第38話

「最近、彩美来ないよね。どうしたんだろ」


「あーそっか。ヨッシー知らないよね。彩美はテスト前に家にこもるんだよ」


「家にこもる?なんで」


11のある日、学校帰りのファミレスで俺と茜はいつも通り駄弁っていた。

体育祭以降、三人で過ごす時間が増えた俺たちだが最近の彩美の付き合いは悪い。


「テスト勉強だよ。あの子めっちゃやるわけ。もーあり得ないくらいに」


「え、そうなんだ。意外だな」


彩美ってどちらかと言えば天才のイメージだった。

勉強せずとも授業だけで頭に入るみたいな。


「てか彩美のこと気にしすぎだから。そんなに私と二人が嫌かー?」


「いやそういう訳じゃないよ。ないけどさー」


「ないけど?」


「………そういや茜は勉強どうなの。あと2週間だけど」


茜は露骨なジト目をこちらに向けてくる。

話を逸らしているのが、あからさまに伝わっているみたいだ。


「全くしてませーん。私は勉強しなくても大丈夫なので」


「へーそうなんだ。茜も頭良かったんだね」


「違うよ?頭悪いよ?」


「え?」


順位を聞くと、学年の最底辺だった。

見た目通りというか何というか彩美と正反対だな。


「それ大丈夫なの?卒業できなかったりとか」


「うーん、まぁ大丈夫っしょ。てかさ、折角二人なんだしどっか行こうよ!私ボウリング行きたい!」


「そだね。行こうか」


二人でファミレスを出て、近くのボウリング場へ向かう。

目的地までは歩いて5分ほど。

その道のりを二人並んで歩く。


「俺マジでボウリング苦手なんだよね。下手くそでも笑わないでよ?」


「えーどうしよっかなぁ。流石に動画とって家宝にするだけだよ」


「いやそれをやめてって言ってんだよ」


最近は茜と一緒にいることが増えてきた。

というより放課後はほとんど二人きりな気がする。


「……なんだかんだ茜と二人って落ち着くんだよね」


「いきなりなんだよー。さっきは話逸らしたくせに」


「茜と一緒にいて落ち着くってのは本当だよ。けど最近彩美とも遊べてないし3人で過ごす時間も作りたいって思ってただけ」


「ふーん、そういうことにしときますよ」


話している内にボウリング場へ到着。

数ゲーム分の料金を払い、シューズとボールを借りる。


「よーしそれじゃ行くぞー!」


「ちょ、はしゃぎすぎだって!スカートめくれるから!」


「え、大丈夫だよ。下履いてるし」


「そういう問題じゃないよ……」


茜と二人で遊ぶのはやはり楽しい。

だが楽しすぎて、たまたまいたクラスメイトのことに全く気付かない俺達だった。


【あとがき】

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