第7話 女神様

「どう?新しい人生は?あなたが望んだとおりになったでしょ」


久しぶりに聞くその声は俺の身体に変化が出る前日に聞いた声だった

でもよく見えない

声はするがその存在を目視することができない


「当然よ、ここ夢の中だもの」


「な、なんだってー!?」


思考を読まれた!ちょっと怖いがさすが俺の顔を変えただけはある


「顔だけじゃなくて頭とかお金に関することも与えてあげたのよ。もっと私に感謝しなさい」


「あ、ありがとうございますっ!!」


「よろしい」


その声の主は自分を女神とか適当な名で呼んでくれていいと言って俺の前に具現化した

だがそれは俺が想像した女神ではなく”ナマケモノ”だった


「ナマケモノ…?」


「そうよこの星で一番かわいい生物よ。結構気に入ってるの」


床におっさんのように座るナマケモノから女性の声がするのは何ともシュールだ


「あなた、運動はもうした?」


「いえ、まだですけど」


女神さまの前に正座で答える


「ええぇー!!まだなのぉ!?せっかく運動神経も世界有数にしたのに」


な、なにぃー!?

世界有数!?そこまで体力とか技術があるとは思えないが時間があればサッカーしたいな..

それで超絶活躍して美女にモテモテな未来が来る可能性が微レ存!?


「人間ってなんでそんなに異性にもてたいの?何千年も人類見てきたけど男ってホント馬鹿よね~」


う、正論すぎて何も言えない

でも結局人間ってそういうものだと思う

異性に好かれたいと思うのは男も女も同じだし…


「ま、あんたがやりたいことやればいいんじゃない?今日はあんたを見に来ただけだし他にもいるしね」


「え、ほかにもってどういう…」


俺が彼女に触れようとした時、視界が真っ白に包まれてそのまま目が覚めてしまった


「あ、」


気が付くと豪華なベッドの屋根が目に見えた

ふわっとしたシーツが俺をベッドから出さないようにしている

でも起きねばと、身体を動かして体勢を変える


むにゅ


枕だろうかむにゅむにゅとした感触が俺の手が脳を通じて感じている

なんか無限に揉みたくなる柔らかさだ


「ひゃう…りゃめ…」


!?


その声で気付いた人生で初めて女性に触れたのだと

しかも合意なしに

慌てて掛け布団をめくる


「………………」


なんとそこには半裸の女性が二人も寝ていた

誰だこいつら!?

北条さんならまだしもこんな奴らと会ったことないぞ


「あ、おはよぉございますぅごしゅじん…しゃま」


「んだよぉもう朝かよぉふわぁ~」


銀髪ロングの清楚な子と赤髪でスポーティなポニテの女の子が同時に目覚める

俺は自分が何をしたのか怖くなってきて急いで部屋の外を確認する


「だ、誰もいないな…」


廊下に誰もいないことを確認すると再びベッドに目を向ける


やはり2人の女の子がいる

目がしっかりと覚めてきて意識もはっきりする


「誰なんだ君たちはぁ!?」


意を決してそう質問するとポニーテールの女の子が素直に答えた


「ええ!?昨日あんなにシてあげたのに、忘れたんですか?」


シただとおおおおおおおおおおおおおおおおおおお

俺の頭に緊急事態宣言が発令された

俺はこの子たちとしてしまったのか?だが記憶にないどういうことだ


「ご主人様とっても気持ちよさそうでしたよね」


清楚な方もそう言いほぼ確定だと思った

でも真実が知りたくて清楚な方に聞く


「ほんとにやったのか?記憶にないんだ」


「はい!”マッサージきもちいよぉ”ってご主人様言ってくれました」


へ?


ま、マッサージ?

キョトンとし、俺は冷静に今までの会話を思い返してみる。

確かにマッサージと辻褄が合う

俺の勝手な思い込みにひとりでに顔が赤くなる


頭に「?」を浮かべる女の子はそれぞれ服を着て朝ごはんの準備をするといった


「えぇ…」


朝から起こった展開に困惑が隠せないまま用意された服を着始める


また新しい一日が始まったのだった








  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る