第13話 姉参上

放たれたドローンは1機。まっすぐ俊輔が眠る屋敷に向かって飛んでいる

それを目視で確認した警備隊の一人がすぐに本部に連絡した


「し、司令!飛翔体一機が俊輔様のお屋敷に向かって放たれましたっ!無人のドローンです!!」


「ドローンだと!?」


さすがにそこまでは想定していなかった浅葱司令は机上を強く叩く


「甘かった。敵がこれほどまで大規模な用意をしているとは想定できなかった私の不覚だ…もう間に合わ―」


「間に合います。司令。狙撃の許可を」


だがそれに冷静に対応したのは副指令筒島だった

浅葱が目を離した隙に一瞬で自前の狙撃銃を持ち、屋敷屋上に上がっていた筒島はすでに標的のドローンに照準を合わせていた


「つつじ―」


「撃ちますね」


命令が間に合わないと判断した筒島が躊躇うことなくトリガーを引いた

主人の睡眠を妨げないように準備されたサイレンサー付きの銃声がかすかに響く





ドローンは一撃で空中爆破しEMPの光が少しだけ空を照らした

最悪の状態を避けれたであろうこの筒島の判断に浅葱は礼を述べた


「すまない筒島。君のおかげで我々は救われた」


さすがに司令も一気に安堵したためか力が抜けて床にぺたんと座り込む

一方その頃レナたちと現地部隊は一色触発の危機にあった

どちらも疑心暗鬼になっていまにも銃撃戦が始まりそうだった状態だ

その時、変電所を囲んでいた警備隊の間を風のような速さで通り抜けていった者がいた


「?今のは風かしら」


ほとんどの人間もそれに気づけないほどの速さ

その彼女は一瞬にしてレナの背後を取った


しかし当のレナは頭で勝利を確信していた


(勝った!山宮俊輔ぇ!なんとしてもお前を嫌な気分にさせてやる!!ミラ様がお前のようなアジア人と結婚するなんて私が死んでも認めない!)

こぶしを握り締め笑顔の彼女の背後にいる”女性”が口を開くと状況が一変した


「レナ…あなた、こんなところで何をしているの?」


「え.......?]


その声を聞いた瞬間にレナの顔はこわばり、開いた口がふさがらなくなった


「あ..............ああ...........」


それはレナの姉であるエリカであった


「お、お姉さまああああああああああ!!!!!!!!!」


その瞬間エリカのこぶしがレナの頭をへこませる


「びゃあぁいい!!!!」


甘桜部隊長がすぐに銃を向け、レナたち敵部隊を囲む。

それを見てすぐさまエリカがレナを片手で捕まえ両手を上げた

すぐに部隊に投降を命じ、レナを捕まえた状態で山宮家警備隊に投降した


「私はトーマス・ハーゼンクレーヴァー様の専属護衛を務めております。エリカ・シュレンドルフです。この度は私の妹がご迷惑をおかけしました」


妹レナを片手で捕まえながら両手を上げているが、その隙のなさに訓練された警備隊は驚く

彼女はただ者ではないと甘桜は一瞬で理解し部隊に銃を下ろさせた


「私は甘桜と申します。今回の件についてお話を伺わせていただきたい」


「もちろんです。私も妹が何をしていたのか知りたい」


レナは足をジタバタさせ部下に強い口調で言葉を投げた


「おい!ドローンはどうした!?あいつの屋敷に当たらなかったのか!?」


「あーなんか信号なくなってますね。撃ち落されたんじゃないですか」


やっと終わったと変える用意をしている部隊員が軽くそう言うとレナはあり得ないくらいうるさい声で叫んだ


「えええええええええええええええええええええええええええええええええええ」


それを聞いたエリカはますます顔が怖くなる


「レナ、あなたには教育が必要なようね。それもとびっきり厳しいものが!!」


「びゃあああいいいい!!!!!」


夜中1時過ぎの森にバチンといい音が響き渡る。レナのケツはかなり良い音が鳴るようだ



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