本の蟲
本棚には虫がいる。
見えないぐらい小さい虫。
あるいは大きいけど透明な虫。
虫は本を食べる。
たぶん紙じゃない。
平積みされていたあの本、
画面上で目にしたあの本、
ガラスの中にいたあの本、
買ったときは確かにあった。
読みたいと思わせる、
引力と呼ぶしかない力が、
本を中心に出来上がっていた。
でも本棚に入ると、
虫たちに本は食い荒らされた。
面白さは日に日に減退し、
もう開く気にもなれない。
力場は完全に喰われてしまった。
僕は本を買ったのではない。
あの虫に餌をやったのだ。
まるまる太った虫たちは成長して。
何かになることもなく、
いつまでもいつまでも汚い腹をさする。
たんと食らえ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます