第3話

今回は凄い視点がゴチャゴチャしています。m(_ _)m

今後も視点がゴチャゴチャする可能性があるのでご了承ください。

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side:弥生

早苗ちゃんに頼まれたし誘拐犯の始末するか。気配を消し木々の上から残りの誘拐犯達の元に向かった。すぐに開けた場所で行商人の一団に偽装した彼らを見つけた。

「チッ、報酬はこれっぱかかよ。一緒に攫ってきたガキ共がいい金になれいいんだがな。それにしてもアイツら遅ぇな、なにチンタラしてるんだ」

ボスらしきガタイのいい男がそう言って苛立ったように周りを見渡しウロウロしている。そんな中遠くから「た、大変です親分!!」と声が聞こえた。どうやら僕たちがわざと逃がした男が合流したらしい。青い顔でゼェゼェいいながら必死に息を整え報告しようとする男を見ながら自分は友達に向けて声をかけた。


side:強盗団親分

「痛い痛い痛い痛い゙イダイ゙イダイ」

ガキ共の始末を任せたはずの男が慌てて俺の元に走ってきた。どうしたのか話を聞こうとした瞬間、男は白目を剥き泡を吹いて受身を取らずに倒れた。突然の事で呆然としていた俺達だが身体中にチクチクと痛みがはしり我に返った。それはどんどんと酷くなり慌てて来ていた服を脱ぐと全身に細かい穴が空いていてその穴という穴に小さな虫が群がり体内へ入っていた。どうやらそいつらは俺たちの皮膚を食い破り内側から食べているらしい。そうしている間にも爆ぜた男の近くにいた仲間は「痛い痛い痛い痛い゙イダイ゙イダイ」といいながら骨になっていく。かく言う俺自身も脳内からブチブチと何かが神経を食いちぎる痛みと共に視界が暗転した。


誘拐犯達は全員殺ったかな。木から降りて「帰るよ」と彼らの死骸に向かって声をかけた。すると誘拐犯達の耳や鼻から糸の様な生物が出てきた。これこそ自分の友達、寄生虫モドキだ。この子達は対象の脳内に入って身体機能を奪う性質がある。天井に張り付いていた時に仕掛けておいて良かった。だけどこの個体は失敗したな、暴走して対象が死んだし。バトルものでよくある生きたまま洗脳・操作出来る個体を完成させるにはまだまだ改良が必要だな。そう思いながら自分は早苗ちゃんの元へ向かった。



…弥生君なんか友達の実験したいって言っていたけど大丈夫だよね。心配になってきたわ、兄じゃなくて誘拐犯達の方が。まぁ自業自得で運が無かったってことで恨まないでね!!正直彼、友達(蟲って言うと怒る)見てる時凄い良い笑顔だから話し掛けずらいんだよ。そんな事を思いながら北北西へ向かっていると開けた場所に行商人に扮した一団を見つけた。エリザベート様につけた目印が馬車の中を示しているので彼らが今回誘拐を依頼した奴らで間違えないだろう。よし、行きますか。



side:ある教団騎士

『紅き無垢なる者に悪魔が取り憑き、近い未来この国に破滅をたらすだろう』

ある日神託が下ったと教皇様が言った。そして『無垢なる者』とは赤ん坊、さらに『紅き』と付くことから【赤】が特徴的な赤子の可能性が高いとされた。この国に赤い特徴を持った人物は沢山いる。しかし、この神託が下った際に生まれた赤ん坊は限られている。彼らを保護し宿した悪魔ごと殺せばこの国の未来は安泰だ。私たちは密かに赤髪など赤を特徴に持つ子どもを保護という名目で集め鑑定し、少しでも悪魔が取り付いている可能性があれば殺害した。しかし、ラブハート公爵家の令嬢だけはどんなに交渉しようが「自分達が守る」の一点張りで公爵と言う地位もあり手出しできたかった。今まで鑑定した子どものなかに悪魔が宿っていた子はいなかったので残るのは彼女しかいない。今日ラブハート家のご令嬢のお披露目が行われると情報を仕入れた私たちは正体バレないよう金を払い実行犯を別に用意し、奴らには大金を払い事情を聞かないように釘を刺した。受け渡しの際金が少ないとか文句をつけられたがアイツらにはあの位で十分だろう。先程彼女を鑑定してみるとほんの僅かながら悪魔の残滓である魔力を発見した。彼女が予言の悪魔を宿す子か。彼女を殺せばこの世界に平和が訪れるだろう。

さぁ、悪魔を退治するとしよう。

「悪いがこの世界の未来の為だ。恨むならその身体に取り憑いた悪魔を恨め!!」

そう言い目の前で眠る子どもに聖剣を振り上げた時だった。

「無垢な子どもを殺そうとするなんて最低〜」

そんな声が後ろから聞こえた。

剣を横に向かって刺したが手応えが無く誰もいなかった。気のせいかと視界を前に戻すと目の前にいたはずの悪魔の子がいなくなっていた。

「まぁまぁ、そうピリピリしない方がいいですよ。苛立っても何もいい事は起きませんから」

「誰だ、出て来い!!」

そう言って落ち着かせるように肩をポンポンッと軽く叩かれ、慌てて後ろに剣を振るが手応えが無い。すると外から何かが倒れる音と悲鳴が聞こえた。もしかしたら侵入者を殺ったか。そう思い馬車の外に出てみると

…そこには外を見張っていた部下たち仲間が血塗れで倒れていた。そしてまだ生きている部下もうわ言のように何かを言いながら剣を振っている。呆然としているとまた後ろから声が聞こえた。

「まさかこんな状況になるなんて予想外でした。…わぁ、今のは惜しかったですね。私はここにいるのに」

そう声の主が言った瞬間立っていた奴らが私の元へ剣を振り上げながら走ってきた。仲間の攻撃を剣で受け止めながら峰打ちで気絶させていく。そうしているとドスッと背中に衝撃が走った。後ろを見ると剣が刺さっていた。その一瞬気を逸らしたのがいけなかった。うわ言を呟いている部下の剣が私の胸を刺し、私を切った彼は我に返り自分を責めるように自ら喉を切り裂いて倒れた。滲む視界の隅で一人の子どもが赤髪の悪魔の子を抱え私の影から出てきたのが見えた。なんだ、そんな近くにいたのか。残りの力を振り絞り聖剣を振り上げ彼女を切りつけた。

しかしその刃は空を切った。

あぁ神よ、悪魔をこの世に放つことを阻止出来なかったことをお許し下さい。

私は刃が届く寸前、驚いた様に見開いた彼女の瞳が一瞬紅く輝くのを見た気がした。


い、今のは流石に危なかった=͟͟͞͞(꒪ᗜ꒪ ‧̣̥̇)

意識が朦朧としていたのか運良く切られずに済んだけど、あそこから反撃してくるなんて蝉ファイナルかよ。

さて、彼らは全滅したかな。私は血溜まりを避けながら気を失っているエリザベート様を木陰に寝かせた。それにしても私は影から影へ移動して耳元で「鬼さんこちら♪」って感じに精神撹乱魔法を声に乗せながら囁いただけだったけどこんな殺し合いに発展するなんて驚いたわ。最後の強そうな武器を持った男を倒せて良かった。丁度無闇矢鱈に振り回している彼らの剣の軌道上に立たせるのが大変だった。とにかくエリザベート様を救い出せて良かった。馬車の中を覗いたら魔法陣の中央で横たわった彼女が刺されそうになってて驚いたわ。そう思っていると弥生君と合流した。

「お待たせって凄い惨状だね。エリザベート様は?」

「今は寝てるだけ、ギリ間に合って良かったよ。それよりもこのマントのエンブレム見て。」

「…っ!!これってたしか聖教会のエンブレムじゃ…」

小説の中でも主人公はちょくちょく正体不明の集団に命を狙われていたけどまさか聖教会だったか〜。正直あの天使至上主義の集団嫌いだったんだよな。



あの後偽装用に用意されていた馬を使ってラブハート家に戻ると大騒ぎになっていた。すぐに使用人が知らせたのかラブハート公爵夫妻とお父様とお母様が駆け寄ってきた。事情を話すと無茶したことを怒られたが、無事帰ってきてくれて良かったとお母様は私たちを抱きしめた。目が覚めたエリザベート様は両親に抱きついて大泣きした。小さいながらよく頑張っていたよ、ホント。ラブハート公爵は私たちに娘を守ってくれてありがとうと何度も礼を言っていた。褒美は何がいいかと聞かれたけど私も弥生君も咄嗟の事だったので要りませんと答え、両親も断っていたのでこれでこの話も終わりかと思った瞬間エリザベート様がまた私たちの服の裾を掴んで言った。

「わたくしをたすけてくれたおれいにわたくしのせわがかりにしてあげる!!こうえいにおもいなさい!!」

「「エッΣ(゚д゚;)」」

「確かに、それはいいな。どうだ、試しに娘の側仕えとして働くのは」

私達は思わず声を出し反応してしまったがラブハート公爵は名案だとばかりに大きく頷いている。確かに名門だし公爵家だし美味しい話なんだけど…、私たちまだ5歳なんだよな。そう思っているとお父様が私たちを庇うよう前に出て口を開いた。

「申し訳ございません、ラブハート公爵様。まだ2人は幼く誰かに仕えさせる教育が未熟なもので。荒削りになってしまいますが少々お時間を頂いてもよろしいのですか?」

「よいぞ、では準備が整ったら手紙をくれ」

てっきり断るかと思ったら『荒削りになってしまう』?!ちょっと待って、それって…。恐る恐る両親の顔を見るとそれはそれはいい笑顔だった。背後に鬼が透けて見えるくらいに。




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