第8話

…ココは何処だろ?

見回しても視界が黒く何も見えない

ワタシ、死んだのかな?

何で死んだんだっけ?

モヤモヤするけど、まぁいいか

しばらく闇の中漂っていると小さく弱々しい光が近くに現れ、あまりに弱々しさに思わず私はその光に手を伸ばした

すると遠くで強く眩い白い光も出現した。私にとってその光はなんとなく神経を逆撫でされている様な嫌な感じがして咄嗟に小さな光を護るように身体を盾にして白い光から遮った瞬間急に身体が重くなり底のない下へ堕ちて行った

これが最近夢に見る私、菊月 早苗の事故で亡くなり魂だけになっていた頃の朧気に覚えている記憶だった。



あ゙ー、よく寝た。(⊃_ ̫ _)⊃

おはようございます。皆様お久しぶりですね、リマです。

目が覚めたらお父様とお母様がいて同じく一緒のベットで寝ていた弥生君と悲鳴をあげそうになったが、喉がカスカスで声は出なかった。

どうやら教会襲撃?事件からずっと眠っていたらしいんだよね。3日!!3日も眠り続けていたんだよ!!そりゃ声も出ないわ(¯∇¯;)。水分を取りながらお父様達が3日の間に起こったことを簡単に説明してくれた。

どうやらあの後確認した結果教会の地下室には私達がロープで縛った術者達が居たが全員亡くなっていたらしく、詳しく調べてみると彼らは儀式が失敗した時用に魔法陣に魔力を吸い取り暴走させる術が仕込まれていたが何らかの要因で失敗し代わりに彼らの生命を吸い取り死に至ったらしい。……魔力が無くて失敗したんだな、多分。幸い探索した衛兵達に暴走した者は出なかったらしいので安心した。

「2人とも身体の調子はどうですか?何か違和感はありませんか?」

「なんでもいい。本当に些細な事でもいいから違和感はないか?」

説明が終わりやっといつも通り声が出るようになった頃、お父様とお母様が私たちの顔を覗き込みながら聞いてきた。

「えっと…先程からずっと頭と背中が痛いです」

「…あと私は尾てい骨ら辺も同じく違和感あります…」

それを聞いたお父様とお母様は顔を見合わせ、私たちの背中や頭を触った後青ざめながら部屋を出て行った。

改めて部屋を見渡すと馴染んできた使用人部屋ではなく辺境にある我が家の自室だった。どうやらあの襲撃を受けラブハート公爵が私たちに休暇をくれたらしい。エリザお嬢様には長期休暇を取るのだと説明したからゆっくり休んでくれと伝えられたけど、せっかくエリザお嬢様と打ち解け始めたのに残念だな、と思ったのは秘密だよ。(´•ω•`)


さて、久しぶりの我が家帰還。

「ティガ、リマ。着替え終わったらすぐに書斎に来て下さい」

「はい、お父様」

私たちは荷物を置きに自分の部屋に向かった。

「ねぇ、早苗ちゃん。お父様達の様子おかしくなかった?」

「うん、なんか焦っている様だった…」

やっぱり気のせいじゃなかったんだ。2人は病み上がりの私達を気遣っていたけど懐中時計をよく確認していたし空の様子を気にしていた。目が覚めたのが太陽が真上に登っていた頃で今は空が橙に染まっている。さっきも少し早口で言われ、いつも冷静な2人にしてはおかしかった。

「とりあえず書斎に行けば何か分かるんじゃない、ティガ」

「そうだよね行こうか、リマ」

着替えた私たちは少し不安を抱えながら書斎に向かった。だから気が付かなかった。いつもより自分たちの影が濃く、両親が頻りに確認していた空には満月が浮かんでいた事に…。


書斎に着く頃にはすでに月が顔を出し始めていた。

「コンコンコン…失礼します。ティガ、リマです」

「…早く入りなさい」

「失礼します…」

部屋に入るとカーテンが閉まっており両親の顔は暗くてよく見えず、空気も重く苦しいくらいだった。

「ティガ、リマ。貴方達に話さなければいけない事があります」

お母様は覚悟を決めたようにルビーの様な紅い瞳を私たちに向けた。

後を引き継ぐ様に光を飲み込むの様な黒い瞳を伏せながらお父様が続きを話し始めた。

「突然だが、太陽にはどんな力が宿っているとされているか覚えているか?」

「悪を裁く力です。」

小説でも触れられていたから覚えてるけどなんで突然そんな事を聞いたんだろ。

「そうだ。ならば、月はどんな力が宿っているとされているか知っているか?」

「……?」

「あぁ、まだ教えてなかったな」

お父様が目配せするといつの間に窓際に移動していたお母様がカーテンを開け、私たちに月光が降り注ぐ。

その瞬間ゾワッと魔力が逆立った。

「そう、真なる姿を暴く力だ」

そういえば小説でも言ってたような気がするけど、それよりも血が沸騰したように熱い。

椅子から立ち上がりお父様は私たちの目の前に立つ。

「ところで今日は年に一度訪れる月の力が大きくなる日だ」

お父様はまるで授業の様に話し続けている。

身体中からメキメキと軋む音が聞こえる。

「まぁ、毎年天気が優れず月を見れないんですけどね」

お母様は苦笑しながら言った。

痛みで意識が朦朧としてきて私も弥生君も立っていられず倒れた。

「貴方達は一度亡くなっているのです」

「妾が3人の子を妊娠したのですが、私の力を欲した女神によって1人は奪われ、残った2人は魂を抜き取られ息をしていませんでした。」

「当方らは手を尽くしたが既に魂が何処に放り出されたか分からない状態だった。」

「しかし、雷が鳴った瞬間抜け殻だった赤子の身体に魂が戻り産声を発しました。」

そこでふとカーテンも閉じた明かりがない室内で両親の瞳の色だけはとても色鮮やかに見えている事に気が付いた。



「それが貴方達ですティガ、リマ。

いいえ、こういった方がいいのかしら…蘭月 弥生さん、菊月 早苗さん」

前世の名が呼ばれた瞬間私達はヒュッと息を飲み、いつの間にか痛みが消え、身体がいつもより軽く、魔力も倍になった事すら気が付かないくらい全身の血が引きガタガタと震えが止まらなかった。

「誤解しないでくれ、別に当方らは君たちに害を加えたい訳では無い。寧ろ我が子を守ってくれた事を感謝している。」

「さて、とりあえず2人とも今の自分の姿を見てください。」

パチンッとお母様、ロートさんが指を鳴らすと目の前に小さい角を生やした少女と頭の上に黒い輪を浮かべた少年の人形が現れた。どちらも浮世離れした鬱くしい容姿で紅と黒のオッドアイが目を引いた。隣で弥生君が右手を上げる気配がすると正面にいる少年人形は左手を上げた。私が手を伸ばし近づくと少女人形も手を伸ばしながら近づいて来た。そして私の指先と少女の指先がガラス越しに合わさる。

まさかと思い隣を見ると目の前に向かい合っていたはずの少年が立っていた。

……えっ、この目の前にいる人形みたいな子って私たちなのΣ(゚ロ゚;)!?

私たちは鏡を見比べて驚いた。

「怯えさせてすまない、君たちは人間ではないんだ。」

「正しくは悪魔と堕天使のハーフです。その影響で他から狙われやすく…」

振り返ると月光を背に角と尻尾を生やした息を飲む程美しい漆黒の瞳の美丈夫と黒い光の輪を宙に浮かべた炎の煌めきの様な紅の瞳の美女が立っていた。しかし彼らの口から出る声はお父様とお母様のもので、間違いなく両親だと云う事を表していた。



「尊( ´ཫ`)死」「オゥフ…(゚ω゚;)」

……思わず変な反応になったわ。2人の姿を見た弥生君なんて気絶寸前だし

「…おい待て、寝るな!!私を置いてくな('д'⊂彡☆))Д´)パァン」

「!!!( ゚д゚)ハッ!!!!今、とてつもない、この世に存在しているとは思えない、めっちゃ凄い、ヤバいくらい尊いモノを見た夢を見た!!!!」

「うん、それ夢じゃない!!現実!!」

語彙無くなるの分かるけど、予想打にしない反応で両親困っているじゃん。

「貴殿らは突然人間では無いと言われて怖くないのか?」

「いえ、自分たちは元の世界では亡くなっていますし、怖さより驚いたと言うかなんか逆にしっくりきたと言いますか…」

「私も同じ様な感じですね。この姿も2人の姿も怖いと言うよりウツクシイ…(遺言)と思う気持ちの方が強いです。」

思った事をそのまま言うと両親はキョトンとした顔をした後顔を見合せ笑いだした。…なんか変な事言ったかな?


「…コホン。先程の続きなのだが、蘇った双子を鑑定すると彼らの魂を守るように別の世界から来た魂が彼らを包み込み保護していた。」

「えっ、双子の魂は私たちの中にあるんですか?」

「はい、我々神に近い者は自身の魔力を石に変えることができるのでその応用で魂を石に変え今は宝石の中で眠っています。」

そう言って私たちの左耳に付いた宝石を指さした。

えっ、この宝石双子の魂なの初耳なんだけど∑(OωO; )!!

「改めて、そして当方らの赤子の魂を守ってくれた事、感謝する。そして元々普通の人間でしたのにこんな姿にさせてしまってすまない。」

そう言って2人は私たちに頭を下げた。


「まぁ、話が少し逸れた。貴方たちは本来の姿に覚醒した事によって魔力が増えた訳だが」「制御の出来ない魔力はとても危険です。明日からまた鍛錬を再開しますね。覚悟しておいて下さい。」


(´・д・`)ヤダ…個人的に秘密を知った時よりもその事実の方が衝撃的だった。



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