第16話

【はしがき】

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読んでくださっている皆様、本当にありがとうございます。



スムーズに足を動かし打球のラインに入る。

地を這うようなゴロではないので、バウンドは合わせやすい。


スピードを緩めることなく、ボールをグローブでつかむと俺は迷いなく、バックホームした。


「へ?!」


自分目がけて投げてきたと思ったのだろうか。

松村は、腰を抜かしマウンド上に尻もちをつく。


そんな松村を通過したボールはそのままホームにいるのグラブにおさまった。


「アウトです」


希月さんはそのままランナーにタッチすると審判にアピール。

だが、グランドにいる殆どの人が何が起こったか分からないのかただただ呆然としていた。


***


その後、難なく3アウト目をとり俺はセンターから意気揚々とベンチへ走った。


もう野球を何年もやっているが、連携プレーがしっかりはまった時の高揚感は何物にも代えがたい。


俺がベンチに戻るとすぐにクラスの野郎たちが歓迎してくれた。


「お前、やべーな。あんなこと出来たのかよ」


「それな。投げたボール見えなかったよ」


ありがとう、と反応をしながら水分をとる。

なんかこうやってクラスメイトに囲まれるなんて初めてかもしれない。


ちなみにの女子はすぐに日陰に避難していたのでここにはいない。


「でもそれを彩美に捕らせるなんてヨッシー酷いなー」

「そうですね。グローブ越しでも痛かったです」


けどの女子はこうやって俺のもとに来てくれた。


「何が痛かったですだよ。自分から提案してきたくせに」

「さあ?なんの話でしょう」


とぼける希月さんだが、その顔は綻んでいた。

そんな彼女を見て俺は更に嬉しくなる。


「希月さん」

俺は、そう言って彼女の前にグローブをかざした。


「…バカ」

俺にだけ聞こえる声でそう呟くと、希月さんも俺のグローブに手を合わせる。


「ナイスキャッチ」

「ナイスボールでしたよ」


何となく照れ臭くなってすぐに、グローブを離す。

だけど、さっきクラスメイトからかけられてたどんな誉め言葉よりも嬉しかった。


「えー、なんだよー。私もハイタッチしたいんだけどー」

「茜はまだ何もしてませんよ。ほら応援の準備をしましょう」


そう言いながら、五六さんと希月さんは向こうへ行ってしまう。

すこし寂しく思いながらも俺は、件の二人の方をチラリと見た。


松村は、自信満々にマウンドに上がったが、一回でヒット二本を打たれしかも俺の送球にビビり散らかしていた。

阪木の方も、俺のバックホームの送球を希月さんに横取りされ、何となく立つ瀬がないのだろう。


二人して、ベンチの端の方で恨めし気に俺と希月さんの方を睨んでいる。


「まぁ、まだまだこれから痛い目見せてやる」


俺はそう呟き、バッドを握った。


さぁ、次はバッティングだ。


【あとがき】

読んで頂きありがとうございます。


もし、皆様の中に本話のプレーがどんなものか知りたい方がいらっしゃいましたらYoutube等で「外野手 捕殺」と調べたら出てくるので是非、見てみてください。


また、★(評価)&♥(応援)も是非よろしくお願いします!


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