第43話
「いつも通りでいいか?」
「うん。ありがと」
ファミレスに到着し、すぐに店員を呼ぶ。
いつも通りとのことなので、彩美はチーズハンバーグだ。
「そういえばアンタ定期テストは大丈夫なの?もうあと一ヶ月しかないわよ?」
「うーん、一ヶ月しかじゃなくて一ヶ月もじゃないかな。まだまだ考えなくてもいいと思うんだけど」
「あら、そう言って赤点取っても助けてあげないからね」
「助けてもらうも何も俺まだ赤点とったことないんだよなー」
受験ならまだしも定期テストだ。
主題される箇所は分かっているし範囲も狭い。
正直、前日の徹夜でも乗り切れるくらいに思ってる。
「何よその目。別にいつから勉強し始めるかなんて私の勝手でしょ?」
「いやそうだけど彩美って頭いいだろ?勉強しなくても定期テストくらい余裕そうだと思っただけだよ」
「……そっか。確かにそう思われても仕方ないか」
「え?」
「私、確かに定期テストは入学した時から一位よ」
「そうだな。有名な話だし俺でも知ってるぞ」
「じゃあこれを見なさい」
彩美はそう言って、俺にスマホを突きつけてきた。
その画面には、10月渋川塾模試の文字が踊っている。
「えーっと得点が900点中の270か……え、これ誰の?」
「誰のって、この状況だし私のしかないでしょ」
「いやいやいやこれ偏差値38とか書いてあるぞ。流石にそんなわけないだろ。彩美はうちの学校のトップだぞ」
「そうよ。うちの学校はトップがこの点数なの。終わってるわね」
「……え、マジでこれ彩美の点数なの?全然信じれてないんだけど」
確かに模試の指名欄には彩美の名前が書いてあるあし、なにより自分がバカだとわざわざ俺を騙すメリットがない。
ないんだけどやっぱ信じられないな。
「もうアンタには色々知られちゃってるし言うけど私相当勉強できないの。定期テストは出るところわかってるし前々から対策すればいけるけど、模試なんて無理よ。何出るかわからないし」
「で、でも彩美っていつもクラスメイトからの質問対応してるよな。それはどうしてるんだよ」
「どうせ質問なんてその時の授業が学校で使ってる問題集でしょ。全部やってるに決まってるじゃない」
「……そこまでやってなんで模試でこの点数なんだよ。もっと信じられなくなったわ」
「まーあれよ。頭がキレるのと勉強ができないのは並立するってことよ。あ、ハンバーグ来た!」
俺への暴露はなんでもないように彩美の視線は、チーズハンバーグに向いている。
対して、暴露された側の俺はどうだ。
頭の中にははてなマークがぐるぐる回っていて、目の前のサイコロステーキには全く集中できない。
「何?食べないの?」
「い、いや食べるけど。ちょっと色々衝撃すぎて止まってる」
「まあ確かに私の学力知ってるのって両親だけだしびっくりするのはわかるけどそこまで?食べないなら貰うから早くこっちに帰ってきなさい」
「お、おう。少し待っとけ」
学力のことを知ってるのは両親をのぞいて俺だけ。
何か秘密を共有しているようですこし気分が高揚する。
「あ、さっきも言ったけどこれ奢りだから。ドリンクバーつけちゃっていい?」
「お、おう……おう?」
その後、色々頼まれたが何故かそこまで嫌な気がしなかった。
【あとがき】
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