第6話 新たな生活
「では俊輔君また会おう」
「はい、今日はありがとうございました!」
トーマスさんがいち早く車に乗り、ミラさんが乗るのを待っている
「シュン殿。今日はお招きいただき感謝する。またこうした機会があればsの時によろしく頼む」
シュン殿?やっぱ外国の人にSHUNSUKEは読みづらいのだろうか
最初に比べてかなり柔らかくなったミラさんがそう言ってくれた
最後まで明後日の方向を向いたままだったけど、それが彼女らしくて面白くも感じた
互いに手を振り合い宮殿を後にした
夜の山道を優雅に進むリムジンの車内
疲労がまた俺を襲い、北条さんの膝に寝転んでしまう
「うぅ…スー…」
「ふふっお疲れ様でしたご主人様。家では温かいお風呂が待っていますからね」
実際のところ風呂に入るのも面倒くさい…
今日はあの会場で嫌というほどおっさんと話をさせられたし、ほとんど楽しくなかったんだもん
ミラさんとはこれからだけど、あの会場で唯一楽しかったのが北条さんと一緒の時間だけだった…
お金持ちって意外に大変なんだな…
北条さんの膝枕で仮眠をとっていると意識が飛んだように爆速で家に着いた。
「ご主人様、家に着きましたよ」
北条さんが耳元でそう囁いてくれた。ずっとこうしていたい欲を抑えて車を出た
「え、どこ…」
目の前に現れたのはさっきのとことは違う宮殿だ
紺色が多くの割合を占める2022年W杯のフランス代表のアウェイユニフォームみたいなおしゃれな宮殿
「今日からご主人様にはここに住んでいただくよう、幸三様より仰せつかっております」
俊輔は自分を可愛がってくれる祖父に感謝をして宮殿に入っていった
巨大な扉が開くと一斉にメイドたちが迎えてくれた
全員がクラシカルというスカート丈が長い基本的なメイド服である
「お、おお…」
圧倒されすぎてそんな声が漏れてしまった
俺は北条さんについていき旅館かよってくらい大きな更衣室にきた
「風呂にこんな大きさいるのか?」
とりあえず北条さんに「ごゆっくりと温まってくださいませ」と言われて一人になった
なんだか久しぶりに一人になった気がする
着ている服を茶色のかごに入れ、風呂の扉を開ける
俺の目の前には大浴場が現れ、明らかに俺一人じゃ広すぎる風呂だ
でも、今までの生活のままならこんなきれいなお風呂には入れなかっただろう
俺はじいちゃんに感謝しながらシャワーを浴びた
「なんか出てる水も高価に感じる…さすがに気のせいだと思うけど」
湯船につかりながら女神の彫刻から出るお湯を眺めながら全く違う世界に来たんだなと実感する
というかここに住んだら学校はどうするんだろう。まさか車で通学なんてないよね…
それは恥ずかしいな…
風呂を上がってご満悦な俺はクソ長い廊下を歩く
赤いカーペットが引かれた廊下。一定間隔に高そうな絵画が置いてある
大浴場から出てわかりやすい場所に俺の部屋が用意されていた
扉を開け中に入る
俺がアパートで使っていたデスクや私物が全て置いてある
「運んでくれたのか」
じいちゃんや手伝ってくれたであろう多くの人に感謝しかない
ベッドに腰かけ明日の自分を想像するがこれといって実感がわかない
じいちゃんが大富豪かァ…
お母さんら教えてくれてもいいじゃん…
今お母さんたちは北海道当たりだったはず、元気にしてるかなぁ
そう思いながら不意に体をベッドに落とす
一瞬で俺は寝たのであった
「ご主人様ぁ~まだ歯磨きやドライヤーをしていませんよ~><」
北条さんの声を聞きながらその日は寝てしまった
我ながら情けない
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