第14話 姉参上②
「ふわあああああん」
小鳥が鳴く朝にいつもより早く起きた俊輔は早速顔を洗いに洗面所に向かう
部屋の中に洗面所があるホテルのような仕様。
ここが自分の家というのがいまだに信じられない俊輔はタオルで顔を拭き、一人部屋には大きすぎるテレビをつけた
DA〇Nを起動し、あと数分で始まるチャンピオンズリーグ決勝を朝から興奮気味に待っていた
するとドアの向こう側かあ声がしてそれと同時にノックが鳴った
「あ、北条さん起きてますよ」
俊輔が事前に明日は早く起きるからと伝えており、北条もそれを認知していた
少し早い朝ごはんがティートローリーに乗ってやってくる
そこにはミルクやコーヒー、パン、ジャム、目玉焼き、ベーコンなどが並んでおり
俊輔の好物しかなかった。少量の野菜もあったが「ちゃんと食べましょうね♥」
と北条に言われてから文句を言わなくなった
いつもは自分以外誰もいないクソ長テーブルが置いてある場所で食事をするが今日は別だ
部屋にあるテーブルと椅子をテレビの前まで持ってきて完璧なコンディションでサッカーを見る
この瞬間が俊輔にとってたまらない瞬間であり、今人生でもっとも楽しい瞬間と言っても過言ではない
「チャンピオンズリーグ2020、今回もファンにとってはたまらない対戦のカードになりましたね~解説の本田さん」
実況の男性と同じくらいのタイミングで北条が口を開いた
「昨日の夜はよく眠られましたか?ご主人様」
特に深い意味はない北条の質問に俊輔はドキッとした
実は昨日の夜少し目を覚ました瞬間があったのだ
何かが空中で爆発したような音を俊輔は聞いており、実は気になっていたからだ
「う、うん普通に眠れたよ!」
良かったですと北条は笑い、コーヒーかミルク、ジュースなどどの飲み物を入れるかと言ってきた彼女に俊輔はジュースを頼んだ
100%オレンジジュースの甘酸っぱさが朝の眠気を吹き飛ばし、CLを嗜んだ
「朝から楽しいもの見た後の授業つらすぎ…」
苦手な英語の授業はとくにそうだろう
俊輔は社会科だけは得意だが、ほか教科は並々
その中でも英語が最低で、前の学校では赤点すれすれだった
そんな次期当主を北条が後ろの席から心配そうに眺めている
「ご主人様大丈夫でしょうか…」
そう、もうすぐこの学校は期末テストの期間に入る
レベルの高いテストに俊輔はついていけるのか
北条は心配していたのだ
一方その頃ハーゼンクレーヴァー家では、問題を起こしたレナの処分が下されようとしていた
「ずびま”せ”ん”ん”ん”!!!!!!!!!!どうかミラ様の護衛を外すのだけはこの通り!!!!」
「ダメです」
無慈悲な姉の声がハーゼンクレーヴァー家当主トーマスの前で響く
トーマスも朝早くから伝えられて困惑した様子だ
そんなハーゼンクレーヴァー家をよそにミラは授業で完璧な英語でスピーチし、クラスの喝采を浴びていたのだった
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