第6話

突然ですが問題です。私たちは今どこにいるでしょうか?

正解は…見知らぬ地下祭壇前に設置されている魔法陣の中でーす\(^o^)/。

なぜこんな状況になっているのか簡単に説明すると、週に一度の買い物をしに市場へ来たら拉致された。以上!!

今日はお嬢様が家庭教師の元で勉強している間にお嬢様独り言から作成した食べたいもの&欲しいものリストに書かれている材料を購入し、買い溜めして置く日だったのだ。人間は独り言を言った数日後に高確率で実行したくなるから仕込みは大事よ。要望が来なくても買ったものは全て影に入れるので劣化もせず、何時でも美味しい状態で保存されている。こういう時影魔法って便利だなって感じるわ。

そしていつも通り弥生君と雑談しながら買い物をしていると薄暗い路地に差し掛かった瞬間私たちの体は路地の中に引き込まれ、すぐに麻袋を被せられどこかへ連れていかれた。麻袋を被せられる前に一瞬見えたエンブレムは聖教会のものだった。



そしてしばらくするとバッと私たちにかけられていた麻袋が乱暴に取り払われた。そこには薄暗く湿っぽい地下室の様な場所で大勢のローブを被った人達が巨大な魔法陣を囲む様に立っていた。

「お前らが悪魔を守護し仕えてる子どもか。なんて愚かな事をしているのか分かっているのですか!おぉ神よ、この愚かな魂に救済を!!」

なんか神父っぽい服装の人が私たちにそう言ってきた。なんでも『赤い特徴を持った無垢なものに悪魔が宿って国滅ぼす』って神託が下って国中の赤い特徴を持つ赤ん坊を保護という名目で教会に集め観察、殺害していたらしいけど旦那様はお嬢様は自分達で守ると言って渡さなかったんだって。

旦那様ナイス(๑•̀ㅂ•́)و✧。

で、しばらく迂闊に手出しが出来なくなって他の子ども達に悪魔が取り憑いて無かったから彼女だけだと目星が付いたが屋敷の警備は固かった。しかし、あのお披露目でやっとチャンスが廻ってきたと思い実行に移したらしいが残念ながらそれは私たちによって阻止されお嬢様殺害には至らず、逆に多くの同胞が相打ちし合う事態になった。あの後もエリザお嬢様を狙っていたらしいけどより警備と結界が強化された影響もあり迂闊に近ずけなくなったらしい。ざまぁ✌︎(´^ω^`✌︎)。

「だからお前たちには忌々しい悪魔に対抗する為に我らが信仰する大いなる女神の子、天使を呼ぶ生贄になってもらう。我らの計画を邪魔したお前らが最後に世の役に立てる事を光栄に思うといい!!」

そう言い神父は私と弥生君を魔法陣の中央へ放り込んだ。要するに八つ当たりだよね、これ。尻を思い切りぶつけて痛いんだけど!!私がモゾモゾとぶつけた場所を摩っていると魔法陣の周りにいた奴らが神を召喚しようと呪文を唱え始めた。すると魔法陣の中央に虹色の光が集まり、ブラックホールの様に彼らから魔力を吸い込み出した。無論1番近くにいる私たちの魔力が多く吸い込まれていく。体が吸い込まれないよう光に背を向け2人で身を寄せ合った。

回想終了、今に至る。

ヤバいわ〜。某変わらない吸引力が売りの掃除機並に魔力吸い取られてマジヤバいわ〜。



side:狂信神父

我らの神を召喚する儀式が始まった。何でもこの子どもたちはあの時悪魔の子と一緒に誘拐されたが無傷で誘拐犯から彼女を救い出し屋敷に戻ってきたらしい。仲間同士の殺し合いがあったあの惨状に無関係なはずがない。だから同胞の無念を晴らすため、その後も忌々しい悪魔の子に仕えている子ども達を生贄に選んだのだ。 せめて悪魔の子の代わりに彼らが苦しめばいいと思っていた。


「---ン〜なんか吸い取られていく感覚気持ち悪いわ!!」

「でもこうなんでも吸い込むのってあれみたいじゃね!!」

「あれってなによ!!」

「ピンクの…なんて言う名前だっけ!!」

「えっと…★の……ごめん、思い出せない!!だけどなんでも取り込むって言ったら私違うの思い浮かべた!!」

「なに?」

「┌(┌^o^)┐ホモォ…」

「なんでそれ思い浮かべたんだよ!!」

「色んな意味で取り込むでしょ!!腐女子の想像力舐めるな!!擬体化可愛いぞ!!」

このままだと魔力が枯渇して生命エネルギーも吸われるという状況で双子は目の前の光景から連想した事を聞こえずらいのか大声で話していた。可哀想に、あの悪魔に関わらなければ長生き出来ただろうに。会話を続ける彼らに哀れみの視線を向けた。だから我らは気が付いていなかった。会話が進むごとに光がピンクになったり白くなったり綺麗な虹色からどんどん濁り黒く変色し、魔力ではなく『杖』や『魔宝石』などいかにも“力がありそうなモノ”を中心に吸い込み出したことに。気がついた頃には手遅れでどうやら我らの神の召喚式に彼らが連想したイメージが組み合わさり何か違うものが召喚されるらしい。慌てて2人を黙らせる為に魔法を打ち込むが放った魔法は全て彼らの後ろ、神モドキに吸い込まれていった。


「えっ、取り込んだものの能力をコピーできるの?!!」「杖が吸い込まれていく。総員障壁を張れ!!」

「そっちこそ擬体化の見た目が可愛いって本気?!!」「ダメです!!魔宝石も吸い込まれていきます!!」

「私が可愛いと思ったなら可愛いだろ!!」「あぁぁぁ我らの、我らの神が!!」

「確かに趣味似ているから後で見せて!!」「なんで彼奴らは平気なんだ!!」

我らがパニックになっている間双子はと言うと危機的状況に反して呑気にも話が盛り上がっていた。いつの間にか魔力を吸い取る対象が魔法陣の内側から外側に移り代わり、魔法陣を囲っている魔道士達の数は魔力を吸い尽くされてしまい狂い、悲観するもの、笑い続けるもの、なんとか魔法陣を守ろうとするものと別れていた。


『ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ーーーー!!』

「あれ?なんか周り騒がしくない!?」

「ホントだ、なんで周りの奴らが倒れているんだ?!」

やっと双子がこの状況に気がついた。彼らの反応にイラッとしたのもつかの間、魔力の尽きた我は気を失った。

.........気を失う直前、ポンッと軽い音を聞いたような気がした。



吸い込まれない様に踏ん張りながら弥生君と会話()していると、周りが騒がしくなり気がつくと周りのローブの人物達は倒れピンピンしているのは魔法陣の中央にいる私たちだけだった。なんで?そう思っていると後ろからポンッと音がした。

恐る恐る後ろを振り返るとそこには.......

黒い何かがいた。

なにあれ?見た目は┌(┌^o^)┐ホモォの擬体化にそっくりだけどギザ歯の口の様なものがついているだけで顔らしきものはなくて、手足も肉球らしきものついているかと思いきや水掻きが付いていたり正直動物かすら分からない。

「弥生君、アレなんだと思う?」

「さぁ、自分こそ聞きたいよ。…とりあえずこの人達どうにかしない?」

「そうだね。」

そう言い私たちは黒い何かを刺激しないよう静かに地下室から出ようとした瞬間だった。

『ァァァールゥージィィーーー!!』

黒い何かは私たちの方へテチテチと歩いてきた。えっ、音が割れたラジオの音声の様な声だったけど主って言ったような…。もしかして武君と私を主人だと認識している?!どうしようか隣の弥生君にアイコンタクトを送るも同じ表情をしていたのでどうすればいいのか分からない。

「ま、まぁ奴らを縛ればるか」

「そ、そうだね。」

『ギャハッハッハッハッハッハハッハッハッハッハッハ !!』

私たちが目の前の倒れている教会の人間を指していると黒い何かは口を大きくあけ笑いながら倒れている人々から色々と吸い込み出した。

『ゲプンッ!!』

黒い何かは小さくゲップを吐きムニャムニャ言って私の影の中へ入っていった。

君、自然に私の影に入ったけど着いてくるつもりなの?隣をみると弥生君の顔には「諦めろ」と書かれていた。マジか…。

その後ダメ元で影に向かっておーいと声をかけ名前を聞いてみると影からヒョコッと頭?を出し『к╭╮Я○!И◎』と返ってきた。…なんて言ったのよこれ。とりあえずクロスケと呼ぶことにした。ねぇ弥生君、正気か?って顔に書いてあるんだけど…悪い?!ネーミングセンスは前世に置いてきたんだよ!!悔しかったので彼の足を思い切り踏みつけ、倒れている人達の安否を確認しながら影から出したロープで縛って拘束した。幸いにも魔力を吸われた影響で彼らは気を失っているだけで命に別状は無かった。

ドサッ

良かったと思っていると弥生君が糸が切れたように倒れた。慌てて駆け寄ろうとしたけど視界がボヤけ始め急に体の力が抜け、立っていられなかった。傾く視野の中私は弥生君に手を伸ばそうとしたが地面に倒れた衝撃が来る前に意識が暗転した。




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