第35話
【はしがき】
すいません。短いです。
Side 阪木&松村
「チッ……おもんねえ」
「それな。何が面白くてこんなに盛り上がってんだよ」
俺達以外のクラスメイトは全員が、トラックにいるあいつら三人に注目している。
マイクが音を拾うたびに会場は笑いに包まれる。
このクラスは特にそうだ。
「ね、希月さんってあんな風に喋ることあるんだね!」
「それなそれな。えーあの二人付き合ってるのかな」
「京弥のやつめ、いつの間に仲良くなってんだよ。あとで彩美ちゃん紹介してもらお」
「いやお前は無理だろ。てか希月さんを彩美ちゃん呼びって……ないわ」
「なにを!お前だってずっと五六さんの方見てんじゃねえか!」
「う、うるせぇ!」
本当にイライラする。
このままじゃ俺たちが腫物みたいじゃねえか。
「おい、何盛り上がってんだよ」
「それ。何がおもろいの」
近くにいる男子の方を掴み、こちらに身体を向けさせる。
いつもなら怯えながら言うことを聞いてくれるが、今日は様子が違っていた。
「………面白くないのはアンタたちだろ」
「それな。あっちでみよーよ」
睨まれながら、さっと手を払われる。
クラスメイトの方へ歩いていく彼らを見て、何が起こったか分からなかった。
「おい、このクラス出ようぜ。こんなとこにいたら感性が腐っちまう」
「そ、そうだな。そろそろ部活対抗リレーだしバスケ部のとこに行こう」
一抹の不安を抱えながら、クラスのテントを出る。
背後から聞こえてくる歓声。
いつもなら気分を高揚させてくれるそれも今はナイフのように突き刺さってくるようだった。
「急ごうぜ」
「だな」
気持ち足を速め、バスケ部の部室に到着する。
まだ誰も来ていないだろうが、着替えながら待てばいい。
その頃には俺達も少しは冷静になれているだろう。
部室のドアを開けると、一番にホワイトボードが目に入ってきた。
いつもは、戦術や試合のメンバーが書いてあるその板には、一枚の張り紙が貼ってあった。
「あれ知ってる?」
「さぁ……」
ゆっくりと近づき内容を確認する。
隣で息をのむのが聞こえた。
『二年の松村、阪木に退部を命ずる』
【あとがき】
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