第44話

「ヨッシーおはよー」


「おう。おはよう茜」


彩美と遊んだ次の日の通学路。

トンと肩を叩かれ、茜に声をかけられる。


「昨日はどうだったー?彩美と楽しめた?」


「そうだな。なんか久しぶりだったけど普通に楽しかったよ」


「へー、私と一緒に行った時よりも?」


「そんなこと聞いてどうすんの。別に両方楽しかったけど」


「ふーん」


茜は面白く無さそうにそっぽを向くと隣を歩き始めた。

これは学校に着くまでに機嫌を取らないといけないやつだな。


「そういえば定期テストはどうだ?勉強できてるか?」


「え、ヨッシーどうしたの。まだ一ヶ月あるじゃん」


「いやそうだけど彩美とかめっちゃ勉強してるじゃん。なんか俺たちもしないといけないのかなって」


「うーん、まあ確かに来年受験だしね。そろそろ本腰入れないといけないのかな。ああ憂鬱」


やばい。

ちょっと不機嫌からどんよりムードになってしまった。

けど受験という言葉も聞いて俺も少し憂鬱になる。

正直、まだまだ考えたくないし完全に話題ミスったな俺。


「彩美は進路どうするのかなー。私できれば大学も一緒がいいんだけど」


「あ、あーどうだろうな。うん」


彩美曰く、茜は本当の彩美の学力を知らないらしい。

だから相当高いレベルの大学に進学すると考えてるのだと思う。


「でも案外大丈夫なんじゃないか?いけると思うぞ」


「それ根拠ないでしょー?私と彩美の学力差知ってる?もう凄いんだから」


「そうだっけ?分からないわ」


大丈夫だぞ、茜。

ほとんど変わらないから。


「そういえば昨日はどこに行ったの?彩美に聞いても教えてくれなかったんだよね」


「昨日?普通にボウリング行ってそのあとファミレスかな。なんかいつもと同じだったよ」


「ふーん、で私とどっちが楽しかった?」


「……だからなんでそんな質問するんだよ。両方楽しかったって」


「またそれー?もーちゃんと答えてよー」


「茜?そんな醜い質問はやめた方がいいと思うわ」


「え?!彩美?!」


振り返るとそこには、ジト目で俺と茜を睨む彩美の姿があった。

驚く茜をよそに彩美は俺と茜の間に入ってくると、大きくため息をつき再度、茜の方に目をやり口を開いた。


「両方楽しかったでいいでしょ。なんで私に勝とうとしてるのよ」


「えー、まあ私の事情的な?」


「なにそれ。答えになってないわよ」


「あははー、ごめんね」


上手く丸め込まれた茜だけど、顔には少し喜の感情が見える気がする。

久しぶりにこの三人で並んでるもんな。その気持ち分かるぞ。


「ね、京弥も茜も今日空いてる?」


「俺は空いてるけど」


「私も大丈夫だよー?どしたの」


「え、えーっとね、嫌だったら断ってくれてもいいんだけど」


彩美は珍しい前置きをするとあからさまに深呼吸を始めた。

緊張してますよってありありと伝わってくる。


「い、いやだったら断ってくれていいんだけど」


「「うん」」


「今日一緒に勉強しない?」


【あとがき】

読んで頂きありがとうございます。

是非、♥&評価のほどよろしくお願いします!


また新作『学生結婚したら、周りの美少女達が全員寝取り(NTR)属性だった件。』も読んでいただけると嬉しいです!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る