっと続けばいいのに。

ぷにっ

後ろからほっぺをつままれた。

「たぶん私も同じこと考えてるよ」

「は、はなしゃん」

「その顔みたら分かるよ〜」

だって我慢できないんだもん。

ニヤニヤしちゃう。

「お前ら2人だけじゃないぞ、俺もだ」

「もちろん僕もだよ」

気がつくと葵の周りにはみのり以外の3人も集まってきていた。

4人で笑っているとみのりの前に誰かがたっていることに気づいた。

なんだか嫌な気がする。

心がざわついてる。

「や、大和さん!」

「大丈夫だ、敵意はねぇ

あいつの心の中は穏やかだ」

違う...

「そうなの?でも僕はなんだか嫌な気がするよ」

動いて...!

「でも大和の能力で真田くんが安全って分かったのよ?

みのりも警戒してないみたいだし、話だけでも聞いてみましょ」

動いてよ!私の体!

「....げて...」

「えっ!葵ちゃん!?」

よかった!動いた!今行くから!

「みのりちゃん!逃げ」


ボトッ


みのりの首が落ちた。

「あ...ああ....いやああああああ!!!!!!!」

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