第4話 3人の気持ち
3人は扉を開けると、部屋に入る。部屋の中央には大きな水晶玉があり、その中には炎に包まれながら横たわる魔物の姿が映し出されていた。
「あれが……」
「えぇ、魔王……」
エリスが呟く。
「あの魔物が……」
夏樹も呟く。
「ねぇ、どうやって倒すの?」
ミリアは二人を見上げるように尋ねる。
「簡単よ」
そう言って、エリスはミリアの手を握る。
「あなたが、私に魔力を与えてくれれば……」
そう言って、彼女は微笑む。
「……わかった」
ミリアは真剣な眼差しを向ける。
「……いいわね?行くわよ」
エリスの言葉に、ミリアは黙ってうなずく。
「お願い」
エリスの言葉に反応するように、ミリアの身体が淡く光りだす。その光がエリスの中に吸い込まれていく。
「ありがとう」
エリスはお礼を言うと、夏樹を見る。「さぁ、夏樹……」
夏樹は無言のまま、エリスの前に立つ。
「これで準備は整ったわ……」
エリスは優しく微笑みかける。
「えぇ……」
夏樹は静かに答える。
夏樹は、自分の心臓が高鳴っていることに気がつく。
「……夏樹?」
エリスが首を傾げる。
「大丈夫、なんでもない……」
夏樹は首を振りながら笑う。
緊張しているんだ……。
夏樹は自分に言い聞かせるように思う。
「本当に大丈夫?」
心配そうな顔で、エリスは夏樹を見つめている。
「あぁ……」
夏樹は深呼吸をして心を落ち着かせる。
「ねぇ、やっぱりやめない?」
ミリアが不安げな表情を浮かべて言う。
「ダメよ。これは私たちにしかできないことなの」
そう言って、エリスは夏樹の腕を掴む。
「でも……」
「夏樹、あなたの気持ちは嬉しいけど、私は夏樹を守るって決めたの。だから、一緒に戦って……」
エリスは夏樹の目を見据えながら、訴えかける。
「わかった……」
夏樹はエリスの瞳を見ながら、うなずく。
「……行くぞ!!」
夏樹はそう言って、目を瞑りながら、エリスの顔に手を当てる。すると、夏樹の手が淡く光り出す。
「……ありがとう」
エリスは優しく微笑む。
「夏樹、私も……」
ミリアは夏樹の前に手を差し伸べる。その手が、夏樹と同じように光を放ち始めた。
「あぁ……」
夏樹は、ミリアに顔を近づけると、唇を重ねる。
「んっ……」
ミリアは頬を赤らめながらも、夏樹を受け入れてくれる。二人の身体が淡く光を放つ。
「ありがとう……」
エリスは微笑みながら、ミリアにお礼を言うと、再び夏樹に向き直った。
「夏樹、次はあなたよ」
エリスは優しく微笑みかける。
「あぁ……」
夏樹は、覚悟を決める。
「……行くぞ!!」
夏樹は、エリスの肩を掴み、キスをする。
「……夏樹」
エリスはうっとりとした表情を浮かべながら、夏樹を受け入れる。
「……これでいいの?」
ミリアが首を傾げながら尋ねる。
「えぇ、後は待つだけよ」
エリスは微笑む。
「ねぇ、夏樹」
ミリアは夏樹に声をかけた。
「なんだ……?」
夏樹はミリアの方を振り向く。
「本当に大丈夫?辛くない?」
ミリアは心配そうな顔で言う。
「大丈夫だよ」
夏樹は笑顔を浮かべた。
「本当に?無理してない?私のせいでこんな……」
ミリアは自分のせいだと責任を感じているようだった。
「違う!!お前は何も悪くないよ」
夏樹は、必死になってミリアの言葉を否定する。
「じゃあ、なんなんだよ!?俺だって、男だぞ!!」
夏樹は感情的になりながら叫ぶ。
「でも……」
ミリアが何かを言いかけた時、エリスがそれを遮るように口を開く。
「もういいじゃない。夏樹もこう言っているんだし……」
エリスはミリアを諭すように言う。
「……わかったわ」
ミリアは渋々納得したようだ。
「……ありがと」
夏樹は照れ臭そうに言う。
その時、部屋の扉がノックされた。
コンコン……。
ドアを開けると、ライアンさんが立っていた。「……準備ができたそうだ」
そう言って、夏樹たちを急かす。
「わかりました。今行きます」
夏樹は返事をして部屋を出る。
「行こう……」
夏樹たちは、覚悟を決めて、戦いの場へと赴く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます