第4話 許嫁とかいう時代遅れの風習辞めろ

「お前さんにはわしの仕事を継いでもらう。そのために今日は呼んだのだ」


「いや無理でしょ…」


じいちゃんの頼みをバッサリ否定したがじいちゃんは引かなかった


「まぁどのみちお前が跡取りになることは決まったのだ。にしても俊輔…お前顔変わったか?前会った時とずいぶん違うような気がするが…」


ド、ドキィ!

やっぱりバレるよな。さすがに顔違いすぎだもんな

ここは正直に言うしかない



「ワハハハッ起きたら顔が変わっていた?冗談はもっとうまく言うもんじゃぞハハハッ」


北条さんも口を手で押さえて笑みをこらえている

さすがに信じてもらうのか無理か?

でも現にに起こっていることだし…


「ま、何でもよい。お前が俊輔だということに変わりはないのだからな」


「う、うん」


跡取りの件が終わるとすぐに次の話題が出てきた


「幸三様。もうすぐハーゼンクレーヴァー様が…」


じいちゃんの耳元に北条さんがささやくように何か言っている

また面倒なことにならなければいいが

じいちゃんは俺にここで待つように言われてどこかに行ってしまった

傍には北条さんがいてくれるが俺は何をすればいいのだろうと考えていると

多くの人が俺に寄ってきた


「初めまして!私三ツ矢銀行の創設者の娘。三ツ矢京と申します!幸三様には…」


「私は森下不動産の…」


なんだなんだ!いきなりそんなこと言われてもわからないよ~

と言ったが誰も聞いてくれずもみくちゃにされていた時、一人の紳士が間に入って静止してくれた


「皆さん、彼はまだ若い。そんなに大人が詰め寄ってしまうと怖いでしょう」


その声を聞いてすぐに全員が物腰が弱くなる

見た目は白人で、高身長。サッカーが上手そうな感じのおじさんだ

マジでサッカー上手そう


「私が話しても?」


「ええ、もちろんっハーゼンクレーヴァー様がそう仰るなら…」


そう言ってほとんどの人は俺の傍から離れていった

何者なんだこの人。ここにいるってことは相当なレベルの人だってのはわかるが

ヴィ〇ンとかシャ〇ルとかの社長か?割とそれっぽいが

唖然としている俺に気づいたのか、ハーゼンなんたらさんはジュースの入ったコップを俺に渡してきた


「醜いね。みんな君を通じて幸三さんに取り入ろうとしているんだ」


「はは、よくわからないですけど。大変なお仕事ですね。ありがとうございます」


愛想笑いをしながらもらったジュースを飲む。ジンジャーエールだった


「自己紹介が遅れたね。私はトーマス・フォン・ハーゼンクレーヴァーだ。」


彼が伸ばしてきた左手には美しく輝く指輪が見えた

オーラが違う。自分と住んでいる世界が違う人間ってこうなのだろう

はえ~っと感心していると北条さんが俺に挨拶をするように促してきた


「あ、えっと。山宮俊輔です!」


俺を見たトーマスさんはにまっと笑って嬉しそうな表情を見せた

俺はその笑みが理解できずにいると気高い女性の声が俺の後ろから聞こえた


「ここにおられましたか。父上」


振り返るとそこには、金髪で髪型をシニオンにした女性が現れた

一目見た時の印象は某ゲームに出てきそうという感じだった


「父上、こちらの方は?」


「ああ、彼が山宮家の跡取りの子だよ」


「あ、どうも」


一例をした俺が頭を上げると

何とも言えない表情で俺を見る金髪美少女が放った言葉がさらに困惑を呼んだ


「こ、こここここの方が…私の許嫁ですかぁ父上ぇ!?」


「え?」


声が響いたホールのパーティはまだ始まったばかりだった













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